Web コンテンツの将来を担う HTML 5 草案を公開

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W3C の公開討論の場を通じ、Web コミュニティにより練り上げられる新たな HTML 標準

 

http://www.w3.org/ — 2008年1月22日 — World Wide Web Consortium (W3C) は本日、Web 記述言語の主要な改訂となる HTML 5 初期草案を公開いたしました。HTML 作業部会では、高品質な Web コンテンツや Web アプリケーション向けのオープン、かつ、ロイヤリティフリーな仕様として、HTML 5 の策定を進めています。本作業部会は、W3C 会員組織である、株式会社 ACCESS、AOL LLC、Apple Inc.、Google, Inc.IBM Corporation、Microsoft Corporation、Mozilla Foundation、Nokia、Opera Software ASA からの代表者を始めとする500名にも上る参加者で構成され、活動は完全公開されています。

HTML 初版の著者であり、W3C 技術統括責任者を務める Tim Berners-Lee は次のように述べています。「HTML が非常に重要な標準であることを疑う余地はありません。ブラウザ事業者をも交えた開発者コミュニティの皆様が、Web に最適な方法を見出すべく協力して取り組まれていることは、誠に喜びに堪えません。多数の人々から寄せられる膨大な数の見解を盛り込むことは想像を絶する難事業であり、革新性と安定性、あるいは、理想主義と実用主義を均衡させる難題でもあります。」

Web コミュニティが HTML 5 を求める理由

1997年12月に HTML 4 初版が公開されて以来、技術者、意匠設計者、販促部門、あるいは、利用者らは、媒体としての Web について多くを学びました。Web サイトではこれらの技術革新を反映し、もはや静的なページの寄せ集めではなく、利用者の要望に十分に応えるべく、参加を促進し、動的に展開する高機能なコミュニティ媒体へと進化を遂げています。Ajax や関連する技術革新により、デスクトップ PC から携帯機器に至るまで相互運用可能な Web アプリケーションをも実現する、新たな標準に対する要望が高まっています。

W3C では、新たな標準を取り巻く合意形成を目的とした討論の場として、2007年3月に HTML 作業部会を設置しました。本作業部会では、既存コンテンツへの対応保証、広範に利用されている慣例の成文化、表示と記述に関する検討事項の選別ユニバーサルアクセスの実現を始めとする、HTML 設計指針 HTML Design Principles を既に公開しています。これらの基本方針は本作業部会での意思決定における指針となります。

HTML 5 の新機軸

コンテンツ製作者らが特に注目している新機能として、2次元画像の描画や、音声及び動画コンテンツの埋め込みと制御、あるいは、クライアント側での永続的なデータ管理や、利用者側での対話的な文書ないし文書断片の編集のための API 群が挙げられます。また、<section><footer>、ページナビゲーション用の <nav> や、写真やその他の埋め込みコンテンツに説明を添えるための <figure> など、一般的なページ構成要素も容易に記述できるようになります。コンテンツ製作者は、アプリケーション側の要求に応じ、旧来の HTML 構文と XML 構文のどちらを用いてでも、HTML 5 を記述できます。詳しくは HTML 4 からの変更点一覧をご覧下さい。

HTML 5 仕様では、全ての適正な HTML 文書の取り扱い方法だけでなく、エラーからの回復方法についても明確な規定を設けることで、相互運用性の向上とソフトウェア開発費用の削減に貢献します。本仕様はまた、W3Cロイヤリティフリー特許方針に基づいて策定される初の HTML 仕様でもあります。

先述したブラウザ事業者らに加え、BEA Systems, Inc.、Betfair Limited、The Boeing Company、Cisco Systems, Inc.、Disruptive Innovations SARL、Dreamlab Technologies AG、France Telecom、Hewlett-Packard Company、IWA-HWG、米国国立議会図書館、株式会社 ミツエーリンクス、mTLD Top Level Domain Limited、Openwave Systems Inc.、オックスフォード・ブルックス大学、PicoForms、クイーンズランド工科大学、スタンフォード大学、インスブルック大学の各 W3C 会員組織が HTML 5 仕様の策定に尽力しています。

W3C では、本公開草案初版に対する一般の皆様からのご意見をお待ちしております。ご意見の送付方法は本仕様書内に明記されています。W3C ではまた、HTML 5 が利用者の要望に確実に応えられるよう、この HTML 作業部会への参加機会を捉え、コンテンツ製作ソフトウェアの開発に携わる技術者の皆様の更なるご参加をお待ちしております。W3C では加えて、利用者の皆様が HTML 5 においてどのような機能を最重視しているのかを、ソフトウェア事業者らに積極的に訴求されることを期待します。

World Wide Web Consortium [W3C] について

World Wide Web Consortium (W3C) は、会員組織、専任スタッフ、そして一般の皆様が一丸となって Web 標準の策定に取組む国際的なコンソーシアムです。W3C は、Web の長期的な発展を保証すべく設計された Web 標準や指針の策定を通じ、その使命の遂行に努めます。現在までに 400 を超える組織がコンソーシアムの会員となっています。W3C は、日本の慶應義塾大学、フランスに本部を置く欧州情報処理数学研究コンソーシアム (ERCIM)、及びアメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所 (MIT CSAIL) の各ホスト機関により共同運営されています。加えて各国地域における普及推進拠点となる W3C 事務局を世界各地に設置しています。詳しくは W3C の Web サイト http://www.w3.org/ をご覧下さい。

本件お問合せ先:
日本、アジア (慶應義塾大学 SFC 研究所) — 平川 泰之, <chibao@w3.org>, +81-466-49-1170
ヨーロッパ、アフリカ、中東 (ERCIM) — Marie-Claire Forgue, <mcf@w3.org>, +33 492 38 75 94
アメリカ、オーストラリア、その他 (MIT CSAIL) — Ian Jacobs, <ij@w3.org>, +1.718.260.9447 または +1.617.253.2613

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