ウェブ発明者 ティム・バーナーズ=リー卿 チューリング賞受賞

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https://www.w3.org/ — 2017年4月4日、Webの発明者でありW3C (World Wide Web Consortium) のディレクターでもあるティム・バーナーズ=リー卿が、ACM (Association for Computing Machinery)から2016年のチューリング賞を受賞しました。

チューリング賞は、コンピュータ科学分野で革新的な功績を残した人物に年に1回送られる賞であり、この分野のノーベル賞と認識され世界最高の権威を持つ賞とされています。本賞の名は、理論計算機科学や人工知能、そしてチューリングマシンを開発した英国のコンピュータ科学者アラン・チューリング氏にちなんでいます。

 

logo ACM

 

この賞は、バーナーズ=リーが、ワールド・ワイド・ウェブ、最初のウェブブラウザ、およびウェブ技術が世界中で利用されるために必要な拡張性を担保する基礎的なプロトコルとアルゴリズムを発明したことに対して与えられました。ワールド・ワイド・ウェブは歴史の中で最も影響力のあるコンピューティング技術の一つであると捉えられ、現在では世界を繋げる社会基盤のプラットフォームになっています。

 

picture of Tim Berners-Lee

 

バーナーズ=リーは、「この度、チューリング賞を受賞したこと、そして他の受賞者の方々とご一緒できて光栄です。また、アラン・チューリング氏と関わることができ、恐縮にも思います。マンチェスターマーク*の開発チームに参加していた私の両親はチューリング氏を知っていました。チューリング氏はコンピュータが全て同等であることを明確にし、想像力で制限されたコンピュータに対し、プログラムする全ての人々へ挑戦を投げかけ、全てを変えたのです。」と述べています。

ウェブ発明後の1994年、バーナーズ=リーは、相互運用が可能な技術(仕様・ガイドライン・ソフトウェア・ツール)を開発するために、W3C (World Wide Web Consortium)を立ち上げました。

ウェブの構成要素の開発とバーナーズ=リーの役義は、W3Cで標準化として継続されます。W3CとW3C会員の使命は、ウェブの可能性を最大限に引き出し、ウェブとその活用に欠かせないウェブの標準化を進めることです。

W3C CEOのジェフェリー・ジャフェは「ウェブは世界に計り知れない影響を与えています。コミュニケーションの方法、知識をいかに収集するか、情報の確保、商業といかにして関与してゆくかなど、社会の全てを変えているのです。チューニング賞受賞は、コンピューティングを通したバーナーズ=リーのビジョンと貢献が世界に根付いたことを表します。」とコメントしています。

バーナーズ=リーは、2017年6月24日アメリカ・サンフランシスコにてチューニング賞50周年を記念する場で正式に本賞を受賞します。

*The Manchester/Ferranti Mark I : 世界初の商用汎用電子式コンピュータ

About Tim Berners-Lee

ティム・バーナーズ=リーは、英オックスフォード大学を卒業後、1989年CERN在籍中にWorld Wide Web (WWW)を発明し1990年に世界で初めてのWebクライアントとWebサーバを作成しました。彼の提案であるURI、HTTP、HTMLの各仕様はWeb技術が普及するに伴い、「いつでも、どこでも、どのデバイスからも」の理念に基づいたWebの利用を可能にし、世界の人々の生活を劇的に革新させたのです。

1994年、W3C (World Wide Web Consortium)ディレクターとしてWeb技術の標準化策定組織を創立し、2004年にはWebが人間に貢献するための研究を行なうWorld Wide Web Foundationをディレクターとして設立しました。現在、米MIT/CSAILの3Com創業者会冠教授兼分散情報グループ(DIG)のトップであり、英サウサンプトン大学電子コンピュータ科学部学部長兼教授でもあります。

About the ACM A.M. Turing Award

チューリング賞 (A.M. Turing Award)は、数学的基礎とコンピューティングの限界を繋げ、第二次世界大戦中にエニグマ暗号解析に貢献したアラン・M・チューリング氏にちなんで命名されました。1966年に創設されたこの賞は、システムや情報技術産業を革新させた科学者や技術者に贈られています。

About the World Wide Web Consortium

W3Cは、地球上あらゆる場所で誰もがオープンに、アクセシブルに、そして相互運用ができるウェブの技術標準とガイドラインを策定するために、ウェブの可能性を最大限に引き出すことを使命に掲げており、HTML5やCSSなど、全てのウェブサイトを構築する基盤技術を標準化しています。 キャプションと字幕付きオンラインビデオをよりアクセシブルにするW3Cの技術は、2016年のテクノロジー&エンジニアリングエミー賞を受賞しました。

400を超える会員と各産業の数千もの技術者が、W3Cのビジョンである「One Web」を創り上げています。W3Cは、米国MIT Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory(MIT CSAIL:マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所)、フランスEuropean Research Consortium for Informatics and Mathematics(ERCIM: 欧州情報処理数学研究コンソーシアム)、日本の慶應義塾大学、及び中国の北京航空航天大学 (Beihang University)により共同運営されており、各国にW3Cオフィスを設置しています。詳細についてはこちらをご覧ください。

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