W3C

特許方針草案の公開について

一般及び会員によるロイヤリティフリー草案の最終レビューコメントを本日より受付開始

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お問い合わせ先 (アジア) --
竹内 佐衣子, <saeko@w3.org>, +81.466.49.1170

(also available in English and French)


http://www.w3.org/ -- 2003年3月19日 -- World Wide Web Consortium (W3C) は本日、提案されたロイヤリティフリー特許方針の最終レビューコメントの受付を開始します。 W3C は本特許方針へのレビューが今回を以て最後となることを期待します。本特許方針は Web 基盤において鍵となる要素技術に対し、 抑止特許の可能性を抑える、といった特定の問題の解決を目的としています。 4月30日までの6週間の予定で、一般及び W3C 会員双方からの積極的なレビューとコメントが求められます。 最終的な特許方針に対する W3C 技術統括責任者による判断は、 全てのレビューコメントを考慮した上で2003年5月にも下される予定です。

特許方針ワーキンググループ議長であり、W3C Technology and Society ドメインリーダーでもある Daniel J. Weitzner は次のように述べています。 「特許問題に精通する多様な参加者により取りまとめられた本特許方針は、Web 成功の礎である、 革新の精神をより強固なものとします。我々は W3C 会員からの参加者や、 オープンソースあるいはフリーソフトウェアコミュニティの専門家らとともに、 非常に多くの時間を本特許方針の策定に費やしてきました。と同時に、 幾つもの草案に目を通し、 コメントをお寄せ頂いた一般のボランティアの皆様からの多大なご協力の賜物でもあります。」

3年もの月日を費やし、多様な関係者の尽力により策定された共通指針

W3C 特許方針ワーキンググループは、P3P 仕様策定に際し、 その技術開発の障害となった P3P に対する特許請求を受け、1999年10月に組織されました。本請求に対する法的分析により、特許侵害の恐れはないことが確認され、P3P 仕様の策定作業は成功裏に再開、完了しています。この問題を含め、幾つかの問題点を踏まえ、 W3C 会員間で特許問題に対する関心が高まりました。 本ワーキンググループが組織された理由の1つには、 特許を取り巻く変化する風潮の元で、W3C のワーキンググループが如何に Web 標準仕様の策定作業を成功裏に完了させるか、 という問題点についてより具体的な方法を見出す、という目的もありました。

Daniel J. Weitzner はまた次のようにも述べています。 「この複雑でしばしば訴訟問題にも発展する特許の分野で方針を策定するのは、 非常に困難を極めました。本提案に対する合意形成にあたり、 尽力して頂いた本ワーキンググループの全ての参加者に対し、賞賛を送ります。 確かに、特許保持者、オープンソース開発者、あるいはユーザ団体など、 何れのグループにおいても、 それらグループの各要求事項が本提案に全て盛り込まれたわけではありません。 しかし本最終草案では、一般的な所有権を有する販売形式から、 オープンソースに至るまでの広範囲なビジネスモデルに対し、W3C 標準仕様の幅広い採用を可能にする、共通かつ運用可能な指針が得られたと、 本ワーキンググループは自負しています。」

本ワーキンググループの参加組織には、 AOLApple ComputerAT&TAvayaDaisy ConsortiumHewlett-Packard CompanyIBMILOG S.A.IntelLexmarkMicrosoft CorporationMITREMotorolaNokiaNortel NetworksThe Open GroupOracle CorporationPhilips ElectronicsReuters, Ltd.Sun MicrosystemsXerox Corporation が含まれます。また Free Software FoundationSoftware in the Public Interest、及び、Open Source Initiative からの専門家も含まれます。

W3C 活動のオープン性を維持しつつ、特許保持の存在も認める特許方針

W3C 特許方針草案の第一目標は、ロイヤリティフリーに基づき、W3C 勧告の実装を可能にすることです。本方針はまた、 自身が保持しているかどうかに関係なく、W3C 勧告の実装に必要不可欠となり得る特許の存在に気付いた場合には、該当する W3C 会員に対し、その特許の開示を要求します。

