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W3C

日本語組版処理の要件(日本語版)

W3C 草案 2008年10月15日

このバージョン:
http://www.w3.org/TR/2008/WD-jlreq-20081015/
http://www.w3.org/TR/2008/WD-jlreq-20081015/ja/ (日本語版)
最新バージョン:
http://www.w3.org/TR/jlreq/
旧バージョン:
http://www.w3.org/TR/2008/WD-jlreq-20080411/
編者:
阿南 康宏, Microsoft
千葉 弘幸, Invited Expert
枝本 順三郎, Invited Expert
Richard 石田,W3C
石野 恵一郎, Antenna House
小林 龍生, JustSystems
小林 敏, Invited Expert
小野澤 賢三, Invited Expert
Felix 佐々木, W3C

この文書の英語版は承認文書です。


要約

この資料は、CSS、SVGおよびXSL-FOなどの技術で実現が求められる一般的な日本 語組版の要件を記述したものである。この資料は、主としてJIS X 4051(日本語 組版規則)に基づいている。しかし、一部、JIS X 4051に記載されていない事項 にも言及している。現状のこの資料は、素案段階にある。

この資料の状態(Status of this Document)

この資料の状態については、英語版を参照します。


目次

はじめに
   1.1 このドキュメントの目的
   1.2 このドキュメントの作成方法
   1.3 このドキュメントの執筆方針
   1.4 このドキュメントの構成
   1.5 用語の参照その他
1 日本語組版の基本
   2.1 日本語文書の基本となる組体裁
      2.1.1 組体裁の設計
      2.1.2 基本となる組体裁
      2.1.3 基本となる組体裁の主な設計要素
      2.1.4 基本版面の設計要素
      2.1.5 基本版面と実際のページの設計例
   2.2 和文文字―漢字と仮名のサイズ
      2.2.1 日本語組版に使用する文字
      2.2.2 漢字等,平仮名,片仮名
      2.2.3 漢字及び仮名の配置の原則
   2.3 組方向(縦組と横組)
      2.3.1 日本語の組版における組方向
      2.3.2 縦組と横組の主な相違点
   2.4 基本版面の設計
      2.4.1 基本版面の設計手順
      2.4.2 基本版面の設計の注意点
   2.5 基本版面の設計要素の各ページに対する適用
      2.5.1 基本版面のサイズからはみ出す例
      2.5.2 基本版面で設定した行の位置の適用
      2.5.3 基本版面で設定した文字位置の適用
   2.6 柱とノンブル
      2.6.1 柱及びノンブルの位置
      2.6.2 柱及びノンブルの配置の原則
      2.6.3 柱及びノンブルの配置方式
行の組版処理
   3.1 約物などの組版処理
      3.1.1 縦組と横組で異なる約物など
      3.1.2 句読点や括弧類などの基本的な配置方法
      3.1.3 読点[、] (IDEOGRAPHIC COMMA)及び中点[・] (KATAKANA MIDDLE DOT)の例外的な配置方法
      3.1.4 始め括弧類(cl-01)、終わり括弧類(cl-02)、読点類(cl-07)、句点類(cl-06)が連続する場合の配置方法
      3.1.5 行頭の始め括弧類(cl-01)の配置方法
      3.1.6 区切り約物(cl-04)とハイフン類(cl-03)の配置方法
      3.1.7 行頭禁則
      3.1.8 行末禁則
      3.1.9 行末に配置する終わり括弧類(cl-02),句点類(cl-06),読点類(cl-07),<a class="characterClass" href="#cl-05-ja">中点類(cl-05)</a>の配置方法
      3.1.10 分割禁止
      3.1.11 1 行の調整処理で字間を空ける処理に使用しない箇所
      3.1.12 行の調整処理例
   3.2 和欧文混植処理(縦中横処理を含む)
      3.2.1 和文と欧文との混植
      3.2.2 横組の和欧文混植に用いる文字
      3.2.3 縦組の和欧文混植に用いる文字
      3.2.4 全角のモノスペースの欧字及び全角のモノスペースのアラビア数字の配置法
      3.2.5 縦中横の処理
      3.2.6 プロポーショナルな欧字を用いた和欧文混植処理
   3.3 ルビと圏点処理
      3.3.1 ルビの使用
      3.3.2 ルビの付け方
      3.3.3 ルビの文字サイズ
      3.3.4 親文字のどちら側にルビを付けるか
      3.3.5 モノルビの親文字に対する配置位置
      3.3.6 グループルビの親文字に対する配置位置
      3.3.7 熟語ルビの親文字に対する配置位置
      3.3.8 ルビが親文字よりはみ出した場合の処理
      3.3.9 圏点の処理
   3.4 割注処理
      3.4.1 割注の利用
      3.4.2 割注の文字サイズと行間など
      3.4.3 割注を本文の2行以上にわたって配置する処理
   3.5 段落整形,そろえ及び段落末尾処理
      3.5.1 段落先頭行の字下げ
      3.5.2 字下げと字上げ
      3.5.3 そろえの処理
      3.5.4 段落末尾処理
   3.6 タブ処理
      3.6.1 タブ処理の利用
      3.6.2 タブ処理で指定する配置位置に揃える形式
      3.6.3 タブ処理を行う対象の文字列の配置法
   3.7 その他の行組版処理
      3.7.1 添え字処理
      3.7.2 振分け処理
      3.7.3 字取り処理
      3.7.4 等号類と演算記号の処理
   3.8 行の調整処理
      3.8.1 行の調整処理の必要性
      3.8.2 詰める処理と空ける処理
      3.8.3 詰める処理の優先順位
      3.8.4 空ける処理の優先順位
   3.9 文字クラスについて
      3.9.1 文字・記号により振る舞い方は異なる
      3.9.2 文字・記号を振る舞い方により分ける
      3.9.3 各文字クラスの配置方法

付録
1 文字クラス一覧
2 文字間の空き量
3 文字間での分割の可否
4 行の調整処理で詰める処理が可能な箇所
5 行の調整処理で空ける処理が可能な箇所
6 熟語ルビの配置方法
7 用語集
8 参考文献(参考)
9 変更記録(参考)
10 謝辞(参考)


1 はじめに

1.1  このドキュメントの目的

書記システムは,言語,文字と並び,文化を構成する重要な要素である.それぞれの文化集団には独自の言語,文字,書記システムがある.個々の書記システムをサイバースペースに移転することは,文化的資産の継承という意味で,情報通信技術にとって非常に重要な責務といえよう.

この責務を実現するための基礎的な作業として,このドキュメントでは,日本語という書記システムにおける組版上の問題点をまとめた.具体的な解決策を提示することではなく要望事項の説明をすることにした.それは,実装レベルの問題を考える前提条件をまず明確にすることが重要であると考えたからある.

1.2  このドキュメントの作成方法

このドキュメントの作成は,W3C Japanese Layout Task Forceが行った.このタスクフォースは,次のようなメンバーで構成され,ユーザーコミュニティーからの要望と専門家による解決策を調和させるために様々な議論を行ってきた.

  1. 日本語組版の専門家(“JIS X 4051:日本語文書の組版方法”のエディターたち)

  2. 日本における国際化,標準化活動の専門家(マイクロソフト,アンテナハウス,ジャストシステムの社員)

  3. W3CのXSL,CSS,SVG,国際化コアなどのワーキンググループメンバー

また,このタスクフォースは,バイリンガルによるものとしても,画期的なものといえよう.ディスカッションは,日本語の組版を問題とすることから,主として日本語で行った.しかし,議事録とメーリングリストは英語のものを用意した.W3CのXSL,CSS,SVG,国際化コアなどのワーキンググループメンバーとの英語及び日本語によるフェイス・ツウ・フェイスの会議を開催した.

ドキュメントも日本語で準備し,これを英訳し,2つのドキュメントを公開することにした.用語についても,特殊な用語は極力避けるように努めた.英語の用語との対応についても,用語の定義内容を検討し,概念に対応できない部分を持つ場合は,日本語の用語はローマ字で表現し,今後の課題として残した.さらに,日本語組版を見慣れていない読者のために,要望事項の説明をわかりやすい英語と図表で行うように努力した.

1.3  このドキュメントの執筆方針

日本語組版は,欧文組版と異なる事項がある.主に次の点で異なる.

  1. 日本語組版には,横組だけでなく,縦組がある.

  2. 日本語組版で使用する漢字等(cl-19)平仮名(cl-15)片仮名(cl-16)字幅は,原則として全角モノスペースであり,これを原則としてベタ組にする.

このドキュメントでは,このことを前提にして,主に日本語組版の特徴を次の方針で解説する.

  1. 日本語組版のあらゆる事項を対象とするのではなく,欧文組版と異なる事項を主に取り上げた.

  2. 日本語組版の表現された結果又は表現されるべき結果だけを問題とする.あくまで日本語組版として要求される事項を取り上げ,具体的にどのように処理するかは別の次元の問題と考えるからである.

  3. 日本語組版の日本工業規格(JIS)に“JIS X 4051(日本語文書の組版方法)”がある.これとの参照関係をできるだけ示すことを心掛けた.また,JIS X 4051に記述していない事項を除き,基本的な事項にできるだけ限定した.したがって,詳細な処理内容はJIS X 4051にゆずり,参照だけで示した箇所がある.日本語組版に本格的に対応するためにはJIS X 4051を参照する必要があるが,それ以前の基本的な理解を深めることがまずは重要と考えたからである.JIS X 4051で規定されている内容だけではなく,それ以外で重要と思われる事項については解説する.

    したがって,このドキュメントとJIS X 4051との関係でいえば,JIS X 4051の要点の解説あるいは要約,補足説明,それに関わる周辺情報の追加,JIS X 4051で規定していない事項の解説ということになる.したがって,基本的な事項を理解するためであれば,このドキュメントで十分であるが,詳細な内容を知るためにはJIS X 4051を参照する必要がある.

  4. ある組版処理がどのような局面で使用されるかをできるだけ示すように心掛けた.

  5. 日本語組版に日常的に接していない読者のために,説明している事項の使用頻度について簡単に解説した.これは実際に調査した結果ではなく,執筆者の読書経験による判断である.これは日常的に日本語組版に接している読者にはある程度判断できることであるが,そうでない読者のために,ある程度の使用頻度情報を伝えるためである.したがって,組版処理事項の重要さをある程度判断するができるようにすることを主な目的とするので,情報の正確性を求めないでほしい.

    例えば,“割注の使用頻度は多くないが,その該当用語が出てきた箇所に直接補足説明できることから,古典や翻訳書において人物・用語等の簡単な紹介に重要な役割を果たしている”のように説明し.これに対し,“ルビは,最近では新聞でも採用しており,多くのドキュメントで利用されている.”のように示すことにする.

  6. 日本語組版に接していない読者を考慮し,できるだけ図解して示すようにした.また,例示も多くするように心掛けた.

  7. 組版処理と読みやすい組版設計の関係は別問題である.しかし,両者は不可分の関係があり,解説でも両者を同時に説明する事項もでてくる.しかし,できるだけ両者を区別して記述することを心掛けた.具体的な方法としては,読みやすい組版設計の解説は,できるだけ注記で述べるようにした.

  8. このドキュメントの解説では,組版処理の対象を主に書籍とする.筆者の経験がその点に最も深いこともあるが,日本語組版処理において質の面から書籍の組版が重要と考えるからである.量が多いというだけでなく,質の面から見ると,書籍組版は多くの問題点をもっている.書籍組版は,その処理内容が多様であり,これらについて最も古くから多くの人により問題点が考えられ,かつ指摘されてきた経緯がある.処理そのものについては,書籍の組版処理はむつかしく,また要求のレベルが高かったという点もある.また,書籍で考えられてきた事項の多くが,その他のドキュメントでも応用できる点が多いといえよう.

    しかし,使用頻度という点でいえば,雑誌,マニュアル,Web上のドキュメント等の重要性は,書籍と変わらない.また,これらのドキュメントの組版処理では,書籍とは異なる事項も含んでいる.これらにおける問題点は,次の課題としたい.

1.4  このドキュメントの構成

このドキュメントは,次の3つの部分で構成されている.

1 日本語組版の基本

2 行の組版処理

3 版面の構成方法

第1章では,日本語組版で使用される文字の特徴,縦組横組の相違点,基本版面の設計方法及びその適用方法などについて解説した.

第2章では,漢字等(cl-19)平仮名(cl-15)片仮名(cl-16)約物だけでなく文字に添えて行間に配置されるルビ処理や欧文を含む行の組版処理及び行内での文字配置方法を解説した.

第3章では,見出し,注,図版などの構成方法及び配置方法を解説した.

