SOAP Version 1.2 ワーキングドラフトの公開について
W3C 会員と開発者コミュニティとの公開共同作業によって実現した XML ベースのデータ転送ソリューション
http://www.w3.org/ -- 2001年7月9日 -- World Wide Web Consortium (W3C) は本日、 SOAP Version 1.2 および XML プロトコル抽象モデルの最初のワーキングドラフトを公開いたしました。 設計における早期の段階でこれらのワーキングドラフトを正式に公開することにより、 W3C は一般の人々が SOAP Version 1.2 および XML プロトコル抽象モデルの開発動向を追うことができ、 幅広く受け入れられ採用されるであろう最終仕様へと貢献できることを保証しています。
Web の発展において必要不可欠な技術である XML プロトコル
Web のようにネットワーク化され、集中管理ではない分散環境において、 データ転送は、データストレージやディスプレイと同様、 今日の計算機環境においてはなくてはならない存在です。 XML がデータ処理に適したフォーマットとして登場したことにより、 ソフトウェア間、計算機間、あるいは組織間などを問わず、 アプリケーションレベルや階層における転送プロトコルを送信元と受信先の双方が合意することが課題となっています。
W3C の XML プロトコルアクティビティはこの問題を取り扱っており、 評価モデルとして W3C ノート SOAP/1.1 を用い、 XML プロトコル仕様に対する要求書と仕様自体の開発に取り組んでいます。 XML プロトコル要求書の作成と開発者コミュニティからの多大なるフィードバックコメントのレビューの後、 XML プロトコルワーキンググループは SOAP Version 1.2 および XML プロトコル抽象モデルを公開しました。
様々な W3C 勧告および洗練された処理モデルのサポートを提供する SOAP Version 1.2
XML プロトコルワーキンググループは、 通信メッセージをカプセル化する言語として XML を用い、P2P だけでなく、 複数の通信ピア間での通信を分散環境上で実現する技術の開発を目的としています。 これらのソリューションにより、 拡張可能かつ簡潔なメッセージ化形式の上に階層化されたアーキテクチャを構築することができ、 堅牢性、簡潔さ、再利用性、そして相互運用性をもたらします。
SOAP Version 1.2 は、データのシリアル化方法とメッセージ梱包形式を指定した XML ベースのメッセージ交換システムの具体的な枠組みを提供し、 XML の中核をなす技術の統合など、 ワーキンググループ憲章に明記された要求事項を満たします。 例えば、SOAP Version 1.2 ではオブジェクトや有向グラフのようなデータをシリアル化するために、 XML 語彙を拡張可能な方法で表現するための W3C 勧告である XML Schema によって提供されるデータ型を採用しています。 SOAP Version 1.2 ではまた、 複数の XML で書かれた言語を混在させるのに柔軟で軽量な機構である XML 名前空間も利用しています。
SOAP Version 1.2 は SOAP/1.1 仕様の解釈の相違による曖昧さを排除した、 洗練された処理モデルを提供します。 SOAP Version 1.2 は、 必須の拡張には明示的なエラーメッセージを提供することを強く勧めており、 これにより開発者により良い情報を提供し、 より良いアプリケーション開発を支援することになります。 これは SOAP Version 1.2 にとって、 より良い相互運用性および拡張性を保証する堅実な第一歩となります。
概念と関係性を詳述した XML プロトコル抽象モデル
XML プロトコルワーキンググループは XML プロトコル要求書や策定される仕様に従事するだけでなく、 このような技術が抽象レベルにおいて究極的にどのように設計されるだろうか、 という問題に言及する準備もしていました。 その結果である XML プロトコル抽象モデルワーキングドラフトは、 ワーキンググループのメンバーだけでなく、SOAP の以前のバージョンを用いて既にアプリケーション開発に携わっている他の開発者らに対し、 共通の語彙を提供します。
SOAP Version 1.2 の発展、安定性および早期の採用を保証する公開のプロセス
一般の人々に対する透明性と責務とを明確にするため、 W3C XML プロトコルワーキンググループは公開の場で作業しています。 W3C XML プロトコルワーキンググループの憲章は公開の文書であり、 技術的な議論は公開の xml-dist-app@w3.org メーリングリストで行われています。 また暫定ドラフトは公開され一般の人々のレビューとコメントを受け付けています。 W3C 会員組織外の開発者コミュニティや、 相互運用性のあるデータ転送メカニズムの開発に興味のある他の組織などが、 SOAP Version 1.2 の開発に関して有益な貢献をしました。
ワーキンググループのメンバーは以下の業界および技術を主導する組織によって構成されています: Active Data Exchange; Akamai Technologies; Allaire; AOL/Netscape; AT&T; BEA Systems, Bowstreet Software, キヤノン; Commerce One, Compaq Computer Corporation; Daimler-Chrysler Research and Technology; DataChannel; Data Research Associates; DevelopMentor; Engenia Software; Epicentric; Ericsson; Fujitsu Software Corporation (富士通); Group 8760; Hewlett-Packard Corporation; IBM; IDOOX s.r.o.; Informix Software; Intel Corporation; Interwoven; IONA Technologies; Jamcracker; Library of Congress; Lotus Development Corporation; 松下電器産業; Microsoft Corporation; MITRE Corporation; Oracle; Philips Research; Propel; Rogue Wave; SAP AG; Software AG; Sun Microsystems; TIBCO Software Inc., Unisys; Vitria Technology, Inc; webMethods; および Xerox
W3C プロセスに従い、 XML プロトコルワーキンググループは今後も一般からのフィードバックを反映して、 SOAP Version 1.2 と XML プロトコル抽象モデルに必要に応じて改訂を加えていきます。
World Wide Web Consortium [W3C] について
W3C は、Web の発展と相互運用性を確保するための共通のプロトコルを開発することにより、 Web の可能性を最大限に引き出すべく設立されました。 W3C は、 アメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学研究所 (MIT/LCS)、 フランス国立情報処理自動化研究所 (INRIA)、及び日本の慶應義塾大学がホスト機関として共同運営にあたっている国際産業コンソーシアムです。 コンソーシアムにより提供されるサービスには、 開発者および利用者のための World Wide Web に関する豊富な情報、 新技術を応用した様々なプロトタイプやサンプルアプリケーションの開発などが挙げられます。 現在までに、520を超える組織がコンソーシアムの会員となっています。 詳しくは http://www.w3.org/ をご参照下さい。
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