2014-3-10 // by Ian Jacobs // 1 Comment

Note: This is the Japanese version of Press Release: The World Celebrates 25 Years of the Web.


世界で祝すWeb25周年

Tim Berners-LeeがWorld Wide Webを発明してから25年

      2014年3月12日は、Tim Berners-LeeがWorld Wide Webを発明してから25年となる記念すべき日です。本日までに世界中のWebユーザからメッセージをいただいています。慶應義塾大学SFC研究所に、W3C/慶應義塾大学(W3C慶應)を1996年9月に設置して以来、東アジア地区を担当するW3C運営ホストを担っています。

  Berners-Leeが設立した2つの組織、World Wide Web FoundationとWorld Wide Web Consortiumは、この機会を軸に、オープンWebの保護と強化を推進してゆきます。W3Cは本年度10月に多くの方々をお招きしてシンポジウム(w3.org/20)を開催、World Wide Web FoundationはWeb We Want movement (webwewant.org)と称し、全ての国においてWebユーザの権利が法律的に保護されることを確保するためにグローバルなキャンペーンを進めます。

World Wide Web25周年に寄せるコメント

  2012年ロンドンオリンピック開会式で、Berners-Leeが全世界に語りかけた「This is for Everyone — 全ての人のために」という言葉は、Webそのものを指しています。そして本日、彼はこう述べています。
 
  「Webを使用する数十億の人々が、今の形にWebを造り上げたのです。その皆さんと共にこの記念すべき日をお祝いしたいと思います。この記念日は、Webにこの成功をもたらした信条を守るものでもあり、Webの限りない可能性をこれから先に、より解き放つものとなります。
 
  Webは全ての人のために造られるものです。全ての人がWebを使って、どのデバイスからも、人類としての権利と可能性を手に入れるために、そして誰の尊厳を損なうこともなく各人の目的を達成するために存在します。Webを使ったあなたの夢を、是非#web25へお寄せ下さい。」
     
  1989年3月以来、Webは全世界の中でコミュニケーション、創造、そしてコラボレーションをするためにその変化をし続けています。今や全人口のうち、5分の2を超える人々が地理や文化の違いを超えて繋がっています。毎分のように数百億のメッセージが飛び交い、200万枚以上の写真を共有し、少なく見積もっても1,500万ドルの品やサービスが行き交っています。Webの成功とは、そのオリジナルデザインが分散的なシステムであり、誰もが創り上げることができるオープンなアーキテクチャであるからと言えるでしょう。
 
  W3Cは、飽くなき挑戦やそれらの打開案を追求し続けることで、未だにその才幹を全て露わにしていないオープンなWebの本領を見いだすことができます。本年度2014年、そしてその先も、Berners-Leeは全てのWebユーザ、ビジネスに携わる人々、そして政策決定機関のためにも特に次の課題へ挑戦し続けます。

         
  • 未だにWebに繋がっていない全人口の5分の3の人々に、どのように繋がっていったらいいでしょうか?
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  • 国や地域によって展開されているインターネットの規制へどのように関わってゆけるでしょうか?未だ混迷を持つWebへのダメージを解決する方向へ向けた包含的な解決法は?
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  • Webは、検閲や監視、サイバー犯罪などにより常に脅かされています。どのようにして、オンライン上での社会的な自由やプライバシー、そしてセキュリティを確保する事ができるでしょうか?
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  • 現在、10%未満の政府がWebの能力を利用して、公共交通機関や腐敗防止を向上させるべく、そのデータの再利用を驚くべき早さで採用・展開しています。オープンデータの真価を解き放つために、どのようなステップを実施してゆくべきでしょうか。
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  • 産業界は、オープンWebプラットフォームに相互運用や可動性を備えた、あらゆる形やサイズのデバイスに繋がるパフォーマンスを期待しています。それらに応えるべく、どのようにその各多様性に取り組んでいったらよいでしょうか。
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  • 限られた社会の中でのコミュニケーションに対して、継続した変化と先進性を追求し続ける開かれたエコシステムを展開するにはどのようにしたら良いでしょうか?
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  そしてBerners-Leeはこうも述べています。「本当にWebを全ての人に届けるためには、全ての人が“次の25年”を見据えてゆかなければなりません。」
 
  どうぞ、#web25へメッセージをお寄せ下さい。webat25.orgサイトへ掲載させていただく場合もございます。
 

今後のイベント等について

  Tim Berners-Leeは、日本時間3月13日(木)午前5:00(グリニッジ標準時3月12日(水)午後20時)、Redditで AMA (Ask Me Anything –何でも聞いてね)セッションを開催します。是非ご参加下さい。
 
  また、Web Foundationが共同運営しているwebwewant.orgへご登録下さい。所在国や各コミュニティで開催される、Web上におけるユーザの権利や実践の議論やイベントを随時ご案内します。
 
