マルチモーダルWeb
- いつでも,どこでも,そして誰もが透過的にWeb上の情報にアクセスするために -

http://www.w3.org/2009/Talks/0904-fit2009/multimodal-web-ka/

Kazuyuki Ashimura <ashimura@w3.org>
4 September 2009

Sendai

本イベント企画の内容

(本スライドで説明する範囲)

我々はどこから来たのか 我々は何者か
 我々はどこへ行くのか

Where Do We Come From? What Are We? Where Are We Going? (ボストン美術館藏)

2009年イベント開催のねらい

2006年 - 日本と世界
日本国内における標準化活動の動向,および国際標準化の概要
2008年 - 国際標準化の最新動向
今後のWeb技術改善に関する国際標準化状況の詳細
そして2009年 - 日本の技術を世界標準へ!
「いつでも,どこでも,そして誰もが透過的にWeb上の情報にアクセスできる」というマルチモーダルWebを実現するにあたって,できること,やるべきこと

W3Cとは何か
- 5分でわかるWorld Wide Web Consortium

Web考案者 Tim Berners-Lee により創設された,Web技術標準化のための国際的産業コンソーシアム

使命
Webの相互運用性確保のために必要な,各種標準仕様および指針の策定
W3C会員
W3CのWeb技術標準化に賛同し標準化に取り組む,世界中の約400団体
標準化活動の主役!
W3Cチ−ム
会員による標準化作業を円滑に進めるお手伝い
仕様策定に関わる作業の支援,組織運営,広報,システム支援を担当

W3Cホスト

W3Cを共同運営する,3つの研究機関

アメリカ
マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所(MIT CSAIL)
フランス
欧州情報処理数学研究コンソーシアム(ERCIM)
日本
慶應義塾大学

W3C慶應ホスト

東アジア地区 (日本および韓国) を担当:

Web技術国際標準化の重要性

Standardization for Web

ワーキンググループ (WG) による仕様策定

議長:
各種会議およびスケジュールの管理 (W3C会員から選出)
チームコンタクト:
議長を補佐し会員の標準化活動を支援 (W3Cチームから選出)
Invited Expert:
標準化活動に必要な知識を持つ非会員の専門家を招聘
W3C's WG Structure Diagram

W3Cの活動へ参加するには?

Step1:
まず,W3Cの会員になる.
Step2:
そして,各仕様を作成するワーキンググループへ参加登録する.

これだけ.簡単ですね :)

ただし,W3Cは会員制の産業コンソーシアムなので...

W3C会費

会員種別に応じた 年会費

Full Member (フル会員)
総収入が年間 57.5億円以上の営利組織
会費年額: 740万円
Affiliate Member (アフィリエイト会員)
上記以外の組織 (非営利組織を含む)
会費年額: 85万円

さらに,OpenかつGlobalな仕様づくりを保証するために...

特許方針

Royalty Free Licence

W3C会員のメリット

WGへの参加
国際標準仕様作成に直接参加し,アイデアを盛り込める!
詳細情報の入手
一般には公開されない実装に必要な詳細情報を,会議やメーリスから取得できる!
専門家との議論
長年標準仕様策定に関わってきた専門家と議論して,問題点を解決できる!

是非,Web技術の国際標準化に直接ご参加ください!!!

マルチモーダルWeb
- (X)HTML+CSSだけじゃないWebアプリ

マルチモーダルWeb:
キーボードやマウスを用いた通常のPC上のWebブラウザのみならず,音声入出力,タブレット入力等,様々な入出力方法 (モーダル) を利用
MMIアーキテクチャ:
「モダリティ・コンポーネント (入出力装置を制御するクライアント)」と「インタラクション・マネージャ (情報を統合しアプリケーションの流れを司るサーバ)」からなる,Web上で利用する様々な入出力デバイスを透過的かつ統一的に扱うためのフレームワーク
ライフサイクル・イベント:
「モダリティ・コンポーネント」と「インタラクション・マネージャ」の間でやりとりされるユニバーサルな API.各装置ごとの差異は,ライフサイクル・イベントが運ぶデータ (EMMA) により吸収

MMI Architecture

MMIアーキテクチャの応用事例

マルチモーダル家電ネットワーク

GUI as IM for home network

マルチモーダルWebアプリケーションの具体例

Mashup技術により,携帯電話からリモートサーバ上の音声認識や地図検索を利用

speak4it

マルチモーダル時代のWebブラウザ

基本的なGUI機能の提供
今までのWebアプリケーションと同様,基本的なGUI機能 (キーボード,マウス,スクリーン等) を提供
スマート・クライアント化 - クライアント側における処理ロジック制御
SCXML等により,クライアント側機器上で,アプリケーションの処理ロジックを記述・制御
ミニ・サーバ化 - 他のクライアントに対するサービス提供
HTML5のWebsocket機能等により,他のモダリティ・コンポーネントにサービスを提供

パネル討論: マルチモーダルWeb実現の課題

本日の講演から:


パネル討論参加者から:

豊橋技科大 桂田: 研究の観点から

- 記述言語/ブラウザ実装の整備
情報入力用の言語 (VoiceXML, InkML以外に)
マルチモーダルブラウザの実装
- マウス/キーボード以外のインタフェースを一般に認知させる必要
通常のブラウザで動作可能なマルチモーダルインタフェース

マイクロソフト 五寳: Webブラウザ・ベンダの観点から

- 仕様を製品へ,いつ/どう反映するか
IE8でサポートしている標準 (優先項目: CSS 2.1, ACID3テスト対応等)
利用者の意見 (下位互換性の保証)
ActivXコントロール等,既存の独自技術との兼ね合い
- 日本独自の問題
日本語の場合,IMEを使うので,「確定」するまで情報が入力されない

Q&A コーナから:

NTT小林:
(Web標準技術を) 何に使うかが重要.今後広がっていきそうなマルチモーダル技術の適用アプリケーションとして.どのようなものが考えられるか?
芦村:
家電機器とWebとの連携
荒木:
セマンティック・ウェブなど,今までになかったスマートな処理ができると,(ユーザインタフェースのために) 複雑なマルチモーダルが必要になる.
桂田:
エージェント機能を実装したシステム
藤沢:
現状の機器が持つレベルの情報共有/公開の枠組を越えた,より柔軟な情報共有.例えばビデオの特定領域や,特定のシーンごとにひもつけできるようになる.そのような (柔軟なリンク参照を可能とする) ビデオデータを,テレビやビデオカメラにリンクさせる機能が必要になる.
高木:
ITSなどカーナビサービスは,(特定ベンダによる寡占状況ではあるが) 一種のマルチモーダル・システムといえる.今後,よりWeb的な (共通の) マルチモーダルとしていきたい.また,利用者の状況に応じたモーダルを,より柔軟に使い分けることができるようにしたい.
五寳:
ユーザインタフェースにおけるアクセシビリティを改善し,Webアプリケーションをより使いやすくしていく.
NTT小林:
RDFデータグラフを利用した知識獲得や,オントロジーのような概念モデルでユーザプロファイルを定義する等のアプリケーションに応用できないか.

お問合せ先

慶應義塾大学 SFC 研究所 W3C
〒252-8520 神奈川県藤沢市遠藤 5322
電話: 0466-49-1170
Fax: 0466-49-1171
email: keio-contact@w3.org
担当: 一色, 石倉, 芦村

関連情報

本スライド:

W3C全般について:

W3C Multimodal Interaction Working Groupについて:

標準仕様策定活動について

特許方針について