なお,日本語組版は,原則として全角モノスペースの文字・記号を字間を空けずに(ベタ組にして)配置する.このことを前提にして本の基本となる版面(基本版面)を設計する.そのうえで実際のページでは,基本版面の設計に従い図版や文字・記号などを配置する.この基本版面の設計と,それに従いどのように図版や文字・記号などを配置するかを理解することは,日本語組版を理解する重要なポイントである.そこで,第1章では,基本版面の設計とその適用方法について,詳細に解説した.特に,“1.5 基本版面の設計要素の各ページに対する適用”では,次の3点について,基本版面で設計した事項のどこを厳守し,どのような例外がでるかについて,典型的な例を解説した.ここでの説明の目的は,日本語組版を理解してもらうためのものであり,各要素の詳細な解説は,第2章と第3章で行うので,説明が一部では重なる部分もでてくる.

  1. 基本版面で決定した版面の全体のサイズ又は段組などその構造をできるだけ維持する.ただし,例外がある.

  2. 基本版面で決定した行の位置をできるだけ維持する.ただし,例外がある.

  3. 基本版面で決定した文字位置をできるだけ維持する.ただし,例外がある.

1.5  用語の参照その他

このドキュメントで使用している用語の定義は,別ドキュメントで行った.用語の表記及び参照等は,次のように行った.

後送

2 1 日本語組版の基本

2.1  日本語文書の基本となる組体裁

2.1.1  組体裁の設計

日本語文書の組体裁は,以下の順序で設計する。

  • まず、基本となる組体裁を設計する。

  • 次に、それを基準として文書の実際のpage設計を行う。

2.1.2  基本となる組体裁

基本となる組体裁は,書籍では,1パターンであることが多いが,雑誌では一般に数パターンを作成する.

書籍では,1パターンといっても,前述したように目次などは,基本となる組体裁を元に設計をしなおす.また,索引は,基本となる組体裁とは異なる組方になる例が多く,縦組の書籍でも,索引横組とし,段組とする例が多い.この場合でも,基本となる組体裁で設計した版面サイズと索引の版面サイズが近似するように設計する.

雑誌は,性格の異なる記事の集合である.そこで記事内容により,ある部分は9ポイントの3段組,ある部分は8ポイントの4段組と,記事内容により組方を変えている例が多い.

2.1.3  基本となる組体裁の主な設計要素

基本となる組体裁の設計要素(縦組の例)

図1]: 基本となる組体裁の設計要素(縦組の例)

基本となる組体裁の主な設計要素としては,次がある(縦組の例を[図1]に示す).

  1. 仕上りサイズと綴じる側([図2]参照,日本語文書では一般に縦組では右綴じ,横組では左綴じ

  2. 基本となる組方向(縦組又は横組

  3. 基本版面の体裁及びその仕上りサイズに対する位置

  4. ノンブルの体裁

綴じる方向(右綴じと左綴じ)

図2]: 綴じる方向(右綴じと左綴じ)

2.1.4  基本版面の設計要素

本の基本として設計される版面体裁が基本版面である.基本版面の設計要素としては,次がある([図3]参照).

注1)

基本版面で設計した各要素が,実際のページでどのように適用されるかは日本語組版の特徴を理解するための重要なポイントである.そこで,その詳細は後述する.

注2)

基本版面の指定等については,JIS X 4051の7.5に規定されている.

注3)

仕上り用紙サイズ別の基本版面の設計例(及びノンブルの設計例も含く)及び組版例が,JIS X 4051の附属書3及び附属書4に掲げられているので参考になる.

基本版面の設計要素(縦組の例)

図3]: 基本版面の設計要素(縦組の例)

  1. 使用する文字サイズ及びフォント名

  2. 組方向(縦組又は横組

  3. 段組の場合は,段数及び段間

  4. 1行の字詰

  5. 1ページに配置する行数(段組の場合は1段に配置する行数)

  6. 行間(又は行送り

2.1.5  基本版面と実際のページの設計例

基本となる組体裁を設計し,それを基準に文書の実際のページにおける各要素の配置設計を行う例をいくつか示しておく(なお,この点を含め,基本版面の設計要素が各ページでどのように適用されるかについては“1.5 基本版面の設計要素の各ページに対する適用”で解説する).

  1. 見出しを配置するスペースと位置

    見出し行送り方向のスペースは,基本版面で設定した行の位置を元に,それの何行分を用いるかという方法で設計する(この処理方法については,JIS X 4051の8.3.3のd)に規定されている).見出し字詰め方向の字下げは,基本版面で設定した文字位置を基準に,その何字分を下げるかという方法で一般に設計する.[図4]の例は,見出し基本版面で設定した行の位置の3行の中央に配置し,基本版面で設定した文字サイズの4字下がった位置に配置している.

    追1-1 基本版面で設計した行の位置を基準とした見出しの設計例

    図4]: 基本版面で設計した行の位置を基準とした見出しの設計例

    注1)

    見出しの種類や構成,その配置方法等についての詳細は,“3.1 見出し処理”で解説する.

  2. 配置する図版のサイズ

    横組の2段組図版を配置する場合,図版の左右サイズは,できるだけ基本版面で設計した1段の左右サイズ又は基本版面の左右サイズを基準に設計し,そのいずれかのサイズで配置できるときは,そのように決める([図5]参照).また,位置は,多くは版面の又はなどに揃えて配置する([図5]参照).

    追1-2 横組の2段組における版の設計例

    図5]: 横組の2段組における図版の設計例

    注1)

    図版の配置方法についての詳細は,“3.3 図・写真等の配置処理”で解説する.

  3. 目次の版面サイズ

    書籍の目次の版面サイズは,基本版面のサイズを基準に設計する.例えば,縦組目次では,左右の行送り方向のサイズは基本版面のサイズと同じにし,字詰め方向のサイズは,やや小さくする例が多い([図6]参照).

    追1-3 縦組の目次版面の設計例

    図6]: 縦組の目次版面の設計例

    注1)

    基本版面と異なる版面にした場合の及びノンブルに位置については,“1.6.2 及びノンブルの配置の原則”で解説する([図49]参照).

2.2  和文文字―漢字と仮名のサイズ

2.2.1  日本語組版に使用する文字

日本語組版に使用する和文文字では,主に漢字等(cl-19)平仮名(cl-15)片仮名(cl-16)を使用する([図7]参照).

漢字・平仮名・片仮名

図7]: 漢字・平仮名・片仮名

注1)

日本語組版には,漢字と仮名以外に,多くの約物類([図8]参照)のほかに,アラビア数字ラテン文字ギリシャ文字などを混用する場合がある.

日本語組版に使用する約物類の例

図8]: 日本語組版に使用する約物類の例

注2)

このドキュメントにでてくる文字及び文字クラスの詳細は,“2.9 文字クラスについて”,及び別ドキュメントの“用語集”で解説する.また,Appendix 〓に各文字クラスに含まれる文字・記号とUnicodeとの対応を示す.

2.2.2  漢字等,平仮名,片仮名

漢字等(cl-19)平仮名(cl-15)片仮名(cl-16)は,正方形の仮想ボディ(又は文字の外枠ともいう)をもっており,その仮想ボディ左右中央に,仮想ボディよりやや小さくした字面をもっている.文字サイズは,この仮想ボディのサイズで示す([図9]参照).なお,字幅は,文字を配列する方向(字詰め方向)の仮想ボディの大きさをいい,横組では文字の幅となるが,縦組では文字の高さとなる.([図9]参照)

漢字と仮名のサイズの示し方

図9]: 漢字と仮名のサイズの示し方

注1)

小書きの仮名(cl-11-ja)(っ,ょ,ュ,ァ,ィ,ゥなど)は,縦組では仮想ボディ中央で右寄り,横組では仮想ボディの左右中央で下寄りに字面を配置する([図10]参照).また,約物などでは,仮想ボディ左右中央に配置しない例がある.

小書きの仮名と仮想ボディの関係

図10]: 小書きの仮名と仮想ボディの関係

2.2.3  漢字及び仮名の配置の原則

漢字等(cl-19)平仮名(cl-15)片仮名(cl-16)は,行に文字を配置していく際には,原則として,仮想ボディを密着させて配置するベタ組にする(図1-8参照).

ベタ組の例(横組の場合)

図11]: ベタ組の例(横組の場合)

注1)

活字組版の時代から漢字等(cl-19)平仮名(cl-15)片仮名(cl-16)の設計は,縦組又は横組にした場合でも読みやすく,また,ベタ組とした場合に読みやすいように設計されていた.ただし,活字組版では,文字サイズ別に何段階かに分けて原図母型の元になるもの)を作成していたが,今日では,同一の原図から単純に拡大・縮小して使用するので,大きな文字サイズにした際には,字間の調整が必要になる場合もでてきた.

注2)

次のようにベタ組にしない方法も,印刷物の内容によっては採用されている.

  1. アキ組 字間に一定のアキを入れて文字を配置する方法([図12]参照).

    アキ組の例(横組の場合)

    図12]: アキ組の例(横組の場合)

    書籍におけるアキ組は,次のような場合に利用されている.

    1. 字数の少ないと字数の多いとのバランスをとるために,字数の少ないアキ組にする.アキ組の例は,JIS X 4051の附属書5に例がある.

    2. 字数の少ない見出しと字数の多い見出しとのバランスをとるために,字数の少ない見出しアキ組にする.見出しアキ組の例は,JIS X 4051の附属書6に例がある.

    3. 図版キャプションの字数が少ない場合に,図版のサイズとバランスをとるためにアキ組にする.

    4. 1行の字数が少ない漢詩や日本語の詩歌でアキ組にする場合がある.

    注1)

    アキ組については,均等詰めを含めてJIS X 4051の4.18.1のb)に規定されている.

  2. 均等割り 字間を均等に空け,文字列の両端を行頭及び行末にそろえる方法([図13]参照).

    均等割りの例(横組の場合)

    図13]: 均等割りの例(横組の場合)

    書籍における均等割りは,の和文の項目見出しの長さを揃える場合に利用されている(図追加1-4参照).また,名簿などで人名の部分で均等割りにする例がある.

    追1-4 表の均等割りの例

    図14]: 表の均等割りの例

    注1)

    均等割りについては,字取り処理を含めてJIS X 4051の4.18.1に規定されている.

  3. 詰め組ベタ組より字間を詰めて,仮想ボディの一部が重なるように文字を配置する方法.この場合,重なる量を同一にする方法(均等詰め[図15]参照)と,仮名や約物等の字面に応じて,字面が重ならない程度まで詰めて文字を配置する方法(字面詰め[図16]参照)がある.

    均等詰めの例(横組の場合)

    図15]: 均等詰めの例(横組の場合,上側はベタ組,下側が均等詰めの例)

    字面詰めの例(横組の場合)

    図16]: 字面詰めの例(横組の場合,上側はベタ組,下側が字面詰めの例)

    詰め組字面詰めは,書籍では大きな文字サイズ見出し等で採用されている例がある.字と字との間隔について,本文ではベタ組が最も読みやすい.しかし,そのまま拡大した場合には,大きな文字サイズになった場合,字と字との間隔の見え方について,ややバランスを欠く例もあり,採用されている.また,読みやすさを重視する書籍の本文で採用している例は少ないが,雑誌の本文や広告のコピー等では,詰め組字面詰めを採用している例がある.誌面構成のデザインを重視,文字部分をまとまったものとして演出したいということであろう.

2.3  組方向(縦組と横組)

2.3.1  日本語の組版における組方向

日本語の組版における組方向は,縦組(縦書き)と横組(横書き)がある.原稿の内容に応じて,いずれかの組方向を選択する.

注1)

日本語組版に使用する漢字等(cl-19)平仮名(cl-15)片仮名(cl-16)は,原則として正方形の文字なので,活字組版の時代から,縦組横組共用の印刷用文字の配置方向を変えるだけで,縦組横組組版が可能であった([図17]参照).なお,横組専用の活字の設計も一部で行われた例があるが,あまり普及しなかった.

縦組と横組

図17]: 縦組と横組(矢印は文字を読んでいく順序を示す)

注2)

縦組横組組版されたページ数を調査したデータはほとんどないが,日本における縦組横組の本の刊行点数は,ほぼ同じくらいと予想される.

注3)

公用文は横組が推奨され,教科書等では特別な科目を除き,多くが横組であり,また,携帯小説の読者も増えており,今後は横組が増えていくと予想される.しかし,大部数の新聞のすべては縦組であり,一般の読者を対象とする発行部数の多い雑誌もほとんど縦組である.また,書籍でも読者の多い小説などでは,ほとんどが縦組である(小説は縦組でないと読めないという読者もいる).したがって,日本語組版において,縦組が重要であるということは,当分は変わらないと予想される.

注4)

1つの印刷物の中では,縦組横組のどちらか一方の組方向で組版するが,縦組の場合は,横組にしてを配置するなどして,部分的に横組が混用される場合も多い([図18]参照).例 ページ内に配置する及びキャプション図版キャプションノンブルなど.

縦組の本における横組の混用例

図18]: 縦組の本における横組の混用例

2.3.2  縦組と横組の主な相違点

縦組横組の主な相違点としては,次がある.

  1. 文字,行,段及びページの配置,並びに綴じの方向は,次のようになる.

