W3C - Web Contents Accessibility Guidelines (WCAG)を更新

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モバイルデバイス対応・弱視・コグニティブのための仕様が拡張. 国際的な認知がさらに広がる

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https://www.w3.org/ 2018年6月5日―W3Cは,  国際的に認知されているW3C Web Contents Accessibility Guidelines (WCAG)の仕様の重要な改新を発表しました.  これはデスクトップ,  ラップトップ,  タブレット,  モバイルデバイスへ対応を含んでいます.  WCAG2.1は,  W3C Web Accessibility Initiative (WAI)が長期にわたり開発してきた仕様に基づき拡張され世界各地で使用されており,  障害のある人々がウェブコンテンツにアクセスできるようにしました. 

 

 

W3C CEOのJeffrey Jaffeは下記のように述べています. 「W3CプロセスとWeb Accessibility Initiative (WAI)で活動するマルチステークホルダーが開発したWCAG 2.1は, ウェブデザイナーや開発者が障害者や高齢者ユーザが必要とする仕様を満たします.  Accessibility Guidelines Working Group (AG WG)は,  国際的な取り組みと標準化組織の双方が歩み寄りながら,  当初のスケジュール通りに発表するという快挙を成し遂げました. 」

ウェブサイト開発者がより多くのユーザにアクセスできるように

WCAG 2.1は,  既存するモバイルデバイスへのアクセシビリティの範囲を拡大し,  低視力や認知 (コグニティブ),  および学習障害の分野でさらに多くの仕様を追加しました.

「例えばモバイルデバイスに対しては,  WCAG 2.1はキーボードやマウスとともにタッチ操作のサポートが強化され,  タッチインターフェイスや他デバイスセンサーの意図しない作動を回避するためのガイドラインを加えています.  また低視力対応のためにはコントラスト要件をグラフィックスに拡張し,  テキストやレイアウトのカスタマイズへの適合性を向上させ,  コンテンツへの視覚機能をサポートします.  コグニティブには,  ユーザーインターフェースのパーソナライズを強化のためにコントロールや他のサイト要素の詳細な機能を記述する仕様が追加したことにより,  ユーザーはウェブコンテンツとのやりとりを,  より把握しやすくなります. 」と、Adobe社のアクセシビリティ統括者であるAndrew Kirkpatrick氏が語りました. 

WCAG 2.0のガイドラインを組み入れることで,  失明や低視力,  難聴やヒアリングロス,  制限された動作,  発声障害,  光感受性,  学習障害や認知的制限など,  障害のある人々,  そして全てのユーザーがウェブ上のコンテンツにアクセスしやすくなります. このガイドラインに沿うことは,  ウェブサイトが全てのユーザーにとってより使いやすいものとなるのです. 
 

W3C WAI - テストが可能なアクセシビリティガイドラインの継続

WCAG 2.1は,  2008年12月にW3C勧告として公開されたWCAG 2.0の第1回改訂版です.  本ガイドラインは,  現行のW3C標準技術仕様に合わせて実装可能であり,  技術観点からも中立し,  なおかつ普遍的なアクセシビリティガイドラインに適合しているW3Cのアクセシビリティガイドラインとなりました.  WCAG 2.0は, WCAG 2.1を適用したウェブサイトとの下位互換性を持ち,  W3C勧告に準拠しています.

WCAG 2.0は非常に安定し,  技術にとらわれない標準仕様として設計され,  各種サポート仕様の更新を通じて関連性を保っていました.  WCAG 2.0と同様に,  WCAG 2.1はWAIを継続的に更新できるように変更され,  WCAG 2.1の仕様とWCAG 2.1の技術を含む,  広範囲に渡る実装技術と教材のライブラリも搭載しています.

多くの支持が寄せられた今回の更新は,  全世界的で取組が期待されています

WCAG 2.1は,  アクセシビリティに重点をおいたビジネスや障害者コミュニティ,  研究機関,  教育機関,  そして政府など,  幅広い業界からの支持を受けています.

それに加えW3Cは,   国内および国際地域の標準とポリシーを制定するEuropean Norm (EN) 301 549や,  中国のウェブアクセシビリティ標準も議論しており,  それぞれの団体で独立した更新レビュープロセスを更新しています.

W3C WAIディレクターのJudy Brewerは, 「W3Cは, 全ての組織や個人のウェブコンテンツやアプリケーションでWCAG2.1を使用することを勧め,  新しいポリシーの更新時や開発時にはWCAG2.1を検討して,  障害を持つウェブユーザーやモバイルユーザーのニーズに対応することを奨励します.  私たちは,  将来の国際的なアクセシビリティガイドライン策定への開発も進めてゆきます. 」と語っています.

WCAG 2.1は,  W3C WAIで安定して発展している高品質なアクセシビリティガイドラインの一部であり,  Authoring Tool Accessibility Guidelines (ATAG) 2.0User Agent Accessibility Guidelines (UAAG) 2.0も含んでいます.  これらのガイドラインとWCAG 2.0, WCAG 2.1仕様はこちらをご覧下さい.
 

W3C (ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)について

W3Cの使命は,  誰もがオープンにアクセシブルに相互運用できるウェブの技術とガイドラインを通し,  ウェブの可能性を地球上のあらゆる場所で最大限に引き出すことです.  オープンウェブプラットフォーム上でHTML5やCSS,  そしてセキュリティ・プライバシーの仕様も含め,  W3CのPatent Policyの元に,  全てのウェブサイトに対して標準を策定しています.  キャプションと字幕付きのオンラインビデオをよりアクセシブルにするW3Cの技術は,  2016年のテクノロジー&エンジニアリングエミー賞を受賞しました.

400を超える会員と各産業の数千もの技術者が,  W3Cのビジョンである「One Web」を創り上げています.  W3Cは, 米国MIT Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory(MIT CSAIL:マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所), フランスEuropean Research Consortium for Informatics and Mathematics(ERCIM: 欧州情報処理数学研究コンソーシアム),  日本の慶應義塾大学,  及び中国の北京航空航天大学 (Beihang University)により共同運営されており,  各国にW3Cオフィスを設置しています.  詳細についてはこちらをご覧ください.

WAI (Web Accessibility Initiative)について

WAI (Web Accessibility Initiative)は,  世界各地の組織と協力して障害者や高齢者のためのウェブアクセシビリティを向上させるW3C内のアクセシビリティのプログラムです.  W3Cのアクセシビリティでは,  ウェブテクノロジーのアクセシビリティサポート,  アクセシビリティガイドライン作成,   改善された評価ツールをサポートするリソースの開発,  教育とアウトリーチのためのリソースの開発,  ウェブの将来のアクセシビリティに影響を与える可能性のある研究開発組織と議論,  国際的なウェブアクセシビリティ基準の調和を促進するなど,  多岐にわたって活動をしています.   WAIは米国保健福祉省の国立障害研究所 (National Institute on Disability), Independent Living, リハビリテーション研究所 (NIDILRR), EUの情報社会技術プログラム, Bocoup, Hewlett-Packard, IBMなど各組織からもサポートを受けています.  詳しくはこちらをご覧下さい.

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Amy van der Hiel, W3C Media Relations Coordinator <w3t-pr@w3.org>
+1.617.253.5628 (US, Eastern Time)

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