XForms 1.0 勧告候補の公開について

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実装準備が整った W3C の次世代フォーム技術

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http://www.w3.org/ -- 2002年11月12日 -- World Wide Web Consortium (W3C) は、XForms 1.0 を勧告候補として公開いたしました。XForms 1.0 は、目的と表示、そして XML 形式で得られる入力結果とを分離し、それらを組み合わせることで実現する、次世代 Web フォームの基盤技術です。

本仕様が勧告候補になったということは、本仕様が安定していることを意味しています。W3C XForms ワーキンググループは、広く一般の Web 開発者コミュニティに対し、 本仕様の実装と相互運用性の検証を呼び掛けます。

10年の歳月を超え、今こそ Web フォーム置き換えの時期

1993年に導入された HTML のフォームにより、Web 上での情報収集と、トランザクションを実現する方法が提供されました。 当時 Web アクセスに利用されていたデバイスと同様、 フォーム機構はその当時の多くのユーザの要求に適っていました。

しかし現在約10年近くが経過し、オリジナルの HTML のフォームの設計はその限界を露呈しています。ユーザは今、 携帯電話やハンドヘルドデバイスから、 あるいは音声による画面読み上げソフトウェアのようなユーザ補助技術を介して、 Web にアクセスしたいと望んでいます。 フォーム作成者は、目的と表示、 そしてフォームの入力結果を明確に分離するのと同じように、 スクリプトの記述を極力少なくするとともに、 フォームコンポーネントを最大限に再利用したいと考えています。 そしてもちろん、XML への移行を進めている企業は、他の事業とともに、 フォームを XML に移行する方法を模索しています。

W3C XForms ワーキンググループの共同議長を務める Steven Pemberton は次のように説明しています。「W3C の XForms を利用することにより、フォーム作成者は XHTMLSVGXML といったマークアップ言語にフォームを組み合わせることが可能となり、 フォームそのものの記述を最小限に抑えつつ、 その有用性を最大限に活かせるようになります。XForms ワーキンググループはフォーム実装者に対し、 今まで実現不可能だった機能をユーザ及びデバイスにもたらすフォームコンポーネントの開発、 再利用を容易にするモデルを提供します。」

目的と表示、入力結果を明確に分離する XForms

目的と表示のためのマークアップが一緒くたになっている HTML のフォームとは異なり、XForms では、フォーム作成者はフォームの目的の記述と、 フォームの表示部分、それからどのように実際に入力されたデータである入力結果を XML 形式で記述するかをそれぞれ分離し、区別できるようにします。

今までの HTML のフォームを、XForms モデル、入力されるデータ、そして XForms ユーザインタフェース、の3つに分割することで、 フォームの内容と表示を明確に分離しました。この分離により、 新たに次のような利点がもたらされます。

  • 再利用性: XForms モジュールは、 そのフォームで集めようとしている情報とは無関係に、 再利用することができます。
  • デバイス独立性: ユーザインタフェース制御部は抽象化されるため、 すなわち、単にインタフェースという機能を表現しているだけなので、 異なる特性をもつ様々なデバイス上でも容易に表示することができます。
  • アクセシビリティ: フォームの内容と表示を分離したことにより、 ユーザ補助技術を必要とするユーザでも、より容易に利用できるようになります。 加えて、ユーザインタフェース制御部は、 ラベルといった全ての関連するメタデータをカプセル化します。それにより、 様々な入力や表示方式にも対応でき、 アプリケーションのアクセシビリティを向上させます。

実際、XForms 技術はエンドユーザに対し、 機能的な欠落なしに、PDA や携帯電話、あるいは音声による画面読み上げソフトウェアや、 従来からの一般的なデスクトップコンピュータに至るまで、 いずれからのフォーム利用も可能にしています。

オンラインフォームに XML の機能を導入する XForms

XML は XForms モデルの核となる技術であり、XForms 技術の鍵となる次のような利点を提供します。

  • ある XForm に入力されたデータは、 データ型が規定され、整形式の、検証も可能で、処理も容易なデータ、つまり XML データとして得られます。 また入力されたデータをサーバ側に返送して検証する必要が減るため、 フォーム入力を迅速に行えるようになります。
  • XForms のデータ型定義には XML Schema が用いられますが、 そのスキーマ記述に変更が生じたとしても、XForms によって更新され、再利用することが可能なため、 その定義を利用したフォームは機能と有用性を維持したまま、 再利用することができます。
  • インスタンスデータと呼ばれる、実際に入力されたデータの表現に XML 1.0 を用いることで、入力されたデータの国際化への対応も保証されます。

さらに、XForms は当初、XHTML に統合すべく設計されていましたが、実際には SVG のような様々なマークアップ言語とも、 そのまま組み合わせて利用できます。また、一般的な利用形態に対応する XML ベースの宣言型のイベントハンドラを定義することで、 イベントハンドラに不可避なスクリプトの記述は抑えられ、XForms を含むほとんどの文書が静的に処理されるようになります。

業界リーダーらによって構成される XForms ワーキンググループはあなたの実装を必要としています

フォーム技術のような競争の激しい分野において、 万人が利用する標準技術の開発に非常に多くの先端組織が共に参加することは、 極めて珍しく、稀なことです。W3C XForms ワーキンググループは、今日の Web 上ですぐにでも利用できる技術開発を目的に、 これらの先端技術者や業界リーダーが一堂に会する場を提供します。XForms ワーキンググループには、 Adobe、 AOL/Netscape、 Cardiff、 Computer Associates、 CWI、 Electricité de France R&D、 ヘルシンキ工科大学、 IBM、 Novell、 株式会社 NTT ドコモ、 Openwave、 Oracle、 PureEdge Solutions、 SAP/Mozquito Technologies、 Sony/Ericsson、 Xerox が参加しています。多くの企業が現在及び将来的にソフトウェアでの XForms への対応を表明しています。

XForms ワーキンググループでは、 広く一般の開発者に対し、この新しい仕様の実装への取り組みと、XForms ワーキンググループメーリングリストへの、 実装に対するフィードバックの提供を求めています。

World Wide Web Consortium [W3C] について

W3C は、Web の発展と相互運用性を確保するための共通のプロトコルを開発することにより、Web の可能性を最大限に引き出すべく設立されました。W3C は、アメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学研究所 (MIT/LCS)、フランス国立情報処理自動化研究所 (INRIA)、及び日本の慶應義塾大学がホスト機関として共同運営にあたっている国際産業コンソーシアムです。 コンソーシアムにより提供されるサービスには、開発者及び利用者のための World Wide Web に関する豊富な情報、 新技術を応用した様々なプロトタイプやサンプルアプリケーションの開発などが挙げられます。 現在までに、450を超える組織がコンソーシアムの会員となっています。詳しくは http://www.w3.org/ をご参照下さい。

 

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