    注1)

    縦組横組における文字,行,及び段の配置方向は,JIS X 4051の7.4.4に規定されている.

    1. 縦組の場合(2段組の例である[図19]参照)

      縦組における文字などの配置方向

      図19]: 縦組における文字などの配置方向

      1. 文字は上から下に,行は右から左に配置する.

      2. 段は上から下に,ページは表面から開始,右から左に配置する(左方向から右方向に本は開いていく,[図20]参照).

        縦組における本の開いていく方向

        図20]: 縦組における本の開いていく方向

    2. 横組の場合(2段組の例である[図21]参照)

      横組における文字などの配置方向

      図21]: 横組における文字などの配置方向

      1. 文字は左から右に,行は上から下に配置する.

      2. 段は左から右に,ページは表面から開始,左から右に配置する(右方向から左方向に本は開いていく,[図22]参照).

        横組における本の開いていく方向

        図22]: 横組における本の開いていく方向

    3. 文中に挿入される英数字の向きは,次のようになる.

      1. 縦組の場合は,次の3つの配置方法がある.

        1. 和文文字と同じように正常な向きで,1字1字配置する.主に1文字の英数字,大文字の頭字語([図23]参照)など.

          縦組における英数字の配置例1

          図23]: 縦組における英数字の配置例1

          注1)

          和文文字と同じように正常な向きで,1字1字配置する場合に使用する英数字は,活字組版時代から固有の字幅を持つ欧文組版用の文字(プロポーショナルな文字)ではなく,全角でデザインされたモノスペースの欧字や数字を用いていた.

        2. 文字を時計回りに90度回転し,配置する.主に英字の単語,文など([図24]参照).

          縦組における英数字の配置例2

          図24]: 縦組における英数字の配置例2

          注1)

          [図24]において“editor”の仮想ボディの前後に隙間がある.この隙間は,和文と欧文を混ぜて配置する場合の必要な処理であり,詳細は後述する.

        3. 正常な向きのまま,横組にする(縦中横[図25]参照).主に2桁の数字の場合などで利用されている(縦中横の処理は,JIS X 4051の4.8に規定されている).

          縦組における英数字の配置例3(縦中横)

          図25]: 縦組における英数字の配置例3(縦中横)

      2. 横組の場合は,正常な向きで配置する.

    4. 図版などを,サイズの関係から時計回り又は反時計回りに90度回転して配置する場合,次のようにする(この処理は,JIS X 4051の7.3に規定されている).

      1. 縦組の場合は,図版などの上側を右側にする([図26]参照).

        縦組において表を時計回りに90度回転して配置した例

        図26]: 縦組において表を時計回りに90度回転して配置した例

      2. 横組の場合は,図版などの上側を左側にする([図27]参照).

        横組において表を反時計回りに90度回転して配置した例

        図27]: 横組において表を反時計回りに90度回転して配置した例

        注1)

        これは,本を読んでいく流れに従うためである.

  2. 改丁改ページなどの直前ページにおいて,段組の行がページの途中で終わる場合は,次のようにする(改丁改ページの処理は,JIS X 4051の8.1.1に規定されている).

    1. 縦組の場合は,“なりゆき”とし,各段の左右行数は不揃いになる([図28]参照).

      縦組の段組における改丁・改ページの直前ページの処理例

      図28]: 縦組の段組における改丁・改ページの直前ページの処理例

    2. 横組の場合は,各段の行数を平均にする.ただし,行数が段数で割り切れない場合,その不足する行数は,最終段の末尾を空けるようにする([図29]参照).

      横組の段組における改丁・改ページの直前ページの処理例

      図29]: 横組の段組における改丁・改ページの直前ページの処理例

      注1)

      縦組の場合,左右又は上下のバランスは,それほど問題とならない.これに対し,横組では,左右のバランスをできるだけ考慮した方が配置位置として安定するからである.

2.4  基本版面の設計

2.4.1  基本版面の設計手順

日本語組版では,正方形の仮想ボディベタ組にすることから,まず基本版面のサイズを設計し,そのうえで,仕上りサイズに対する基本版面の位置を決めている.そこで,基本版面は,次の手順で設定する(図1-26参照).

  1. 基本版面のサイズを決める.

    1. 1段組の場合は,文字サイズ,1行の字数,1ページの行数及び行間を決める.

    2. 段組の場合は,文字サイズ,1行の字数,1段の行数,行間段数及び段間を決める.

      基本版面の設定手順の1

      図30]: 基本版面の設定手順の1

  2. 仕上りサイズに対する基本版面の配置位置を決める.

    基本版面の配置位置の指定方法には,次がある.

    1. 位置:中央,左右位置:中央

    2. 位置:アキ横組の場合)またはアキ縦組の 場合)を指定,左右位置:中央

    3. 位置:中央,左右位置:のどアキを指定

    4. 位置:アキ横組の場合)またはアキ縦組の 場合)を指定,左右位置:のどアキを指定([図31]参照)

    基本版面の設定手順の2

    図31]: 基本版面の設定手順の2

    注1)

    一般には,基本版面仕上りサイズ左右中央に配置する例が多い.つまり,デフォルトは仕上りサイズ左右中央であり,基本版面のサイズによっては,中央よりやや上げる・下げる,または左右に移動させるなどの操作を行う.

    注2)

    仕上りサイズと四方のマージンを設定することにより基本版面のサイズを決める方法は,和文の組版では,一般に行わない.この方法でしか設定できない場合は,あらかじめ基本版面のサイズと刷り位置から四方のマージンを計算し,設定することになる.

2.4.2  基本版面の設計の注意点

基本版面は,次のような事項を考慮し設計する(この項のa項及びb項は処理内容というよりは,どのように設計するかという問題についての解説である.なお,基本版面の指定については,JIS X 4051の7.4.1に規定がある).

  1. 仕上りサイズ及び余白を考慮して決定する.一般には,仕上りサイズ基本版面のサイズがほぼ相似形になるように決める.

  2. 大人を読者対象とした本の場合の文字サイズは,一般に9ポイント(≒3.2mm)が多い.辞書など特別の本を除き,最低でも8ポイント(≒2.8mm)である.

    注1)

    欧文の場合,10ポイント(≒3.5mm)又は12ポイント(≒4.2mm)がよく使用されている.これは和文文字と欧文文字との文字設計の違いによる.

  3. 1行の行長は,文字サイズの整数倍に設定する([図32]参照).

    1行の行長は文字サイズの整数倍

    図32]: 1行の行長は文字サイズの整数倍

    注1)

    これは,2つの理由による.この2つを満足させるために,行長は,文字サイズの整数倍に設定する必要がある.

    1. 和文の組版は,段落の最終行を除き,行長を揃えるのが原則である.なお,段落の先頭行も,原則としてインデントを行うので,その部分だけ行長は短くなる.

    2. 漢字等(cl-19)平仮名(cl-15)片仮名(cl-16)などの印刷用の文字は,原則として正方形である.また,各文字間ベタ組とするのが原則である.

    注2)

    1行の行長字詰め数,1行に配置する字数)は,縦組の場合,最大で52字くらい,横組では40字くらいにする.仕上りサイズの関係で,1行の字詰め数がこれ以上になる場合は,段組にして,1行の字詰め数を少なくすることが望ましい.

  4. 行と行の間の空き(行間)は,特別な場合を除き,一定の値を確保する.また,各行の行の位置は,できるだけ揃えるようにする.そこで,一般に基本版面行送り方向のサイズは,行数と行間(又は行送り)で設定する.

    注1)

    日本語組版では,行間ルビ圏点・傍線・下線などを配置する例がある.このようなものを配置した場合でも,行間は一定にし,変更しない([図33]参照).本文中に注と参照するための合印行間に配置する方法があるが,この場合も同様に扱う.なお,ルビなどの配置法そのものについては,第2章で解説する.

    行間にルビなどを配置した例

    図33]: 行間にルビなどを配置した例

    注2)

    割注は,基本版面で設定した行送り方向の行の幅(基本版面で設定した文字サイズ)よりはみ出して配置する.この場合でも,割注の入らない部分の行間を一定にし,割注のある箇所は狭くなるようにする([図34]参照).したがって,割注が入る場合は,行間をある程度大きくしておく必要がある.この他に,縦中横,上付き・下付きの添え字などについても,行送り方向の行の幅よりはみ出して配置する場合は,同様に扱う.なお,割注などの配置法そのものについては,第2章で解説する.

    割注が入った場合の行間の処理例

    図34]: 割注が入った場合の行間の処理例

    注3)

    基本版面行間は,基本版面文字サイズの二分アキ以上で全角アキ以下の範囲とすることが多い.字詰め数が少ない場合は,二分アキでもよい.35字を超えるような字詰め数では,全角アキか,それよりやや詰めた行間にするのがよい.

    注4)

    古典の注釈本などで,行間ルビやその他の要素を数多く配置する場合などを除き,行間全角アキ以上にすることはない.全角アキ以上にしたからといって,読みやすくなるわけではない.

    注5)

    欧文の組版行間は,文字サイズの三分アキまたはそれ以下とする場合も多い.これと比較すると和文の組版行間は大きくなる.これも,和文文字と欧文文字との文字設計の違いによる.

2.5  基本版面の設計要素の各ページに対する適用

2.5.1  基本版面のサイズからはみ出す例

それぞれのページに配置する各要素は,できるだけ基本版面で設定した版面サイズの内側になるように配置する.しかし,次のような例外がある.

  1. 版面又は段の先頭に配置する行の右側(縦組)又は上側(横組)にルビや傍線,圏点などが付く場合は,版面又は段の領域の外側に接して配置する([図35]参照).ルビや下線などを左側(縦組)又は下側(横組)に付けた場合は,版面又は段の末尾に配置する行で版面又は段の領域の外側に接して配置する.次項を含め,このことは基本版面で設定した行の位置を確保するためである.本文中に注と参照するための合印行間に配置する方法があるが,この場合も同様に扱う.

    版面の外側に配置したルビの例

    図35]: 版面の外側に配置したルビの例

  2. 版面又は段の先頭又は末尾に配置する行に基本版面で設定した行送り方向の行の幅(基本版面で設定した文字サイズ)よりはみ出して配置する要素がある場合は,基本版面で設定した行送り方向の行の幅よりはみ出して配置する部分を,版面又は段の領域の外側にはみ出して配置する(前項とこの項の処理は,JIS X 4051の12.1.1に規定されている).例えば,縦中横の設定を行った文字列の横幅が基本版面で設定した文字サイズより大きくなる場合などである.この他に,割注,上付き・下付きの添え字なども同様な扱いとする.

  3. ぶら下げ組とよばれる処理をした場合は,行頭禁則の処理を必要とする句点(。)と読点(、)に限り,行末の版面又は段の領域の外側に接して配置する([図36]参照).なお,ぶら下げ組についてはJIS X 4051に規定されていないが,同規格の解説8.1)c)に説明がある.

    ぶら下げ組により版面の外側に配置した句点と読点の例

    図36]: ぶら下げ組により版面の外側に配置した句点と読点の例

    注1)

    ぶら下げ組は,字間による行の調整処理を少なくする方法である.

    注2)

    ぶら下げ組を採用している書籍は多い.

  4. 図版を各ページに配置する場合,一般に基本版面で設定した範囲内に配置する.しかし,配置する図版によっては,基本版面で設定した範囲をはみ出して配置する場合もある.

    1. 配置する図版のサイズが基本版面より大きくせざるを得ない場合

    2. 視覚的効果を出すために基本版面で設定した範囲をはみ出して配置する.特に紙面一杯に配置する“裁ち落し”とよばれる方法は,書籍では多くないが,雑誌などではよく行われている([図37]参照).

      裁ち落しの例

      図37]: 裁ち落しの例

  5. その他,図版キャプションを段の領域の外側,段間に配置する方法も雑誌などでは行われている(この配置方法は体裁がよくないという意見もある).

2.5.2  基本版面で設定した行の位置の適用

ページにおける行の位置は,基本版面で設定した行の位置に従うのが原則である.前掲した図([図33])のようにルビ圏点が付いた場合だけでなく,例えば,次の[図38]に示したように,行中の一部として基本版面で設定した文字サイズより小さな文字が入る場合でも,基本版面で設定した行の位置を基準に配置し,それに後続する行も基本版面で設定した行の位置にくるようにする.

行中に小さい文字が入った場合の行の位置

図38]: 行中に小さい文字が入った場合の行の位置

注1)

括弧書きの文字を小さくするのは,その部分は補足的な説明ということからである.ただし,その扱い方としては,次の3つの方式がある.限定した箇所のみの文字を小さくする方法が最もよく利用されている.

  1. 括弧内の文字をすべて小さくする([図38]に示した方法である).

  2. 括弧内の文字はすべて,基本版面で設定した文字サイズと同じにする.

  3. 参照ページなど,限定した箇所のみを小さくする.

ただし,次のような例外がある.

