IETF による URI 標準及び IRI 標準化提案への支持を表明
URI 仕様の更新とともに、IRI による Web アドレスの国際化が実現
http://www.w3.org/ — 2005年1月26日 — World Wide Web Consortium (W3C) は、Web の国際的普及の促進において重要な意味を持つ Internet Engineering Task Force (IETF) による2仕様の公開について支持を表明いたします。IETF と W3C 双方を通じた協調により、RFC 3986, STD 66 Uniform Resource Identifier (URI): Generic Syntax 及び RFC 3987 Internationalized Resource Identifiers (IRIs) が IETF のインターネット標準及び標準化提案としてそれぞれ発行されます。
Web を1つに織り上げる機糸となる URI と IRI
Web は、URI (URL) によって参照される、全インターネット資源にとどまらないあらゆる資源をも包含する普遍的な空間として定義されています。
Tim Berners-Lee による当初の提案や初期の実装では、Web は HTTP や HTML といった現在に比べて相対的に限られた技術のみで構成されていました。文書、資源、人、そして間接的にはあらゆるものを含むインターネット資源を参照する簡潔な文字列である URI は、依然として HTTP や HTML よりも基盤的な技術です。URI は言わば Web を織り成す機糸の役目を果たしています。一方 IRI は、機糸に色を染めて Web を総天然色に織り上げるが如く、Web 資源の識別に人々が普段話している言葉を利用できるよう、URI を拡張します。
約60程のインターネット標準を含む、何千もの技術文書が IETF のインターネット技術標準化プロセスを通じて発行されています。URI 仕様はこの数少ないインターネット標準に含まれることになります。インターネット標準、あるいは単に「標準」と表記される技術文書は、高度な技術レベルを達成しているとともに、インターネットコミュニティに多大なる功績をもたらすと理解されています。一方の IRI 仕様は標準化提案として発行されます。
更新された Web 基盤要素
Uniform Resource Identifier (URI): Generic Syntax は、W3C 技術諮問委員会 (TAG) との連携により、Tim Berners-Lee (W3C 技術統括責任者)、Roy Fielding (Day Software)、Larry Masinter (Adobe Systems) らによって執筆されました。本標準には、URI の設計、構文、解釈だけでなく、セキュリティ対応や正規化、2つの URI が等価かどうかを判断する比較方法などが記述されています。
1998年に発行された URI 仕様は、今回発行される新標準によって置き換えられます。幾つかの技術的な変更により、URI におけるホスト名指定に対し、国際化ドメイン名への対応が行われました。この他、"#" に続けて指定するフラグメント識別子付きの絶対 URI に関する規定、Tim Bray と W3C 技術諮問委員会の手による「第6章 正規化と比較」の改訂、文法の簡素化、曖昧な記述の修正、予約済文字集合の更新がそれぞれ盛り込まれています。
Web アドレスの国際化を実現する IRI
Internationalized Resource Identifiers (IRIs) 標準化提案の一部は W3C 国際化ワーキンググループによって策定され、Martin Dürst (W3C) と Michel Suignard (Microsoft Corporation) によって執筆されました。
僅かな例外を除いて、世界中の自然言語ではいわゆるアルファベットにあたる A から Z 以外の文字が使われています。IRI は利用可能な文字を US-ASCII の一部から Unicode/ISO 10646 に拡張することで、資源の識別にコンテンツ制作者やユーザ自身が普段話している言葉を利用できるようにします。それだけでなく、XML や RDF、あるいは XHTML や SVG といった多くの W3C 仕様は、国際的な文字に対応した識別子定義への参照を必要としていました。IRI 仕様はまさにこの重要な定義を提供します。
IRI 仕様において全ての URI は既に IRI として認められます。つまり、Web 上の情報を閲覧する場合に既存の URI に何か特別なことをする必要はありません。本仕様にはまた、既存のシステム向けに IRI を URI に変換する方法、表記方向が混在する IRI の取り扱い、IRI 同士の等価性、様々な状況下での IRI 利用、セキュリティ対応、参考指針なども盛り込まれています。
堅実で信頼のおける成果を創出する IETF と W3C による協調
これらの IETF 技術文書は IETF と W3C 間の長期にわたる協調の賜物です。
URI 仕様は HTTP 仕様とともに、W3C の設立に先行して最初に文書化された Web 技術の1つです。これらの仕様は今後も多くの IETF 活動に有効なことから、引き続き IETF 内で標準化作業が進められます。一方、W3C URI アクティビティは議論の場を提供し、技術文書の編集を支援するとともに、Web 技術を取り扱う他の W3C アクティビティとの連携機能を果たすことになります。
World Wide Web Consortium [W3C] について
W3C は、Web の発展と相互運用性を確保するための共通のプロトコルを開発することにより、Web の可能性を最大限に引き出すべく設立されました。W3C は、アメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所 (MIT CSAIL)、フランスに本部を置く欧州情報処理数学研究コンソーシアム (ERCIM)、及び日本の慶應義塾大学がホスト機関として共同運営にあたっている国際産業コンソーシアムです。コンソーシアムにより提供されるサービスには、開発者及び利用者のための World Wide Web に関する豊富な情報、新技術を応用した様々なプロトタイプやサンプルアプリケーションの開発などが挙げられます。現在までに、350を超える組織がコンソーシアムの会員となっています。詳しくは W3C の Web サイト http://www.w3.org/ をご参照下さい。
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