  本年度10月29日(水)には、W3Cの20周年記念シンポジウムがアメリカ・サンタクララにて開催され、その様子はライブストリーミングでも中継されます。その祝賀会は、数々のディスカッションを通して、Webの未来形への構想を膨らませるまたとない機会となるでしょう。
 
  W3Cを始め、多くの組織がWeb25周年を記念する活動を予定しています。随時更新されるwebat25.orgをご覧いただき、是非ご参加下さい。
 
  W3CとWorld Wide Web Foundationは、本祝賀へ多大なご協力をいただいているIntel社に感謝の意を表します。
 

参考情報

【Web(初期)の軌跡】

     
  • 1989年3月:Tim Berners-LeeがCERN (欧州原子核研究機構)にて「Information Management: A Proposal」を執筆・回覧。
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  • 1990年10月:Berners-LeeがNeXTStepの開発環境を使用したGUI browser+editorのハイパーテキスト開発に着手。
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  • 1991年8月:FTPを経由したWebソフトウェアがインターネット上で実行可能となる。
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  • 1992年8月:Pei Wei’s “Viola” GUIブラウザのXテストバージョンが使用可能となる。
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  • 1993年2月:NCSAがMarc Andreessen「Mozaic for X」の試作品を発表。
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  • 1993年4月:CERNがWWW (World Wide Web)技術は、誰もが無償で使用できるという声明を発表。
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  • 1994年5月:第一回目のWWW会議をスイス・ジュネーブで開催。
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  • 1994年10月:Berners-LeeがW3C (World Wide Web Consortium)を創設。
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  • 2004年以降のWebの軌跡は、Tim Berners-Leeのプレゼンテーション『How it all Started』をご参照下さい。

【Tim Berners-Leeについて】

  英オクスフォード大学を卒業後、1989年の欧州原子核研究機構(CERN)在籍中にグローバルな情報共有を実現するため、インターネットを使ったハイパーメディア・イニシアチブであるWorld Wide Web (WWW)を発明し、1990年に世界で最初のWebクライアントとWebサーバを作りました。彼の提案したURI、HTTP、HTMLの仕様は、Web技術の普及に伴い洗練されたものとなっていきました。

Tim Berners-Lee職位

         
  • World Wide Web Consortium (W3C)ディレクター
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  • World Wide Web Foundation ディレクター
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  • 米マサチューセッツ工科大学工学部電気工学科及びコンピュータ科学・人口知能研究所(CSAIL)の3Com創設者会冠教授兼分散情報グループ(DIG)トップ
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  • 英サウサンプトン大学電子コンピュータ科学部学部長兼教授
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Tim Berners-Leeの経歴詳細(英文)はこちらをご覧下さい: w3.org/People/Berners-Lee/
 

【ワールドワイドウェブコンソーシアムについて】

  World Wide Web Consortium (W3C)は、Web標準化の開発を目的とし、会員組織、フルタイムスタッフ、および公的団体が連携する国際コンソーシアムです。W3Cは、Webの長期的な成長の確保を目的としたWeb標準およびガイドラインの作成を通じ、その使命に尽力しています。Open Web Platformは現在、我々が最も注力している分野です。380を超える組織が、本コンソーシアムの会員として参加しています。W3Cは、米MIT Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory (MIT CSAIL: マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所)、仏European Research Consortium for Informatics and Mathematics (ERCIM: 欧州情報処理数学研究コンソーシアム)、中国Beihang University (北京航空航天大学)、および日本の慶應義塾大学により共同運営されており、各国のW3Cオフィス各国にW3Cオフィスを設置しています。詳細については、w3.orgをご覧下さい。
 

【ワールドワイドウェブファンデーションについて】

      World Wide Web Foundationは、オープンWebを使用する際の基本的権利を保つため、そして誰もが世界中のどこからでもグローバルにコミュニケーションをとれるようにするために、Tim Berners-Lee卿によって設立されました。
 
  World Wide Web Foundationは、60カ国に渡り90を超えるパートナー組織と共に20のチームで構成されています。現在は、急成長をしているWeb We Wantと共に開示された契約に伴うOpen Contracting Data Standardの創案・遂行に取り組んでおり、幅広い技術分野を網羅するAlliance for Affordable Internetを率いる先駆者でもあります。
 
  World Wide Web Foundationは、Webの普及や有用性、その影響力等を多次元に測るためのガイドラインであるWeb Indexも制定しています。Web Indexは2012年の公開後に各批評家から賞賛を受けました。2013年版は20カ国上以上における価額、検閲、監視、ジェンダー、オープンデータ等の主要テーマを加えて刊行されています。

This is a translation of the original English post Welcome to the Web’s 25th Anniversary, which also includes video.

Comments

  1. kukita

    I am alive by benefiting from Web. Thank you for Web!