  1. 横組などで,図版の左右にテキストを配置しない方法とした場合,1ページに2つ以上の図版が挿入されたときは,基本版面で設定した行の位置からずれることがある([図39]参照).ただし,基本版面で設定した行の位置に配置する方法もある([図40]参照).前者の方法は,図版の前後の空きをできるだけ均一にするという考え方による(この方法を採用している書籍が多い).この処理方法については,JIS X 4051の10.3.2のd)に規定がある.

    版等を複数配置した場合の行の配置例1

    図39]: 図版等を複数配置した場合の行の配置例1

    版等を複数配置した場合の行の配置例2

    図40]: 図版等を複数配置した場合の行の配置例2

  2. 段落間や横組ページの下端に挿入される脚注などは,基本版面で設定した文字サイズよりは小さくする.これに伴い行間も狭くするので,基本版面で設定した行の位置とは揃わない.例えば,縦組において,段落の間に入る後の配置位置の例を[図41]に示す.後組版処理については,JIS X 4051の9.3,脚は9.4に規定されている.

    縦組の後注の配置例

    図41]: 縦組の後注の配置例

  3. 見出しは,前述したように必ずしも基本版面で設定した行の位置とは揃わないことがある.しかし,その行送り方向にしめる領域は,基本版面で設定した行を基準に設計する([図4]参照).

2.5.3  基本版面で設定した文字位置の適用

各行に配置する文字の位置は,基本版面で設定したベタ組とした文字の配置位置に従うのが原則である.しかし,前掲したいくつかの図でも基本版面で設定した文字の位置に従っていない例がある.こうした事例は多いが,以下では,典型的な例をいくつか示す(詳細は第2章で解説する).

注1)

基本版面で設定した文字サイズベタ組にしない箇所がある場合,行長が揃わない場合が発生する.段落の最終行を除き,行長を揃える処理が必要になる.この処理方法については,“2.8 行の調整処理”で解説する.

  1. 行中の一部として基本版面で設定した9ポより小さい文字が挿入される[図38]の場合である.この場合は,基本版面で設定した9ポの部分は9ポの仮想ボディに従いベタ組にするとともに,小さくした8ポの部分は,小さくした8ポの仮想ボディに従いベタ組にする.

  2. 行中にプロポーショナルの欧字を図1-20のように,文字を時計回りに90度回転して配置する場合は,プロポーショナルの欧字は,その字幅に応じて配置するので,基本版面で設定した文字位置とは揃わなくなる([図42]参照).英字の後ろに連続する和文の配置位置もずれてくる.

    行中に欧字を配置した例

    図42]: 行中に欧字を配置した例

  3. 改行した行の先頭(改行行頭)や段落の2行目以下の行頭(折り返し行頭)に配置する始め括弧類(cl-01)の配置方法には,いくつかある(詳細は“2.1.5 行頭の括弧類の配置方法”で解説する).改行行頭字下げ全角とする場合,又は折り返し行頭行頭アキをとらない配置法である天付きとする場合は,[図43]のように2字目以下の文字は,基本版面で設定した文字位置とは揃わなくなる.しかし,行長を揃える調整処理を行っているので,行末の文字は,基本版面で設定した文字位置に揃っている.

    行頭の括弧類の配置方法により文字位置がずれた例

    図43]: 行頭の括弧類の配置方法により文字位置がずれた例

  4. [sec. 3]で解説するように句点類(cl-06)読点類(cl-07)始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)字幅は,半角であるが,これらの約物漢字等(cl-19)片仮名(cl-16)平仮名(cl-15)と連続する場合は,原則として,それぞれの約物の前及び/又は後ろに二分アキをとることで,結果として全角というサイズにする.しかし,句読点や括弧類が連続する場合は,二分アキをとらない箇所があり,このケースでは基本版面で設定した文字位置に揃わないことになる([図44]参照).これは,見た目の体裁をよくするためである.

    追1-15 句読点や括弧類が連続する例

    図44]: 句読点や括弧類が連続する例

  5. [sec. 3]で解説するように終わり括弧類(cl-02)句点類(cl-06)読点類(cl-07)行頭に配置してはならないという規則(行頭禁則という)がある.これらが行頭にくる場合は,なんらかの調整が必要になる.その調整処理のために基本版面で設定した文字位置に揃わない場合がでてくる.

    行頭にきてはならない終わり括弧類を避ける調整をした例

    図45]: 行頭にきてはならない終わり括弧類を避ける調整をした例

2.6  柱とノンブル

2.6.1  柱及びノンブルの位置

及びノンブル縦組における代表的な配置位置例を[図46]に示す.

縦組における柱及びノンブルの代表的な配置位置例

図46]: 縦組における柱及びノンブルの代表的な配置位置例

及びノンブル横組における代表的な配置位置例を[図47]に示す.

横組における柱及びノンブルの代表的な配置位置例

図47]: 横組における柱及びノンブルの代表的な配置位置例

及びノンブルの位置は,仕上りサイズに対する絶対的な位置関係ではなく,基本版面との相対的な位置関係で一般に設定する(の配置については,JIS X 4051の7.6.4に,ノンブルの配置については,JIS X 4051の7.5.4に規定がある).

例)小口寄りに縦組を配置した場合の例([図48]参照)

基本版面との上下方向の空きは9ポイント(9ポ)

基本版面との左右方向の空き(入りともいう)は9ポイント(9ポ)

柱の配置指定例(縦組)

図48]: 柱の配置指定例(縦組)

及びノンブル基本版面との位置関係では,次のような点に注意する.

  1. 縦組においてノンブル及び横組にして配置する場合は,基本版面との上下方向の最低の空き量は,基本版面文字サイズ全角アキとする。横組の場合は,同じ組方向となるので,基本版面文字サイズよりやや大きくする.

  2. 縦組及び横組において,ノンブル及び横組にして配置する場合は,左ページでは,基本版面の左端の延長線にノンブル又はの先頭をそろえて配置するか,基本版面の左端の延長線から基本版面文字サイズ全角アキだけ右に寄せた位置に配置する.右ページでは,基本版面の右端の延長線にノンブル又はの末尾をそろえて配置するか,基本版面の右端の延長線から基本版面文字サイズ全角アキだけ左に寄せた位置にノンブル又はの末尾をそろえて配置する.

  3. 横組にしてノンブル及びを同一位置に並べて配置する場合は,ノンブルとの空き量をに使用する文字サイズの2倍アキ又は1.5倍アキとする.

  4. 縦組において,ノンブル及び小口側に縦組にして配置する場合([図46]の3段目左端の例参照)は,基本版面との左右方向の最低の空き量は,基本版面行間とする.から基本版面文字サイズで4倍くらい下げた位置にを配置し,から基本版面文字サイズで5倍くらい上げた位置にノンブルを配置する.

    注1)

    ノンブル縦組で掲げる場合は,一般に漢数字を用い,横組で掲げる場合は,一般にアラビア数字を用いる.また,前付の部分を別ノンブルにした場合は,横組で掲げるノンブルは,一般にローマ数字の小文字を用いる.

2.6.2  柱及びノンブルの配置の原則

及びノンブルは,1冊の本の中では,同じ位置に配置する.

注1)

目次索引などの文字を配置する領域が,基本版面のサイズより小さくなる場合,仕上りサイズに対する及びノンブルの位置は同じである.したがって,目次索引などの文字を配置する領域が基本版面のサイズより小さくなった分だけ,目次索引などの文字を配置する領域と及びノンブルとの空き量は変化する.次に示す[図49]は,[図6]で示した基本版面より小さくした目次の版面と及びノンブルの位置関係を示したものであり,[図50]は,基本版面より左右方向で各4ポイント小さくしただけでなく,上下方向でも各5ポイント小さくした索引の版面との位置関係を示したものである.

追1-17 基本版面より小さくなった目次の版面と柱及びノンブルとの位置関係

図49]: 基本版面より小さくなった目次の版面と柱及びノンブルとの位置関係

基本版面より小さくなった索引の版面と柱との位置関係

図50]: 基本版面より小さくなった索引の版面と柱との位置関係

ノンブルは,紙葉の表面を“1”として開始するので,縦組見開きにおいては,右ページは偶数ページ,左ページは奇数ページとなり([図51]参照),横組見開きにおいては,左ページは偶数ページ,右ページは奇数ページとなる([図52]参照).

縦組見開きのノンブル

図51]: 縦組見開きのノンブル

横組見開きのノンブル

図52]: 横組見開きのノンブル

2.6.3  柱及びノンブルの配置方式

には,両柱方式([図53]参照)と片柱方式([図54]参照)とがある(の掲げ方についてはJIS X 4051の7.6.2に,ノンブルの掲げ方については,7.5.2に規定がある).

  • 両柱方式:柱を偶数ページおよび奇数ページの両方に配置する方式(図1-34参照)。

  • 片柱方式:柱を奇数ページのみに配置する方式(図1-35参照)。

両柱方式の例

図53]: 両柱方式の例

片柱方式の例

図54]: 片柱方式の例

注1)

は,原則としてページに1つだけ配置するが,辞典などでは,1ページに内容を示すを複数配置する場合もある.

注2)

ノンブルも原則としてページに1つだけ配置するが,次のようなケースでは複数を配置する場合もある.

  1. 縦組の巻末に横組にした索引参考文献などを配置する場合,逆ノンブル通しノンブルを表示する.

  2. 多巻物で,1冊のページ数の他に,全巻を通した通しノンブルを表示する.

  1. 両柱方式では,偶数ページにレベルの高い見出し又は書名を掲げ,奇数ページには,偶数ページに掲げた書名又は見出しより1ランク下の見出しを掲げる.ただし,目次など下位レベルの見出しのない部分では,偶数ページと奇数ページに同じを掲げる.

    注1)

    に何を掲げるかは,その本の内容による.読者が各ページに何が書かれているかを検索する,または現在説明されている内容を確認することが主な目的である.その点では書名を掲げるのはあまり意味があることではない.3つのランクの見出しがあった場合は,最も大きな見出しと,その次にランクする見出しを掲げるというのが,最も普通な方法であろう.

  2. 片柱方式では,いずれかのレベルの見出しを掲げる.

  3. は,原則として見出しと同じ内容を掲げるが,次のような例外がある.

    1. 縦組見出し横組にして掲げる場合,数字表記などを横組の表記法に変更する.

    2. 見出しの字数が多い場合,文章を修正し,字数を少なくする.あまり字数の多いを掲げるのは体裁がよくないからである.

    3. 論文集などでは,著者名を見出しの後ろに括弧類などで括って示す.

  4. 及びノンブルの組方向は,原則として基本版面の組方向と同じにするが,縦組におけるノンブルの組方向は,横組とする場合が多い.

  5. は,原則として片柱方式の場合は全ての奇数ページ両柱方式の場合は全ページに掲げるが,次のようなページでは表示しない.これは体裁の問題からである.

    1. を表示しないページ

      1. 中扉及び半扉

      2. の配置領域が,図版などと重なったページ

      3. ページ

    2. を表示しなくてもよいページ

      1. の配置領域に隣接して図版などが配置されているページ

      2. 改丁改ページ等で始まる見出しが掲げられているページ

  6. ノンブルは,原則として全ページに掲げるが,次のようなページでは表示しない.これは体裁の問題からである.

    1. ノンブルを表示しないページ

      1. ノンブルの配置領域が,図版などと重なったページ

      2. ページ

    2. ノンブルを表示しなくてもよいページ

      1. 中扉及び半扉

      2. 横書きにおいてノンブル側の余白に配置した場合で,改丁改ページ等で見出しが始まるページ(この場合,ノンブルの中央に移動して表示する方法もある)

    注1)

    ページはあるが,そのページを数えない場合には,次のような例がある.

    1. 本扉を別紙とした場合

    2. 巻頭に別紙で口絵を挿入した場合

    3. 別紙の挿絵や中扉本文中に挿入した場合

  7. ノンブルは,1冊の本を通して数字を連続させる方法(通しノンブルという)と,前付や後付部分を別に1から数字を開始してノンブルを付ける方法がある(別ノンブルという).また,マニュアル等では,章別に1から数字を開始する方法もある(この場合は,1から開始した数字の前に章名を示す接頭辞を付けることが多い).

    注1)

    前付本文別ノンブルとする場合は,それぞれを1から数字を開始してノンブルを付ける.この場合,前付部分は,本文と区別するためにローマ数字の小文字を使用する例が多い.

    注2)

    縦組の書籍で横組索引を付けた場合は,次のような方法がある.

    1. 本の終りから開始する横組索引に,本の流れからいえば逆方向から1から数字を開始してノンブルを付ける(逆ノンブルという).

    2. 本の終りから開始する横組索引に,本の流れ方向に従い1から数字を開始してノンブルを付ける(索引の流れからは逆になる,通しノンブルという).

    3. 逆ノンブル通しノンブルの両方を付ける.この場合は,通しノンブルの配置位置は本文と同じにし,逆ノンブルの位置は別の箇所にし(例えば,通しノンブルのときは逆ノンブル),本文と同じアラビア数字を用いるが,その前後に括弧を付けるなどして区別を付ける方法がよく利用されている.

