XML 標準仕様群の改訂について (W3C 勧告)

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明確化と完全性を追求し、改訂された XML 仕様群

 

http://www.w3.org/ — 2006年8月16日 — World Wide Web Consortium (W3C) は本日、データ交換における基盤を構成する既存の XML 仕様群を改訂し、XML 1.0 (第4版)XML 名前空間 1.0 (第2版)、及び XML 1.1 (第2版)XML 名前空間 1.1 (第2版) をそれぞれ W3C 勧告として公開いたしました。本改訂により、これらの仕様では、少なからず解釈上の相違が生じかねなかった箇所が明確化されるとともに、これまで報告された全ての修正が盛り込まれています。W3C では、これらの仕様群に対する保守、管理を通じて関連コミュニティに貢献する W3C XML Core ワーキンググループに対し、謝意を表します。W3C において XML の表示、変換、最適化、暗号化、問い合わせを実現する技術仕様が着実に増加拡大している背景には、安定性が確保されたこれらの XML 基盤仕様群によって構成される強固な技術基盤の存在が挙げられます。

浸透する XML

XML は様々な分野や状況に応じて、情報交換の手段として利用されています。VoiceXMLMathMLSVGRSS、Web3D、RDF/XMLXMPXULSOAPAjax、Jabber/XMPP などは XML に基づく技術のほんの一例に過ぎません。皆さんも良く知る統合オフィスソフトである Microsoft Office や OpenOffice などでも XML が利用されています。XML はまた、ISO 標準を含め、ますます増加の一途をたどる様々な技術仕様から引用されています。

ところで、何故 XML はここまで広範に普及しているのでしょうか? まず、XML は構造化テキスト形式を採用しており、計算機で容易に処理できるだけでなく、利用者自身がデータそのものを目視で確認でき、その意味を推測することもできる他、容易に入手可能なソフトウェアを用いて簡単に誤りを修正することもできます。そのため、XML を用いることで、ソフトウェアの実装や管理といった作業も簡素化されます。XML はまた、効率的な構文解析を容易にする計算機環境に依存しないオープンな標準であることから、Java、C#、Python、Perl、C 言語といった一般的なプログラミング言語の実行ライブラリや、それらを用いて無償かつオープンソースで実装されたアプリケーションソフトウェアなどにおいて、急速に普及、利用されています。W3C は、標準仕様の普及と改善に継続的に貢献する xml-dev を始めとする XML に関する活発な議論の場に対し、感謝の意を表明します。加えて、XML の国際化対応により、全世界的な採用も実現しています。XML 1.1 を採用することで、世界中の利用者が XML 1.0 の真価を容易に享受できるようになります。XML SchemaXSLTSAXDOMXML 署名XML 暗号化を始めとする XML 技術群が、完全かつ経済的なデータ管理ソフトウェアツールキットとして機能することで、XML 技術のさらなる成功に寄与します。

XML に関する活動を継続する W3C

W3C は今後も強力に XML に関する活動を推進していきます。W3C では2006年末を目処に、XML Query 1.0 及び XSLT 2.0 をそれぞれ W3C 勧告として公開できるよう、鋭意準備を進めています。W3C ではまた、SOAP を用いた Web サービスにおいて重点的に利用されている XML Schema の改訂と、本年末に勧告化予定の XML Query 1.0 を基に、版を重ねた上での機能追加を検討しています。この他、W3C XML Processing Model ワーキンググループでは、既存の XML 連続処理ソフトウェアや、無償かつオープンソースで設計されるソフトウェアを参考に、変換、検証、統合、復号化といった XML 文書に対する一連の操作手順を規定する、XML に基づく新たな言語の草案初版をまもなく公開します。

一般的なデータ圧縮技術を XML 文書に用いることもできますが、XML を効率良く格納、送受信、処理するのに特化した技術も多数開発されています。W3C では、効率的な XML の交換を目的に Efficient XML Interchange ワーキンググループを設置し、ストリーミングにも応用可能な、より一層の優れた処理効率や追加機能を必要とする広範な分野への XML の普及を目指します。

World Wide Web Consortium [W3C] について

World Wide Web Consortium (W3C) は、会員組織、専任スタッフ、そして一般の皆様が一丸となって Web 標準の策定に取組む国際的なコンソーシアムです。W3C は、Web の長期的な発展を保証すべく設計された Web 標準や指針の策定を通じ、その使命の遂行に努めます。現在までに 400 を超える組織がコンソーシアムの会員となっています。W3C は、日本の慶應義塾大学、フランスに本部を置く欧州情報処理数学研究コンソーシアム (ERCIM)、及びアメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所 (MIT CSAIL) の各ホスト機関により共同運営されています。加えて各国地域における普及推進拠点となる W3C オフィスを世界各地に設置しています。詳しくは W3C の Web サイト http://www.w3.org/ をご参照下さい。

 

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