HTML5勧告–オープン・ウェブ・プラットフォームの重要なマイルストーンを達成

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安定した基盤上で、次世代のウェブテクノロジーを構築

 

Read below what W3C Members have to say about HTML5

 

2014年10月28日(アメリカ): ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム(W3C)は、ウェブページやウェブアプリケーションを構築する際に使用されるフォーマットHTMLの第5版であるHTML5を勧告として公開し、オープン・ウェブ・プラットフォームの礎を築きました。HTML5は、アプリケーション開発者やアプリケーション産業がこの先何年に渡って信頼するに足る、アプリケーション開発のための機能を提供します。HTML5は今や幅広いデバイスで、そして世界中のユーザが利用可能であり、かつ豊富な機能を持つアプリケーションの開発コストを削減します。

 

HTML5

 

W3Cディレクターを務めるティム・バーナーズ=リーは、「ビデオやオーディオをブラウザ上で見たり、ブラウザ上で通話をすることは、今や当然の事として受け止められている」と述べています。「写真や店舗の共有、ニュースの入手、情報の検索はどこからでも、どのデバイスからでも可能にすることを期待しています。HTML5とオープン・ウェブ・プラットフォームはユーザの更なる期待に応えます。」

HTML5は以下を含めた多様な新機能をもたらします:

  • ウェブ上で利用されるビデオや音声情報をプラグイン不要で再生
  • プログラム可能な方法でビットマップ図形を二次元描画 (グラフ、ゲーム用グラフィックス、その他画像の動的描画)
  • SVG (スケーラブル・ベクター・グラフィックス) および MathML (数式記述) のHTML5文法としてのサポート
  • 東アジア地域向けのテキスト組版 (Ruby)
  • 機能豊富なアプリケーションにおけるアクセシビリティの担保

広く利用されているHTML5

HTML5は何年にも渡り活用されています。 2014年VisionMobile社(英)の調査では、調査に協力したデベロッパの42%が、HTMLとCSS、JavaScriptの組み合わせをモバイル・アプリケーションの一部、或いは全てに使用していると発表しています。ガートナー(米)では、HTML5は2015年と2016年のモバイル技術や機能としてトップ10の一つであると述べ、「HTML5は、複数のプラットフォーム間でアプリケーションを提供する企業に取り不可欠な技術である」と伝えています。

2012年12月に、W3CがHTML5の仕様定義完了を発表してからの22ヶ月間、W3Cのコミュニティは「一度書けばどこでも展開可能」ということを保証するため、HTML5テストスイートに10万以上ものテストを追加しました。Test the Web Forwardのコミュニティは、現在もオープン・ウェブ・プラットフォームの相互運用性を推進すべく、継続的にその活動を続けています。

HTML5勧告では、60以上の企業がW3Cの特許方針の基に、ソフトウェアを実装する人達が使用料の支払いを必要としないロイヤリティフリーのライセンスに同意しています。ウェブ技術を使う開発者たちにとって使用料が発生しない事は、ウェブ・プラットフォームの進化を促進させる需要な事項でもあります。

次のステップ:開発者のアプリケーション基盤、ウェブの新しい応用事例

HTML5は既に開発者達に幅広く展開されていますが、W3Cはオープン・ウェブ・プラットフォームの名に基づき、既にその先を見据えて議論を重ねています。それはプラットフォームを超えたパワフルなアプリケーションの開発費を削減する事です。10月のW3Cブログ記事でW3C CEOのJeffrey Jaffeはこう述べています。「HTML5は完了した。W3Cは開発者がすぐにでも成功を収めるために、オープン・ウェブ・プラットフォームをより強化しなければならない。」それらの優先順位を実行するためには、「アプリケーション基盤を次世代のプラットフォームとして強化しなければならない。」と以下を挙げています。