3  行の組版処理

3.1  約物などの組版処理

3.1.1  縦組と横組で異なる約物など

縦組横組で異なる約物などを使用する例がある.主な例を次に示す. (なお,以下のドキュメントでは,約物を含む文字・記号について,その組み版上のふるまいで分類し,文字クラスとしてグループに分けて扱う.用語の後ろの括弧内に“(cl-01)”などと示すものは,その文字クラスの番号である.文字クラスの詳細は“2.9 文字クラスについて”で解説する.)

  1. 句点類(cl-06)読点類(cl-07)

    1. 縦組句点類(cl-06)には,[。] (IDEOGRAPHIC FULL STOP)を,読点類(cl-07)には[、] (IDEOGRAPHIC COMMA)を使用する.

    2. 横組句点類(cl-06)読点類(cl-07)には,次の3つの方式がある.

      1. コンマ(,)とピリオド(.)[,] (COMMA)と[[.] (FULL STOP)を使用する(図2-1参照).

        コンマとピリオドを使用した例

        図55]: コンマ[,] (COMMA)とピリオド[.] (FULL STOP)を使用した例

      2. コンマ[,] (COMMA)(,)と句点[。] (IDEOGRAPHIC FULL STOP)を使用する(図2-2参照).

        コンマと句点を使用した例

        図56]: コンマ[,] (COMMA)と句点[。] (IDEOGRAPHIC FULL STOP)を使用した例

      3. [、] (IDEOGRAPHIC COMMA)読点と句点[。] (IDEOGRAPHIC FULL STOP)を使用する(図2-3参照).

        読点と句点を使用した例

        図57]: 読点[、] (IDEOGRAPHIC COMMA)と句点[。] (IDEOGRAPHIC FULL STOP)を使用した例

      注1)

      横組の場合,欧文が混用される場合も多い.そこで,欧文の句読点であるコンマ[,] (COMMA)とピリオド[.] (FULL STOP)と揃えるとしたのが1の方式である.理工学書でよく利用されている方式である.2は,1のピリオド[.] (FULL STOP)が和文とのバランスが悪く,小さいということから句点[。] (IDEOGRAPHIC FULL STOP)に変えた方法であり,日本の公用文で採用されている方式である(かつては公用文でもコンマ[,] (COMMA)とピリオド[.] (FULL STOP)を使用したこともある).

  2. かぎ括弧[「] (LEFT CORNER BRACKET)[」] (RIGHT CORNER BRACKET)とコーテーションマーク[“] (LEFT DOUBLE QUOTATION MARK)[”] (RIGHT DOUBLE QUOTATION MARK)

    1. 縦組では,かぎ括弧[「] (LEFT CORNER BRACKET)[」] (RIGHT CORNER BRACKET)を用いる(図2-4参照).

      かぎ括弧を使用した例

      図58]: かぎ括弧[「] (LEFT CORNER BRACKET)[」] (RIGHT CORNER BRACKET)を使用した例

    2. 横組では,かぎ括弧[「] (LEFT CORNER BRACKET)[」] (RIGHT CORNER BRACKET)に替えてコーテーションマーク[“] (LEFT DOUBLE QUOTATION MARK)[”] (RIGHT DOUBLE QUOTATION MARK)[‘] (LEFT SINGLE QUOTATION MARK)[’] (RIGHT SINGLE QUOTATION MARK)を用いる方法がある(図2-5参照).

      ダブルコーテーションマークを使用した例

      図59]: ダブルコーテーションマーク[“] (LEFT DOUBLE QUOTATION MARK)[”] (RIGHT DOUBLE QUOTATION MARK)を使用した例

      注1)

      かぎ括弧[「] (LEFT CORNER BRACKET)[」] (RIGHT CORNER BRACKET)横組で用いると,特に終わりかぎ括弧[」] (RIGHT CORNER BRACKET)の体裁がよくないからであるが,最近は,かぎ括弧の使用が増えているようである.

      注2)

      ダブルコーテーションマークに似た括弧類にダブルミニュート[〟] (LOW DOUBLE PRIME QUOTATION MARK)[〝] (REVERSED DOUBLE PRIME QUOTATION MARK)がある(図2-6参照).これは,縦組専用の括弧類であり,横組では使用しない.

      ダブルミニュートを使用した例

      図60]: ダブルミニュート[〟] (LOW DOUBLE PRIME QUOTATION MARK),[〝] (REVERSED DOUBLE PRIME QUOTATION MARK)を使用した例

      注3)

      [“] (LEFT DOUBLE QUOTATION MARK)及び[”] (RIGHT DOUBLE QUOTATION MARK)は,横組専用の括弧類であり,縦組では使用しない.また,[‘] (LEFT SINGLE QUOTATION MARK)及び[’] (RIGHT SINGLE QUOTATION MARK)横組専用の括弧類であり,縦組では使用しない.ただし,縦組において欧文用文字(cl-27)などを時計回りに90度回転させて配置する場合に使用する例がある.

  3. ブラケット[[] (LEFT SQUARE BRACKET)[]] (RIGHT SQUARE BRACKET)とキッコウ[〔] (LEFT TORTOISE SHELL BRACKET)[〕] (RIGHT TORTOISE SHELL BRACKET)

    ブラケット([ ])を縦組用に変形したものがキッコウ(〔 〕)である.したがって,特別な場合を除き,横組ではブラケットを使用する.

注1)

句点類(cl-06)及び読点類(cl-07)は,縦組用と横組用では,仮想ボディに対する字面の配置位置が異なる.始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)ハイフン類(cl-03)は,縦組用と横組用で字面の向きを変更する.その他,小書きの仮名(cl-11)は,前述したように仮想ボディに対する字面の位置が縦組用と横組用では異なる.また,[ー] (KATAKANA-HIRAGANA PROLONGED SOUND MARK)長音記号は,字形の向きを変更するだけではなく,字形そのものも変更している.横組用の長音記号は,縦組用の長音記号を単純に反時計回りに90度回転したものではない(図2-7参照).

横組用の長音記号と縦組用の長音記号

図61]: 横組用の長音記号[ー] (KATAKANA-HIRAGANA PROLONGED SOUND MARK)と縦組用の長音記号

3.1.2  句読点や括弧類などの基本的な配置方法

約物などを行に配置する場合の基本的な配置は,次のようにする.

注1)

約物を含め,その他の文字・記号を行頭及び行末に配置する方法,並びに隣接する文字の間隔の処理方法についての詳細は,“2.9 文字クラスについて”で説明する文字クラスに従い,表の形式にしてAppendix〓に示す.

読点類(cl-07)句点類(cl-06)始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)及び中点類(cl-05)字幅は,半角であるが,これらの約物漢字等(cl-19)平仮名(cl-15)又は片仮名(cl-16)と連続する場合は,原則として,それぞれの約物の前/又は後ろ(中点類(cl-05)は,その前及び後ろ)に一定のアキをとることで,結果として全角というサイズになる(図2-8参照).漢字及び仮名の全角というサイズと揃えるとともに,これらの約物の前及び/又は後ろにアキをとることにより,文章の区切りを示すためである.この原則としたアキは,句点類の後ろは除外して行の調整処理の対象とし,結果的に0となることもある.

  1. 読点類(cl-07)では,原則として後ろを二分アキにする.

  2. 句点類(cl-06)では,後ろを二分アキにする.

  3. 始め括弧類(cl-01)では,前を二分アキにする.

  4. 終わり括弧類(cl-02)では,後ろを二分アキにする.

  5. 中点類(cl-05)では,前及び後ろを四分アキにする.

句読点などの字幅と前後のアキ1句読点などの字幅と前後のアキ2

図62]: 句読点などの字幅と前後のアキ

注1)

各フォントがもっている約物がどのような字幅を持っているかは問題としない.結果として,ここで説明した配置方法になればよい.活字組版においても,二分のアキを調整するために,半角のボディ+二分のスペースという方法が一般的であった.そのために原稿に従って活字を集める作業である文選では句読点や括弧類は拾わず,ページの体裁にする植字の際に約物を拾っていた.その後,モノタイプの利用が進み,全角サイズのボディの約物も利用されるようになり,全角半角約物が混用されてきた.

注2)

始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)のうち,パーレン[(] (LEFT PARENTHESIS)[)] (RIGHT PARENTHESIS)及び山括弧[〈] (LEFT ANGLE BRACKET)[〉] (LEFT ANGLE BRACKET)は,補足説明等に利用され,他の始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)と扱いがやや異なる.このようなことから,パーレン及び山括弧については,その前後の二分アキを確保しないで,ベタ組とする方針で処理する方法もある(図2-9参照).

パーレンと山括弧の配置例

図63]: パーレン[(] (LEFT PARENTHESIS), [)] (RIGHT PARENTHESIS)と山括弧[〈] (LEFT ANGLE BRACKET), [〉] (RIGHT ANGLE BRACKET)の配置例(左がベタ組とした例)

3.1.3  読点[、] (IDEOGRAPHIC COMMA)及び中点[・] (KATAKANA MIDDLE DOT)の例外的な配置方法

次のような場合は,読点[、] (IDEOGRAPHIC COMMA)の後ろ及び中点[・] (KATAKANA MIDDLE DOT)の前後のアキをとらないことを原則とする.これは体裁上からの処理である.

  1. 縦組において漢数字の位取りを示す読点[、] (IDEOGRAPHIC COMMA)の後ろはベタ組にする(図2-10の右側).

    読点の例外の配置例

    図64]: 読点の例外の配置例

    注1)

    縦組において漢数字で概略の数を示す場合も,体裁の面から読点[、] (IDEOGRAPHIC COMMA)の後ろはベタ組にすることが望ましい(図2-10の右側).

    漢数字で概略の数を示す読点の配置例

    図65]: 漢数字で概略の数を示す読点[、] (IDEOGRAPHIC COMMA)の配置例

  2. 漢数字の小数点を示す中点[・] (KATAKANA MIDDLE DOT)の前後はベタ組にする(図2-11の右側).

    中点の例外の配置例

    図66]: 中点[・] (KATAKANA MIDDLE DOT)の例外の配置例

3.1.4 始め括弧類(cl-01)、終わり括弧類(cl-02)、読点類(cl-07)、句点類(cl-06)が連続する場合の配置方法

始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)読点類(cl-07)句点類(cl-06)中点類(cl-05)が連続する場合は,次のようにする(図2-13参照).これは体裁上からの処理である.なお,原則として二分アキ又は四分アキとする箇所は,句点類(cl-06)の後ろの二分アキを除外して,行の調整処理の詰める場合の対象にしてよい.

  1. 読点類(cl-07)又は句点類(cl-06)の後ろに終わり括弧類(cl-02)が連続する場合は,読点類(cl-07)又は句点類(cl-06)と終わり括弧類の字間ベタ組とし,終わり括弧類の後ろを原則として二分アキとする(図2-13の①参照).

  2. 終わり括弧類(cl-02)の後ろに読点類(cl-07)が連続する場合は,終わり括弧類と読点類の字間ベタ組とし,読点類の後ろを原則として二分アキとする.また,終わり括弧類(cl-02)の後ろに句点類(cl-06)が連続する場合は,終わり括弧類と句点類の字間はベタ組みとし,句点類の後ろを二分アキとする(図2-13の②参照).

  3. 読点類(cl-07)の後ろに始め括弧類(cl-01)が連続する場合は,読点類と始め括弧類の字間は,原則として二分アキとする(図2-13の③参照).また,句点類(cl-06)の後ろに始め括弧類(cl-01)が連続する場合は,句点類と初め括弧類の字間は,二分アキとする.

  4. 終わり括弧類(cl-02)の後ろに始め括弧類(cl-01)が連続する場合は,終わり括弧類と始め括弧類の字間は,原則として二分アキとする(図2-13の④参照).

  5. 始め括弧類(cl-01)の後ろに始め括弧類(cl-01)が連続する場合は,その字間ベタ組とし,前にくる始め括弧類の前を原則として二分アキとする(図2-13の⑤参照).

  6. 終わり括弧類(cl-02)の後ろに終わり括弧類(cl-02)が連続する場合は,その字間ベタ組とし,後ろにくる終わり括弧類の後ろを原則として二分アキとする(図2-13の⑥参照).

  7. 終わり括弧類(cl-02)の後ろに中点類(cl-05)が連続する場合は,後ろの中点類の前を原則として四分アキとする(図2-13の⑦参照).

  8. 中点類(cl-05)の後ろに始め括弧類(cl-01)が連続する場合は,前の中点類の後ろを原則として四分アキとする(図2-13の⑦参照).

括弧類や句読点などが連続する場合の配置例

図67]: 始め括弧類(cl-01),終わり括弧類(cl-02),読点類(cl-07),句点類(cl-06),中点類(cl-05)が連続する場合の配置例

それぞれの後ろ又は前を二分アキ,又は前後を四分アキにし,全角の幅にするとアキが目立ち,体裁がよくないからである(図2-14参照).

