HTTP 1.1 の IETF Draft Standard 承認について

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http://www.ietf.org/ および http://www.w3.org/ -- 1999年 7月 7日 -- HTTP/1.1 およびその認証が Internet Engineering Task Force (IETF)Internet Engineering Steering Group (IESG) によって、 IETF Draft Standard として承認されました。

HTTP 1.1 による Web の性能と安全性の改善

HTTP は Web の根幹となるプロトコルです。 これは当初、 Tim Berners-LeeCERN に所属していた時に提案されました。 そして、World Wide Web Consortium (W3C) の Tim Berners-Lee と Henrik Frystyk Nielsen、 University of California at Irvine の Roy Fielding による HTTP/1.0 が、 HTTP のインターネット上で広く使われた最初のバージョンです。 現在 HTTP/1.0 は非常に広く普及していますが、 重要な性能上の問題を抱えており、 Web の普及にともないインターネットのさまざまな部分に厳しい負荷を生じています。

ICS/University of California at Irvine の Roy Fielding が提案した HTTP/1.1 は、 エンドユーザに対する高い性能を提供しつつ、 同時にインターネットの一貫性と安定性を守る事を目的としています。 この目的は、持続的コネクション、パイプライン化、キャッシング、 IP アドレスの保存などの技術を用いて実現されています。

同じく重要なのが、 この規格とともに承認された HTTP 認証仕様が提供する HTTP ダイジェスト認証機構です。 これは HTTP で平文パスワードがそのまま送られる事を避けるための方法を定義しており、 Web のセキュリティを改善する上での重要な一歩となります。

W3C の開発と実装への参加

HTTP の標準化は IETF において行なわれてきましたが、 W3C は当初から強力な支援を行なっています。 W3C チームメンバーは、 HTTP/1.1 の開発に重要な貢献を果たしています。 W3C の客員研究員である Compaq の Jim Gettys は、 HTTP/1.1 の編集を行ない、 共同執筆者となっています。 W3C ディレクターである Tim Berners-Lee 、 W3CHTTP Acitivity リーダーである Henrik Frystyk Nielsen も HTTP/1.1 の共同執筆者です。 他にも University of California at Irvine の Roy Fielding、 Compaq の Jeff Mogul、 Microsoft の Paul Leach、 そして Xerox PARC の Larry Masinter が共同執筆者となっています。

W3C では HTTP/1.1 の実装もいくつか行なっています。 まず、Henrik Frystyk Nielsen による libwww クライアントサンプルコードライブラリがあります。 このライブラリは、初期の多くの設計のデモンストレーションに使われました。 次に、Yves Lafon、Benoit Mahé および Anselm Baird-Smith (現在は Sun) らによる W3C の Web サーバである Jigsaw では、 通常のサーバおよび Proxy サーバの実装を行なっています。 これらは最初の HTTP/1.1 の実装であり、 以前の HTTP/1.1 Proposed Standard (RFC 2068) の問題点を発見するために重要な役割を果たしました。 この問題は今回 RFC 化される Draft Standard によって解決されます。

W3C で行なってきた HTTP/1.1 に関する活動には、 W3C の Henrik Frystyk Nielsen, Jim Gettys, Anselm Baird-Smith, Eric Prud'hommeaux, Håkon Wium Lie, Chris Lilley らによる、 HTTP/1.1 とデータ圧縮やスタイルシートとの相互作用についての論文 「Network Performance Effects of HTTP/ 1.1, CSS1, and PNG」があります。 これは、 ACM SIGCOMM '97 で発表されました。

IETF Draft Standard

Draft Standard は、 IETF における三段階の標準化プロセスの二番目の段階です。 HTTP/1.1 は Draft Standard として承認されるための以下の必要条件を満たしていると認められました。 まず第一に HTTP/1.1 が安定している事、 次に複数の相互運用性のある実装が行なわれている事、 そして分かっている全ての技術的問題が解決されている事です。 Draft Standard は最終仕様に非常に近いものであるとされており、 変更は明白な問題が発生した場合にのみ行なわれるようになっています。 今回の RFC はドラフトの第6版をもとに、 細かな編集上の最終修正を加えた形で、 RFC 2616 として入手可能になっています。

Internet Engineering Task Force (IETF) について

Internet Engineering Task Force (IETF) は、 ネットワークの設計、運用、販売、 研究に関わる人々によって形成される大規模で国際的なオープン・コミュニティで、 インターネットのアーキテクチャの改良と、 そのスムーズな運用についての検討を行なう組織です。 インターネットにおける、プロトコルの技術開発を担当しています。 IETF における技術的な検討は、ワーキンググループにおいて行なわれます。 ワーキンググループはいくつかのテーマごとに分類された開発エリアから構成され、 それぞれのエリアはエリアディレクターによって統括されています。 エリアディレクターはまた IESG を組織し、 IETF 活動の技術面と同時に、 インターネット標準化プロセスの管理も行なっています。

インターネット・ソサエティ (ISOC) について

インターネット・ソサエティ (Internet Society, ISOC) は、 インターネットのための世界規模の協調と提携を目指す国際組織で、 150ヶ国以上の国々から参加している会員によって組織されています。 インターネット・ソサエティは、 1992年にインターネットの地球規模への拡大と標準化、 その進歩を支えるための国際的な非政府組織への世界的な要求に答える形で設立されました。 IETF は、インターネットの標準化を行なう組織として、 インターネット・ソサエティのもとで運営されています。

World Wide Web Consortium (W3C) について

World Wide Web Consortium (W3C) は、 Web の発展と相互運用性を確保するための共通のプロトコルを開発することにより、 Web がその最大限の可能性を発揮できるよう導くために設立されました。 W3C はアメリカ合衆国にあるマサチューセッツ工科大学計算機科学研究所 (MIT/LCS)、 フランスの国立情報処理自動化研究所 (INRIA)、 及び日本の慶應義塾大学がホスト機関として共同運営にあたっている国際的な産業コンソーシアムです。 コンソーシアムにより提供されるサービスとしては、 開発者および利用者のための World Wide Web に関する豊富な情報、 作成された規格を具体化し奨励する標準的コードの実装、 新技術を応用したさまざまなプロトタイプやサンプルアプリケーションの開発 などがあります。 現在までに、320 を超える組織がコンソーシアムの会員として参加しています。

 

IETF/ISOC 問い合わせ先:
W3C 問い合わせ先:
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アジア:
  • 渡辺 裕子 (Yuko Watanabe), <yuko@w3.org>, +81.466.49.1170

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