  • セキュリティとプライバシー: 個人認証、暗号、多要素認証、プライバシーの保護
  • ウェブデザインと開発: 次世代のHTML、スタイル、レイアウト、グラフィックス、アニメーション、タイポグラフィ
  • デバイス間の相互運用性: BluetoothやNFC、バイブレーションなどのハードウェアやセンサーへのアクセス
  • アプリケーションのライフサイクル: オフライン時の動作、プッシュ通知、ジオフェンシング、同期などをバックグラウンドで実行するタスク
  • メディアやリアルタイムのコミュニケーション: WebRTC (Web Real-Time Communications)やメディアのストリーミング
  • パフォーマンスとチューニング: プリロードやレスポンシブデザインのプロファイリングや拡張性への突破口
  • ユーザビリティとアクセシビリティ: ウェブがすべての人にとってアクセシブルであること、世界中の言語をサポートすることを保証
  • 各種サービス: ソーシャルウェブ、ペイメント(支払)、アノテーション(注釈)、ウェブ上のデータ(オープン・データやリンクト・データなど)

W3Cはこれらの新しい枠組みを、今年は10月末に開催される例年の技術会議 (Technical Plenary Advisory Committee Meeting)で議論します。

数々の組織もW3Cの内外を問わず、毎日のように提案されているウェブの新しい機能を組み込む事を容易にしています。W3Cはペイメント(支払)、自動車、電子書籍、通信、エンターテインメントの各産業のユースケースに適応できるべく、その発展を進めています。それと同時に、4,500名のエンジニアが 180を超えるW3C Community GroupとW3C Business Groupにおいて新たな発想の基に活動を続けています。

謝辞

W3Cは、HTML5仕様の根幹を形造り、HTML言語に多大な影響力をもたらしたGoogleのIan Hickson氏に第一の感謝の意を表します。

またW3Cは、HTML Working Groupの共同議長であるMicrosoft社のPaul Cotton氏、IBMのSam Ruby氏、AppleのMaciej Stachowiak氏らの、HTML5を勧告まで完成させたリーダーシップとHTML Working Groupに対する数々の貢献に心より感謝致します。

また、W3Cは下記の方々にも謝辞を述べます。

  • W3C Interaction DomainリーダーのPhilippe Le Hegaret
  • W3C HTML5 Working Group チームコンタクトのMichael Smith
  • 現在のHTML5 エディターであるW3C Robin Berjon、The Paciello GroupのSteve Faulkner氏、Microsoft社のErika Doyle Navara氏、AppleのEdward O’Connor氏、Silvia Pfeiffer氏
  • W3Cが、HTLM5勧告を完遂するためのテスト全般にご協力いただいたAdobe社、Facebook社、Intel社、Microsoft社、Mozilla社、Opera社の皆さまと、それらの仕様向上にご尽力いただいたHTML Working Groupの皆様
  • HTML全般にご貢献いただいたWHATWG
  • W3C Protocols and Formats Working Groupの皆様
  • HTML勧告まで議論と考察を重ねて下さったウェブコミュニティの皆様

ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアムについて

World Wide Web Consortium(W3C)は、Web標準化の開発を目的とし、会員組織、フルタイムスタッフ、および公的団体が連携する国際的なコンソーシアムです。W3Cは、Webの長期的な成長の確保を目的としたWeb標準およびガイドラインの作成を通じ、使命に尽力しています。Open Web Platformは、現在、我々が最も注力している分野です。400を超える組織が、本コンソーシアムの会員として参加しています。W3Cは、米国MIT Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory(MIT CSAIL:マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所)、フランスEuropean Research Consortium for Informatics and Mathematics(ERCIM: 欧州情報処理数学研究コンソーシアム)、日本の慶應義塾大学、及び中国の北京航空航天大学 (Beihang University)により共同運営されており、各国にW3Cオフィスを設置しています。詳細については、http://www.w3.org/をご覧ください。

 

W3C20

 

2014年、W3Cは、W3C20周年、およびTim Berners-Leeが発明したウェブ25周年という二つの記念式典を挙行します。

連絡先

Ian Jacobs, <ij@w3.org>, +1.718.260.9447

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