括弧類や句読点などが連続する場合の不適切な配置例

図68]: 始め括弧類(cl-01),終わり括弧類(cl-02),読点類(cl-07),句点類(cl-06),中点類(cl-05)が連続する場合の不適切な配置例

注1)

日本語組版では,全角を基本とするが,その原則通りにすると体裁がよくない場合がでてくる.このような例外的な場合は,原則である全角にするのではなく,体裁を優先し,全角としない例外処理を行う.この例外処理をどのような箇所で,どのように行うかが組版の品質にからんでくる.いかに矛盾を解決するか,という問題でもある.

3.1.5  行頭の始め括弧類(cl-01)の配置方法

行頭に配置する始め括弧類(cl-01)の配置方法には,図2-15のような方式がある.なお,改行行頭段落における第1行目の行頭)の字下げ全角とする場合である.

  1. 改行行頭字下げ全角,折り返し行頭行頭アキをとらない配置法であるツキとする(図2-15の①参照).

  2. 改行行頭字下げ全角半(全角の1.5倍),折り返し行頭字下げは二分とする(図2-15の②参照).

  3. 改行行頭字下げは二分,折り返し行頭ツキとする(図2-15の③参照).

行頭に配置する括弧類の配置例

図69]: 行頭に配置する始め括弧類(cl-01)の配置例

注1)

元々括弧類の字幅半角であったのであるから,何もスペースを入れなければ図2-15の①の方法となる.これに対し,②の方法は,行頭の括弧類の字幅についてアキを含めて全角とする処理方法である.JIS X 4051では,①の方法を採用している(ただし,オプションで①又は③の方法も選択できる).③の方法は,小説などで会話が多い場合,改行行頭の括弧の字下げ全角又は全角半(全角の1.5倍)とすると下がりすぎになることから考えられた方法である(これが一般書にも採用されるようになっている).講談社,新潮社,文藝春秋,中央公論新社,筑摩書房など文芸関係の出版社では,③の方法が採用されている.岩波書店やその他の出版社では①の方法を採用している.以前の岩波書店の縦組では②の方法であり,この方法を採用している例はかなりあった.しかし,今日では②の方法を採用している例は少なくなった.

注2)

段落の最初の行頭字下げは,全角とするのが原則である.ただし,次のような問題点がある.

  1. 全ての段落の最初の行頭字下げ全角とする.これが一般的な方式である.なお,段落の最初の行頭字下げ全角とする場合でも,図2-16に示すように,文節が連続しているときは,ツキとする(小説などでは字下げ全角とする方式も採用されている).横組で別行とする数式を“であるから”などで受ける段落ツキとする.

    別行の括弧書き(会話など)の次にくる行頭の配置例

    図70]: 別行の括弧書き(会話など)の次にくる行頭の配置例

  2. 見出しの字下げを“0”とした場合,体裁を考慮して,その直後の段落における最初の行頭に限り天ツキとする方法もある.なお,全ての段落における最初の行頭を天ツキとすると,段落の区切りがあいまいになり望ましくない.

3.1.6  区切り約物(cl-04)とハイフン類(cl-03)の配置方法

区切り約物(cl-04)[?] (QUESTION MARK)[!] (EXCLAMATION MARK))の字幅は,全角とし,次のように配置する.

  1. 文末にくる区切り約物(cl-04)の前はベタ組とし,その後ろは全角アキとする(図2-17参照).ただし,区切り約物の後ろに終わり括弧類(cl-02)がくる場合は,この字間ベタ組とし,終わり括弧類の後ろを二分アキにする(図2-17参照).

    区切り約物の配置例(縦組の場合)

    図71]: 区切り約物(cl-04)の配置例(縦組の場合)

    注1)

    区切り約物(cl-04)の後ろの全角アキは,通常,全角和字間隔(cl-14)を用いて空けている.

    注2)

    文末に区切り約物(cl-04)が付いた場合は,句点類(cl-06)は付けない.

    注3)

    文末ではなく,文中で区切り約物(cl-04)がつく場合がある.この場合は,区切り約物の前後をベタ組にするか,その前後を四分アキにする(図2-18参照).

    文中の区切り約物の配置例(縦組の場合)

    図72]: 文中の区切り約物(cl-04)の配置例(縦組の場合)

    注4)

    区切り約物(cl-04)ハイフン類(cl-03)の配置方法についての詳細は,“2.9 文字クラスについて”で説明する文字クラスに従い,表の形式にしてAppendix〓で示す.

  2. 文末に付く区切り約物(cl-04)行末にくる場合は,次のようにする(図2-20参照).

    行末の区切り約物の配置例(縦組の場合)

    図73]: 行末の区切り約物(cl-04)の配置例(縦組の場合)

    1. 行長がそこに使用されている文字サイズの13倍とする.この場合,12倍の位置にきたときは区切り約物(cl-04)の後ろを全角アキとする.

    2. 行長がそこに使用されている文字サイズの13倍とする.この場合,13倍の位置にくるときは区切り約物(cl-04)の後ろをベタ組とする.さらに,次の行頭の下がりは全角アキとしないで,ツキとする.

ハイフン類(cl-03)[‐] (HYPHEN)字幅四分角[–] (EN DASH)及び[゠] (KATAKANA-HIRAGANA DOUBLE HYPHEN)字幅半角[〜] (WAVE DASH)字幅全角とし,ハイフン類(cl-03)の前後はベタ組とする.ただし,ハイフン類(cl-03)の後ろに始め括弧類(cl-01)がくる場合は原則として二分アキ中点類(cl-05)がくる場合は原則として四分アキとする.

3.1.7  行頭禁則

終わり括弧類(cl-02)ハイフン類(cl-03)区切り約物(cl-04)中点類(cl-05)句点類(cl-06)読点類(cl-07)繰り返し記号(cl-09)長音記号(cl-10)小書きの仮名(cl-11)及び割注終わり括弧類(cl-29)行頭に配置してはならない.これは体裁がよくないからである.

注1)

繰り返し記号(cl-09)[々] (IDEOGRAPHIC ITERATION MARK)長音記号(cl-10)小書きの仮名(cl-11)行頭禁則としない方法もあり,この方法を採用している書籍も多い.また,繰り返し記号[々] (IDEOGRAPHIC ITERATION MARK)が行頭に配置された場合,元の漢字に置き換える方法もある.たとえば,“家(行末)+々(行頭)”となった場合,“家(行末)+家(行頭)”とする方法である.

注2)

[・] (KATAKANA MIDDLE DOT)行頭に配置することを許容とする考え方もある.

注3)

新聞では,区切り約物(cl-04)[?] (QUESTION MARK)[!] (EXCLAMATION MARK))を行頭に配置することを許容している.これは1行の字詰め数が少ないことによる.字詰め数が少ないと,詰めて調整する場合も,空けて調整する場合も,少ない箇所で調整を行い,字間の調整が極端になる.これを避けるために行頭禁則の条件をゆるやかにしたものと思われる.

注4)

行頭禁則及び次項で解説する行末禁則の詳細は,“2.9 文字クラスについて”で説明する文字クラスに従い,表の形式にしてAppendix〓で示す.

3.1.8  行末禁則

始め括弧類(cl-01)及び割注始め括弧類(cl-28)行末に配置してはならない(行末禁則).これは体裁がよくないからである.

注1)

行頭禁則,行末禁則,分離(分割)禁止などの禁則を避けるために行われる処理のことを禁則処理という.

3.1.9  行末に配置する終わり括弧類(cl-02),句点類(cl-06),読点類(cl-07),<a class="characterClass" href="#cl-05-ja">中点類(cl-05)</a>の配置方法

行末に配置する終わり括弧類(cl-02)句点類(cl-06)又は読点類(cl-07)は,原則としてその後ろに二分アキを確保する(図2-21参照).また,中点[・] (KATAKANA MIDDLE DOT)も原則として,その前を四分アキ,後ろを四分アキとし,全角の扱いとする(図2-21参照).原則として二分アキ又は四分アキとする箇所は,行の調整処理の詰める場合の対象にしてよい.

行末に配置する括弧類や句読点を全角扱いとする配置例

図74]: 行末に配置する終わり括弧類(cl-02),句点類(cl-06),読点類(cl-07),中点[・] (KATAKANA MIDDLE DOT)を全角扱いとする配置例

注1)

JIS X 4051では,次のように扱っている.

句点類(cl-06)

句点類(cl-06)の後ろは,必ず二分アキを確保する.

読点類(cl-07)

読点類(cl-07)の後ろは,ベタ組にする(図2-23参照).

終わり括弧類(cl-02)

終わり括弧類(cl-02)の後ろは,ベタ組にする(図2-23参照).

注2)

活字組版時代は,次の考え方が主流であった(図2-22参照).

  1. 句点類(cl-06)読点類(cl-07)及び終わり括弧類(cl-02)では,二分アキが確保できれば,確保する.つまり,二分アキが原則である.

  2. 行長に過不足が発生し,調整の必要がある場合(後述),優先的にこれらの後ろの二分アキベタ組にする.これは,行末でもあり,これらの後ろのアキベタ組になってもほとんど問題にならないからである.なお,この二分アキを中間的な四分アキにするという方法は採用されていなかった.二分アキ又はベタ組のいずれかを選択する,ということである.

行末に配置する括弧類や句読点を二分アキ又はベタ組とした配置例

図75]: 行末に配置する終わり括弧類(cl-02)や読点類(cl-07),句点類(cl-06)の後ろを二分アキ又はベタ組とした配置例

注3)

DTPなどでは,行末に配置する句点類(cl-06)読点類(cl-07)及び終わり括弧類(cl-02)のすべての後ろをベタ組とする処理法も行われている(図2-23参照).

行末に配置する括弧類や句読点の後ろをすべてベタ組とした配置例

図76]: 行末に配置する終わり括弧類(cl-02),句点類(cl-06),読点類(cl-07) の後ろを全てベタ組とした配置例

3.1.10 分割禁止

次のような文字・記号が連続する場合は,その字間で2行に分割しない(分割禁止).これは,それらの文字・記号を一体として扱いたいためである.

注1)

行頭禁則又は行末禁則も,前の文字・記号と行頭禁則文字との字間で2行に分割しない(分割禁止),行末禁則文字と次にくる文字・記号との字間で2行に分割しない(分割禁止),と考えることができる.

注2)

2行に分割してはいけない箇所の詳細は,“2.9 文字クラスについて”で説明する文字クラスに従い,表の形式にしてAppendix〓で示す.

  1. 連続する全角ダッシュ[—] (EM DASH)全角ダッシュ[—] (EM DASH)との間(具体的には2倍ダッシュ,――)(図2-24参照).

    全角ダッシュと全角ダッシュとの間は分割禁止

    図77]: 全角ダッシュ[—] (EM DASH)と全角ダッシュ[—] (EM DASH)との間は分割禁止

    注1)

    全角ダッシュ[—] (EM DASH)の前後にくる他の文字との字間ベタ組にする.ただし,全角ダッシュ<span class="character">[—] (EM DASH)</span>の前後に次の文字が配置される場合は,アキを確保する.後述する<span class="character">[…] (HORIZONTAL ELLIPSIS)</span>,<span class="character">[‥] (TWO DOT LEADER)</span>,<a class="characterClass" href="#cl-12-ja">前置省略記号(cl-12)</a>,又は<a class="characterClass" href="#cl-13-ja">後置省略記号(cl-13)</a>と,その前後に位置した文字との字間も,全角ダッシュ<span class="character">[—] (EM DASH)</span>の場合と同様である.

    1. 全角ダッシュ[—] (EM DASH)の前に終わり括弧類(cl-02)又は読点類(cl-07)がくる場合は,それらの字間は原則として二分アキとし,句点類(cl-06)がくる場合は,その字間は二分アキとする.

    2. 全角ダッシュ[—] (EM DASH)の後ろに始め括弧類(cl-01)がくる場合は,その字間は原則として二分アキとする.

    3. 全角ダッシュ[—] (EM DASH)の前又は後ろに中点類(cl-05)がくる場合は,その字間は原則として四分アキとする.

    注2)

    2倍ダッシュは,それを一体にして扱うということから分割禁止としていた.また,活字組版において2倍ダッシュは,2倍角のボディで作成されており,分割できないということから,その禁止の度合いが高かった.しかし,どうしても止むを得ないという場合は,全角ダッシュにして,2行に分割することも許容されていた.

  2. 連続する3点リーダ[…] (HORIZONTAL ELLIPSIS)又は2点リーダ[‥] (TWO DOT LEADER)字間(具体的には2倍3点リーダ[……] 又は2倍2点リーダ[‥‥]).

    全角ダッシュと全角ダッシュとの間は分割禁止

    図78]: 3点リーダ[…] (HORIZONTAL ELLIPSIS)と3点リーダ[…] (HORIZONTAL ELLIPSIS)との間は分割禁止

    注1)

    活字組版において2倍3点リーダなどは,全角の3点リーダを並べていたので,その禁止の度合いは,2倍ダッシュより幾分かは低かった.

