SVG Tiny 1.2 勧告候補の公開について

著者と公開日

出版日:

あらゆる機器上での実装準備が整った2次元ベクタ画像形式

会員組織による推薦状も併せてご覧下さい。

 

http://www.w3.org/ — 2006年8月10日 — World Wide Web Consortium (W3C) は、携帯機器を通じた Web アクセスのより一層の質向上と、急速な発展を遂げる多様な携帯機器市場に対応すべく、携帯機器にもデスクトップ機器にも適した画像形式標準である Scalable Vector Graphics (SVG) における重要な更新版を公開いたしました。XML に基づく画像形式である SVG を用いることで、2次元ベクタ形式の対話的な画像やアニメーションが作成できます。その最新版にあたる SVG Tiny 1.2 は、デスクトップ機器での利用にも供せる十分な品質、機能だけでなく、携帯機器でも十分に利用できる軽量さも兼ね備えています。

W3CInteraction ドメイン及び同ドメインの Graphics アクティビティの各責任者を兼任する Chris Lilley は次のように説明しています。「利用者らは携帯機器上においても高品位かつ対話的、視覚的な情報の表示を求めていることから、アプリケーション開発者らにとっても、操作や状況に応じ、ネットワークを通じた動的な更新も可能な、Web との整合性が保証された画像形式が必要不可欠となっています。SVG Tiny 1.2 には、既に広範に普及している SVG Tiny 1.1 の運用実績に基づく重要な機能や改良が盛り込まれています。」

SVG Tiny 1.2 に対する広範な合意に基づき、本技術仕様を W3C 勧告候補として公開いたしました。本仕様に対する実装は既に開始されています。W3C では、W3C 標準化手続きにおける必須要件として、関連コミュニティに対し、本仕様に対する実装報告を呼び掛けます。

携帯機器向けに実証済の運用実績に基づく改良が盛り込まれた SVG

SVG に対応した携帯電話や携帯機器向け商用サービス、あるいは SVG を直接ネイティヴ実装した Opera や Firefox といったデスクトップ機器向け Web ブラウザなどを始めとする広範な採用を通じ、SVG の機能や品質の向上が図られています。携帯機器向けに設計された SVG Tiny は、SVG 開発者コミュニティからの要請や業界における必需性に呼応する形で、2003年に SVG ワーキンググループにおいて W3C 勧告として策定されました。SVG Tiny 1.1 は、携帯機器においてもデスクトップ機器においても同等の機能や品質が担保された、視覚的で高品位なコンテンツ配信のためのオープンな標準となっています。

SVG Tiny 1.2 では携帯機器向けに新たに、動画、音声、色のグラデーション、枠線や塗りつぶしにおける透明度、テキストのスタイル指定、スクリプト処理が取り扱えるようになります。全機能を有する SVG 1.2 の中核となる SVG Tiny 1.2 は、デスクトップ及びノートブックコンピュータ、携帯電話、超小型 PC、カーナビ、映像音声機器や情報家電といった幅広い機器への実装が可能です。SVG Tiny 1.2 はまた、W3C 及び W3C モバイル Web イニシアティヴ (MWI) が掲げる重要な基本目標である、モバイル Web における使い勝手の質向上に貢献します。

本標準採用に向けた準備を整える業界及び他標準化組織

SVG Tiny 初版の公開以降、携帯機器の能力は飛躍的に向上しています。業界大手や他の標準化組織では W3C に対し、彼ら自身が取りまとめる要件に SVG Tiny 1.2 の採用を明記するなど、SVG Tiny プロファイルの拡張に対する大きな期待とともに、本仕様に対する支持を表明しています。それらを含め、SVG に対する支持は推薦状としても寄せられています。

SVG Tiny 1.2 は、3GPP リリース6として策定されるプロファイルに組み込まれることになっています。また、OMTP では Web ブラウザに対する必須要件の1つとして SVG を挙げています。

W3CCompound Douments Format ワーキンググループでは、Web Integration Compound Document (WICD) を構成するにあたり、SVG Tiny 1.2 を XHTML Basic とともに用いており、OMA の Rich Media UI や、3GPP の Dynamic Interactive Multimedia Scenes (DIMS) を実現する重要な要素技術としても期待されています。

SVG Tiny 1.2 は、日本のキヤノン株式会社、KDDI 株式会社、シャープ株式会社を始め、世界各国各地域から、Abbra、Adobe Systems Inc.、Ericsson、ETH Zurich、Expway、Groupe des Ecoles de Télécommunications、Ikivo AB、ILOG, S.A.、ITEDO Software GmbH、Mercurial Communications Inc.、Nokia、BitFlash Division of Open Text、Opera Software、Research In Motion, Ltd. (RIM)、Streamezzo、Sun Microsystems, Inc.、Telecom Italia SpA、Vectoreal を含む、画像、モバイルコンピューティング、Web の各分野を代表する業界大手や招聘専門家らの協調により策定されました。

World Wide Web Consortium [W3C] について

World Wide Web Consortium (W3C) は、会員組織、専任スタッフ、そして一般の皆様が一丸となって Web 標準の策定に取組む国際的なコンソーシアムです。W3C は、Web の長期的な発展を保証すべく設計された Web 標準や指針の策定を通じ、その使命の遂行に努めます。現在までに 400 を超える組織がコンソーシアムの会員となっています。W3C は、日本の慶應義塾大学、フランスに本部を置く欧州情報処理数学研究コンソーシアム (ERCIM)、及びアメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所 (MIT CSAIL) の各ホスト機関により共同運営されています。加えて各国地域における普及推進拠点となる W3C オフィスを世界各地に設置しています。詳しくは W3C の Web サイト http://www.w3.org/ をご参照下さい。

 

お問合せ先 (日本、アジア)
平川 泰之, <chibao@w3.org>, +81-466-49-1170
お問合せ先 (ヨーロッパ、アフリカ、中東)
Marie-Claire Forgue, <mcf@w3.org>, +33 4 92 38 75 94 または +33 6 76 86 33 41
お問合せ先 (アメリカ、オーストラリア、その他)
Janet Daly, <janet@w3.org>, +1.617.253.5884 または +1.617.253.2613

関連RSSフィード