簡潔にまとめると、本特許方針は次のようになります。

W3C 特許ライセンス要件と矛盾する技術の取り扱い方法について

W3C が提案した Web 標準仕様に、 本特許方針で定義された条件では利用できない技術が含まれてしまう可能性もあり得ます。 このような事態は、特許料の請求を求める特許保持者が現れた場合や、 他の9項の特許方針ライセンス要件の何れかに矛盾する場合に起こり得ます。 このような場合、W3C では問題調査を目的とした特許諮問委員会 (PAG) が召集されます。各 PAG は、該当するワーキンググループに参加している W3C 会員の代表者らによって構成されます。PAG は、特許の法的分析を勧めたり、 当該ワーキンググループに対し、特許に抵触しない技術設計を試みることや、 特許に抵触する機能の削除を試みることを促したり、あるいは場合によっては、 当該分野における全ての仕様策定活動の中止を提案する可能性もあります。

もし W3C ライセンス要件に矛盾しない結果が得られる全ての方法が検討され尽くしてしまったにも関わらず解決方法が見出せない場合、どのような方法を採用するにせよ、 PAG はその技術を含めるか否かについての判断を W3C 会員全体に委ねることになります。 そのような勧告には、明確なライセンス条項が一般公開され、なおかつ、一般、W3C 会員、及び W3C 技術統括責任者によるレビューを条件とすることが求められます。

Daniel J. Weitzner によれば、W3C 特許方針ワーキンググループは、 予測不可能な事態に対するある程度の柔軟性を確保しておきたいという要望に対し、 非ロイヤリティフリーライセンス条項についてはほとんど考慮しないことに結論付けました。 それでもなお、本方針は Web におけるロイヤリティフリー標準仕様に対する基本合意を堅持しています。 「我々は、このような例外の取り扱い方法について入念に検討し、 コメントの受付と承認を必要とする段階的な手続きを提案しています。 結果として、そのような例外を採択するには、ほぼ満場一致の支持が要求されます。 このような例外の取り扱いは非常に稀なケースとして利用されるべきであり、 他の全ての代替案が検討されてもなお結論が見出せない場合に限り、 唯一利用可能となる手続きです。」

W3C 特許ライセンス要件の適用範囲と、特許保持者に対する影響について

本方針は、特許保持者とそれ以外の全ての人双方を含む、Web の構築や利用に関わる全ての関係者の間で、 ロイヤリティフリーに基づく Web 標準仕様の実装を可能にすることを前提としています。しかし、 本方針は保持している特許一式全ての放棄を要求しているわけではありません。 本方針は特定の W3C 標準仕様の実装に必要不可欠な技術に対し、W3C のワーキンググループ参加者が特許を保持している場合のみを対象としています。

W3C 特許ライセンス要件と、 オープンソース及びフリーソフトウェア条項との一貫性について

W3C ロイヤリティフリーライセンス要件は、 一般的に認められているオープンソースライセンス条項と一貫性が取れています。 このロイヤリティフリー方針の明確化により、W3C 勧告それ自体が全てのユーザ及び実装者に対し、 真に提供されることが保証されます。

一般及び W3C 会員の皆様からのコメントを広くお待ちしております

W3C はレビュー期間を特別に延長し、一般及び W3C 会員双方からのレビューコメントをお待ちしております。また W3C では興味を持たれた関係者向けに、本特許方針の要約を提供しています。レビューコメントは、 アーカイヴが公開されている特許方針メーリングリスト宛にお送り下さい。 本最終草案に対するコメント受付期間は、本日より4月30日までとなります。

World Wide Web Consortium [W3C] について

W3C は、Web の発展と相互運用性を確保するための共通のプロトコルを開発することにより、Web の可能性を最大限に引き出すべく設立されました。W3C は、アメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学研究所 (MIT/LCS)、フランスに本部を置く欧州情報処理数学研究コンソーシアム (ERCIM)、及び日本の慶應義塾大学がホスト機関として共同運営にあたっている国際産業コンソーシアムです。 コンソーシアムにより提供されるサービスには、開発者及び利用者のための World Wide Web に関する豊富な情報、 新技術を応用した様々なプロトタイプやサンプルアプリケーションの開発などが挙げられます。 現在までに、430近くの組織がコンソーシアムの会員となっています。詳しくは http://www.w3.org/ をご参照下さい。