  3. 前置省略記号(cl-12)[¥] (YEN SIGN)[$] (DOLLAR SIGN)[¢] (CENT SIGN)¢など)とその後ろにくるアラビア数字漢数字との間(図2-26参照).それらの文字列を一体として扱いたいためである.

    前置省略記号とアラビア数字の間は分割禁止

    図79]: 前置省略記号(cl-12)とアラビア数字の間は分割禁止

  4. 後置省略記号(cl-13)[%] (PERCENT SIGN)[‰] (PER MILLE SIGN)など)とその前にくるアラビア数字漢数字との間(図2-27参照).それらの文字列を一体として扱いたいためである.

    アラビア数字と後置省略記号の間は分割禁止

    図80]: アラビア数字と後置省略記号(cl-13)の間は分割禁止

    注1)

    パーセント記号[%] (PERCENT SIGN)については,その前にくるアラビア数字漢数字との間で分割を認める考え方もある.パーセント記号[%] (PERCENT SIGN)が記号として独立性が高いということからであろう.なお,“50パーセント”とした場合は,“0”と“パ”の間では,分割可である.

  5. 連続するアラビア数字字間図2-26,図2-27,図2-28参照).アラビア数字は,位置で桁を示すことによる.

    注1)

    連続する漢数字字間では分割可である(位取りを示す読点,概数を示す読点,小数点を示す中点の後ろでも分割は可である).漢数字は,“二百三十五”のように単位語を入れて表記するのが本来的な使い方であり,その位置で位を示す必要がないからである.これに対し,アラビア数字は,その数字の位置で位を示す必要があるので,原則として分割は不可である.なお,縦組アラビア数字を正しい向きで1字1字並べた場合は,アラビア数字漢数字的な使い方ということで,このアラビア数字字間でも分割可である.

    注2)

    アラビア数字の表記では,小数点に[.] (FULL STOP),位取りに[,] (COMMA)又は空白を使用する.これらも含めて分割禁止である,(図2-28参照,図2-28の“4”の前の空白は,位取りを示す空白である).

  6. 欧文用文字(cl-27)の単語のハイフネーション可能な箇所以外の字間及び単位記号(km, kg, mmなど)の字間図2-28参照).

    欧字の単位記号の字間は分割禁止

    図81]: 欧字の単位記号(単位記号中の文字(cl-25))の字間は分割禁止

    注1)

    欧文用文字(cl-27)の単語は,文節に従い,行末にハイフン[‐] (HYPHEN)を付けることで,分割が可能になる.

    注2)

    このドキュメントでは,プロポーショナルな欧字を用いたkm,kgなどの単位記号の文字クラスは,単位記号中の文字(cl-25)として扱う.

    注3)

    図2-28の“4“と”k”の字間が四分アキとなっているのは,単位記号中の文字(cl-25)とその前に配置するアラビア数字又は量を示す欧文用文字(cl-27)との字間を四分アキとすることが慣習になっていることによる.なお,この“4”と“k”との字間で2行に分割することは可能である.その場合の四分アキは,行頭及び行末にはとらない.

  7. モノルビで配置したルビ文字列の字間(図2-29参照).一体として扱うためである.なお,モノルビが付いた親文字とモノルビが付いた親文字との字間は,分割可能である.

  8. グループルビで配置した親文字列及びルビ文字列の字間(図2-29).一体として扱うためである.

    モノルビとグループルビは分割禁止

    図82]: ルビ文字列の分割禁止の例

    注1)

    複数の親文字で構成される熟語ルビは,親文字の1字ごとに対応したルビ文字とのグループの間では,分割してよい(図2-30参照). ただし,親文字の1字ごとに対応したルビ文字(図2-30を例にすると“哺”とルビ文字の“ほ”,“乳”とルビ文字の“乳”,“類”とルビ文字の“るい”)は一体として扱い,それぞれのルビ文字列の字間及び親文字は分割してはならない.

    熟語ルビを分割した例

    図83]: 熟語ルビを分割した例

  9. 親文字とその前又は後ろに付く添え字との字間.添え字が付く親文字の文字列,及び添え字の文字列の字間(図2-31参照).それらの文字列を一体として扱いたいためである.

    添え字及び親文字の字間は分割禁止

    図84]: 添え字及び親文字の字間は分割禁止

  10. 注と本文との対応をつけるために合印が付くことが多い.この合印の前及び合い印の文字列の字間(図2-32参照).これは体裁上の問題による.

    注の合印の前では分割禁止

    図85]: 注の合印の前では分割禁止

    注1)

    このドキュメントでは,合印の文字列の文字クラスは,合印中の文字(cl-20)として扱う.

    注2)

    合印の後ろには句点類(cl-06)がくる場合は多い.この場合は,合印と句点類の間でも,句点類は行頭禁止であるから分割禁止となる(図2-32参照).

  11. 割注行を囲む割注始め括弧類(cl-28)の後ろ,割注行を囲む割注終わり括弧類(cl-29)の前.

  12. 同一の振り分け.同一の振り分けは,一体として扱う.

    注1)

    2行に分割してはならない箇所(及び分割してよい箇所)の詳細は,“2.9 文字クラスについて”で説明する文字クラスに従い,表の形式にしてAppendix 〓で示す.

3.1.11 1 行の調整処理で字間を空ける処理に使用しない箇所

行の調整処理の際に,字間を空けて処理する場合,次の字間にはアキを入れることは避ける(分離禁止ともいう).これは,それらの文字・記号を一体として扱いたいためである.

注1)

行の調整処理の際に,ベタ組字間を空けて処理できる主な箇所は,平仮名(cl-15)片仮名(cl-16)漢字等(cl-19)相互の字間ということができる.なお,空けて調整する場合は,欧文単語間の空き量なども対象になる.

  1. 2.1.10 分割禁止”で掲げた字間は,すべて行の調整処理字間を空ける箇所としては避ける.

    注1)

    規定された調整処理では処理できない場合に限り,欧字の単語の字間を空けることを許容する考え方もある.

  2. 上記以外では,次も行の調整処理字間を空ける箇所としては避ける.

    1. 始め括弧類(cl-01)及び終わり括弧類(cl-02)の前及び後ろ.

      注1)

      始め括弧類(cl-01)の後ろ及び終わり括弧類(cl-02)の前は,分割禁止であり,かつ行の調整処理字間を空ける処理を避ける箇所である.これに対し,始め括弧類の前及び終わり括弧類の後ろは,分割禁止ではないが,行の調整処理字間を空ける処理を避ける箇所である.句点類(cl-06)読点類(cl-07)についても,終わり括弧類と同じように考えることができる.

    2. 句点類(cl-06)読点類(cl-07)の前及び後ろ.

    3. 中点類(cl-05)の前及び後ろ.

    4. 区切り約物(cl-04)の前及び後ろ.

    5. ハイフン類(cl-03)の前及び後ろ.

    6. 全角アキ,二分アキ四分アキなどの和字間隔の前及び後ろ.

    7. 熟語ルビが付いた親文字列の字間

      注1)

      行の調整処理の際に字間を空ける処理が可能な箇所の詳細は,“2.9 文字クラスについて”で説明する文字クラスに従い,表の形式にしてAppendix 〓で示す.

3.1.12 行の調整処理例

行の調整処理の処理方法については,別項で解説するが,行の調整処理が必要になる要因の1つに約物組版処理が関係することから,ここでは行の調整処理が必要となる主な2つの例とその調整例について解説する(図2-33参照).

  1. 日本語組版では,段落の最終行を除き,行長を揃えるのが原則である.行長は,前述したように文字サイズの整数倍に設定するので,全角文字を並べていく限りでは,行長は揃うことになる(図2-33の①参照).

  2. 図2-33の②では,読点[、] (IDEOGRAPHIC COMMA)とかぎ括弧[「] (LEFT CORNER BRACKET)が連続し,この2つの約物全体の字幅及び空きの合計は1.5倍となり,行長で二分の過不足が発生する.そこで,図2-33の③のようにかぎ括弧の前の二分アキ及び後ろの二分アキ四分アキに詰める処理(追込み処理という)が可能なので,ここで二分の過不足の調整を行い,行長を揃える.

  3. 図2-33の④では,15字目に始め括弧類(cl-01)がくるので,この配置を回避する調整が必要になる.その行で全角の詰める処理が可能であれば,その処理を行い,2行目の“前”の文字を1行目の15字目に配置し,問題を回避できる.しかし,この例では全角の詰める処理が不可能なので,図2-33の⑤のように始め括弧類を2行目に移動し,1行目の字間を空ける調整が可能な箇所で空ける処理(追出し処理という)を行い,1行目の行長を揃える処理を行う.

    行の調整を行った例

    図86]: 行の調整を行った例

3.2  和欧文混植処理(縦中横処理を含む)

3.2.1  和文と欧文との混植

和文の中にラテン文字ギリシャ文字などの欧字・欧文を混植(和欧文混植)する例は多い.次のような例がある.

  1. AとBといったように欧字1字を記号として使用する.

  2. editorのように欧字の単語をそのまま使用する.

  3. GDPやDTPなどの組織名や事項に関する頭字語として使用する.

  4. 欧文の文献表示などで著者名や書名などを原本通り表記する.

箇条書きや見出しの頭に付く番号,さらに,単位記号・元素記号・数学記号等でも欧字は使用されており,日本語組版にとっては,和欧文混植は,ごく一般的な事例になっている.

注1)

和文中に欧文の1つ又は複数の段落をそのまま引用する例はあるが,一般の本では,そのような例は少ない.しかし,外国語の学習書では,1つ又は複数の段落を表示し,それに対する解説を和文で行うという例は多い.その他,専門書,専門雑誌などでも欧文の1つ又は複数の段落をそのまま掲げる例がある.

注2)

縦組の単位記号は,例えばセンチメートル(又はセンチ)のように片仮名を用いてす方法が一般に採用されているが,横組では,国際単位系(SI)の表記に従い,cmのような表記を採用している例が多い.

注3)

和欧文混植処理については,JIS X 4051では“4.7 和欧文混植処理”に規定されている.

3.2.2  横組の和欧文混植に用いる文字

横組では,原則としてプロポーショナルな欧字を用いる([図87]参照).また,アラビア数字は,半角アラビア数字又はプロポーショナルなアラビア数字を用いる.

横組にプロポーショナルな欧字を用いた例

図87]: 横組にプロポーショナルな欧字を用いた例

全角のモノスペースの欧字を用いた例(横組ではこのような文字は使用しない)

図88]: 全角のモノスペースの欧字を用いた例(横組ではこのような文字は使用しない)

注1)

[図88]のように,全角モノスペースの欧字を用いた印刷物も目にするが,体裁がよくないので,このような文字は使用しない.

注2)

横組の混植で使用するアラビア数字は,和文書体と調和のとれたアラビア数字を用いるが,行長の調整を考慮すると半角字幅としたアラビア数字を用いるのが望ましい.和文書体に付属しているアラビア数字では,半角字幅にしている例がある.

注3)

和文との混植に使用する欧字・アラビア数字の書体は,和文書体にセットされている文字(例えば[図89]のようにリュウーミンR-KLのプロポーショナルな欧字・アラビア数字)を使用する方法と,欧文専用の書体を和文書体と組み合わせて使用する方法がある(例えば[図90]のように和文はリュウーミンR-KL,欧字・アラビア数字はTimes New Roman).

リュウーミンR-KLのプロポーショナルな欧字・アラビア数字を用いた例

図89]: リュウーミンR-KLのプロポーショナルな欧字・アラビア数字を用いた例

リュウーミンR-KLと欧字・アラビア数字にTimes New Romanを用いた例

図90]: リュウーミンR-KLと欧字・アラビア数字にTimes New Romanを用いた例

3.2.3  縦組の和欧文混植に用いる文字

縦組では,第1章で解説したように,欧字及びアラビア数字を配置する方法としては,次の3つの方法がある.

  1. 和文文字と同じように正常な向きで,1字1字配置する(図追2-TBD参照).文中に配置する欧字又はアラビア数字が1字の場合は,この方法で配置する.この場合,欧字及びアラビア数字は,一般に全角モノスペースの文字を用いる.

    追2-TBD 正常な向きで配置した欧字の例

    図91]: 正常な向きで配置した欧字の例

  2. 文字を時計回りに90度回転し,配置する([図92]参照).文中に配置する欧字が一般の単語又は文の場合は,この方法で配置する.この場合,横組と同様にプロポーショナルな文字(又はアラビア数字半角の文字)を用いる.

    文字を時計回りに90度回転し配置した欧字の例

    図92]: 文字を時計回りに90度回転し配置した欧字の例

  3. 縦中横(正常な向きのまま,横組にする)にして配置する([図93]参照).2桁のアラビア数字,行の幅とほぼ同じ程度かやや行の幅よりはみ出す程度の記号として用いる2文字程度の欧字の文字列では,一般に縦中横にする(後者の2文字程度の欧字の文字列は,文字を時計回りに90度回転し,配置する方法もある).この場合,プロポーショナルな文字(又はアラビア数字半角の文字)を用いる.

    縦中横にしたアラビア数字の例

    図93]: 縦中横にしたアラビア数字の例

    注1)

    頭字語(例えばGNPなど)又は頭字語類似の単語(例えばWeb)では,一般には1字1字を正常な向きで配置する([図94]参照).ただし,文字を時計回りに90度回転し,配置する例もある(図追2-TBD参照).

    正常な向きで配置した頭字語の例

    図94]: 正常な向きで配置した頭字語の例

    追2-TBD 文字を時計回りに90度回転し配置した頭字語の例

    図95]: 文字を時計回りに90度回転し配置した頭字語の例

    注2)

    縦組における数字は,従来はアラビア数字を使用しないで,漢数字を使用するのが原則とされていた(縦組においては,道路番号,自動車番号など限られた場合にしかアラビア数字は使用されていなかった).しかし,新聞を始めとして縦組中でアラビア数字を使用する例が増えていることから,縦中横の利用が増大している.

3.2.4  全角のモノスペースの欧字及び全角のモノスペースのアラビア数字の配置法

縦組で全角のモノスペースの欧字及び全角のモノスペースのアラビア数字を正常な向きで1字1字配置する場合は,一般の漢字と同様に前後に配置する平仮名(cl-15)片仮名(cl-16)又は漢字等(cl-19)との字間をベタ組にして配置する(図2-2-8参照).また,句点類(cl-06)読点類(cl-07)若しくは終わり括弧類(cl-02)の後ろ,又は始め括弧類(cl-01)の前に全角のモノスペースの欧字又は全角のモノスペースのアラビア数字がくる場合は,読点類(cl-07)若しくは終わり括弧類(cl-02)の後ろ,又は始め括弧類(cl-01)の前は,原則として二分アキとし,句点類(cl-06)の後ろは二分アキとする.句点類(cl-06)読点類(cl-07),若しくは終わり括弧類(cl-02)の前,又は始め括弧類(cl-01)の後ろに全角のモノスペースの欧字又は全角のモノスペースのアラビア数字がくる場合は,句点類(cl-06)読点類(cl-07)若しくは終わり括弧類(cl-02)の前,又は始め括弧類(cl-01)の後ろをベタ組とする.

全角のモノスペースの欧字及び全角のモノスペースのアラビア数字の配置例

図96]: 全角のモノスペースの欧字及び全角のモノスペースのアラビア数字の配置例

注1)

このドキュメントでは,全角のモノスペースの欧字及び全角のモノスペースのアラビア数字の文字クラスは,漢字等(cl-19)として扱う.

注2)

全角のモノスペースの欧字及び善悪のモノスペースのアラビア数字を含む漢字等(cl-19)の配置方法についての詳細は,“2.9 文字クラスについて”で説明する文字クラスに従い,表の形式にしてAppendix 〓で示す.

3.2.5  縦中横の処理

縦中横に配置する文字列は,横方向(左から右方向)にベタ組で配置し,その文字列全体を行の中央に配置する([図97]参照).なお,縦中横の前後に配置する平仮名(cl-15)片仮名(cl-16)又は漢字等(cl-19)との字間は,ベタ組にする.句点類(cl-06)読点類(cl-07)若しくは終わり括弧類(cl-02)の後ろ,又は始め括弧類の前は,原則として二分アキとし,句点類の後ろは二分アキとする.句点類,読点類若しくは終わり括弧類の前,又は始め括弧類の後ろに縦中横の文字列がくる場合は,その字間はベタ組とする.

縦中横の配置例

図97]: 縦中横の配置例

注1)

縦中横で配置する文字列(縦中横中の文字(cl-30))と隣接する文字間の間隔についての処理方法の詳細は,“2.9 文字クラスについて”で説明する文字クラスに従い,表の形式にしてAppendix 〓で示す.

3.2.6  プロポーショナルな欧字を用いた和欧文混植処理

縦組で文字を時計回りに90度回転して配置する欧字・欧文・アラビア数字又は横組で混植する欧字・欧文・アラビア数字の配置法は,次のようにする.

  1. 欧文の単語の文字列は,ハイフネーション可能な箇所以外で2行に分割してはならない.

  2. <a class="termref" href="termlist.xml#line adjustment by inter-letter space reduction">追込み処理</a>で字間を詰める場合,その処理対象として欧文間隔(cl-26)を優先的に使用し,追い出し処理で字間を空ける場合も,その処理対象として欧文間隔を優先的に使用する.

  3. 追出し処理の際には,欧文及びアラビア数字の字間は,一般に字間を空ける調整箇所としない.

  4. 欧字・アラビア数字の前後に配置される平仮名(cl-15)片仮名(cl-16)又は漢字等(cl-19)との字間は,四分アキとする(図2-2-10参照).(この四分アキを行末の調整に使用するかどうかについては“2.8.2 詰める処理の優先順位”及び“2.8.4 空ける処理の優先順位”を参照).

和文と欧字・アラビア数字の字間を四分アキとした例

図98]: 平仮名(cl-15),片仮名(cl-16)又は漢字等(cl-19)と欧字・アラビア数字の字間を四分アキとした例

注1)

このドキュメントでは,プロポーショナルな欧字・アラビア数字の文字クラスは,欧文用文字(cl-27)として扱う.また,和文との混植用に設計された半角のアラビア数字がある.このアラビア数字の文字クラスは,このドキュメントでは連数字中の文字(cl-24)として扱う.

注21)

欧字・アラビア数字との字間を四分アキにするのは,プロポーショナルな欧字・アラビア数字と和文では,文字設計の考え方に相違があり,欧字・アラビア数字と和文との字間ベタ組にすると([図99]参照),字間が詰まりすぎになるからである.

和文と欧字・アラビア数字との字間ベタ組とした例(このような配置法にはしない)

図99]: 平仮名(cl-15),片仮名(cl-16)又は漢字等(cl-19)と欧字・アラビア数字との字間をベタ組とした例(このような配置法にはしない)

ただし,次の箇所では,四分アキとしない([図100]参照).

  1. 行頭においては,欧字・アラビア数字の前は空けない.行末においては,欧字・アラビア数字の後ろは空けない.

  2. 句点類(cl-06)読点類(cl-07)若しくは終わり括弧類(cl-02)の後ろ,又は始め括弧類(cl-01)の前を原則として二分アキとし,句点類(cl-06)の後ろは二分アキとする.

  3. 句点類(cl-06)読点類(cl-07)若しくは終わり括弧類(cl-02)の前,又は始め括弧類(cl-01)の後ろに欧字・アラビア数字がくる場合は,その字間はベタ組とする.

欧字・アラビア数字の前後を四分アキとしない箇所

図100]: 欧字・アラビア数字の前後を四分アキとしない箇所

3.3  ルビと圏点処理

3.3.1  ルビの使用

ルビとは,文字のそば(縦組では一般に右側,横組では一般に上側)に付けて文字の読み方,意味などを示す小さな文字のことである([図101]参照).ルビを付ける場合,その対象となる文字のことを親文字という.ルビとしては,漢字の読みを示す仮名を付けることが多く,“振り仮名”ともよばれている.

ルビと親文字

図101]: ルビと親文字

注1)

ルビの使用は,漢字表記の考え方や組版におけるルビ処理方法などに影響され,変化している.特に,日本における漢字表記の基準とされてきた“当用漢字”(1946年11月16日,内閣訓令・告示)の“使用上の注意”において,“ふりがなは,原則として使わない”とあったことから,以前はルビの使用は少なかった.しかし,“当用漢字”を改正した“常用漢字”(1981年10月1日,内閣訓令・告示)では,そのものの考え方が変化した(“当用漢字”は一般社会で使用する漢字の範囲を示したもの,“常用漢字”は一般の社会生活において現代の国語を書きす場合の漢字使用の目安を示したもの).例えば,“常用漢字”の“答申前文”には,“読みにくいと思われるような場合は,必要に応じて振り仮名を用いるような配慮をするのも一つの方法であろう”とある.こうしたことから,今日ではルビの使用が増えている.従来から雑誌や書籍におけるルビ使用は,一般的なことであったが,最近では新聞でもルビを使用するようになっている.

注2)

ルビ組版処理は,JIS X 4051おいては第2次規格で規定が追加され,さらに2004年の改正で,熟語に付けるルビ,肩付きルビ親文字の両側に付けるルビ処理の規定が追加されている(“4.12 ルビ処理”).

ルビを付ける目的と役割から分けると,次のようなものがある.こうしたルビ付ける目的,ルビの役割の違いに応じてルビ組版処理にも複数の処理方法が必要になる(処理方法の詳細は後述).

  1. 漢字の読み方を示す仮名(主に平仮名)のルビを付ける.これには,次の2つがある.

    1. 1文字の親文字(漢字)の音読み又は訓読みの読み方を示す1文字の仮名又は複数の仮名のルビを付ける([図102]参照). このように親文字列の1文字ごとに対応させたルビの処理方法をモノルビという.

      漢字1字の読みを示すルビの例

      図102]: 漢字1字の読みを示すルビの例

    2. 日本語表記では,複数の漢字で構成された熟語をよく使う.この熟語を構成する個々の漢字について,音読み又は訓読みの読み方を示す仮名のルビをつける(このようなルビの使用例は多い).このような熟語につけるルビについて,親文字とルビ文字との対応には,2つの方法がある.

      1. 前項と同様に,個々の漢字(親文字)の1文字ごとにそのルビを対応させる方法.つまり,モノルビとしてルビを処理する方法である(図2-3-3参照).

        熟語の読みを示すルビの例1

        図103]: 熟語の読みを示すルビの例1

        注1)

        図2-3-3において,親文字の“凝”と“視”の字間が四分アキになっている.したがって,この行が段落の途中の行であった場合は,なんらかの行の調整処理が必要になる.

      2. 個々の漢字の読み方を示すと同時に,熟語単位での配置も考慮して配置する方法(図2-3-4参照).この方法は熟語ルビとよばれている.熟語ルビは,熟語を構成する漢字1文字1文字の読み方を示すとともに,熟語としてのまとまりをもっているので,ルビもまとまりとして読める必要がある.熟語ルビは,熟語としてのまとまりを重視した配置方法といえる.

        熟語に付くルビを熟語ルビで処理した例

        図104]: 熟語に付くルビを熟語ルビで処理した例

        注1)

        モノルビで処理した図2-3-3と熟語ルビで処理した図2-3-4では,熟語を構成する個々の漢字に付くルビ文字が全て2字以下の場合は,その配置位置の関係は同じになる.しかし,モノルビでルビをつけた場合には,ルビ付きの親文字間を行の調整処理で時間を空ける処理の対象としている(図_2-3-3でいえば,“鬼”と“門”の字間,“方”と“角”との字間).これに対し,熟語ルビでルビを付けた場合には,ルビ付きの親文字間を行の調整処理で時間を空ける処理の対象としない,という違いがある.

        注2)

        熟語に付けるルビとの対応関係の指示方法について,“凝視”を例に概念として示せば,次のようになろう.
        モノルビの例:凝+(ぎよう) 視+(し)
        熟語ルビの例1:「凝+(ぎよう)視+(し)」
        熟語ルビの例2:(凝視)+(ぎよう/し)

        注3)

        熟語に付けるルビでは,書籍の場合は,熟語としてのまとまりを重視する配置方法が一般的である.ただし,コンピュータ組版の機械的な処理では,熟語としてのまとまりを重視する配置方法はむずかしく,そのような配置方法としない例も増えている.新聞などでも,熟語としてのまとまりを重視する配置方法にはしていない.なお,学習参考書などでは,個々の漢字の読み方を示すことが重要と考え,従来から個々の漢字の読み方を示すことを重視した配置方法としている.

        注4)

        熟語としてのまとまりを重視する場合,複合語のときは,その複合語全体を熟語1語として考えてルビを対応させる方法と,複合語を構成する熟語単位にルビを対応させる方法がある([図105]参照).氏名の場合も姓名を一体としてルビを対応させる方法と,性と名を別の単位としてルビを対応させる方法がある.いずれにするかは編集方針による.

        複合語に付けるルビの例

        図105]: 複合語に付けるルビの例

        注5)

        熟語は,漢字1文字ごとに音読み又は訓読みするケースが多いが,中には熟語をまとめて訓読みする場合がある(熟字訓という).この場合は,親文字である2文字又は3文字の漢字文字列にルビをまとめて付ければよいので,漢字や仮名の親文字に片仮名語をルビとして付ける場合と同じである([図106]参照).

        熟字訓のルビの例

        図106]: 熟字訓のルビの例

  2. 漢字又は仮名の言葉(語)に,ルビとして別な言葉を仮名で示す(読み方を示すのではなく,意味を示すルビを付けるということでもある).漢字又は仮名1字の言葉に別の言葉を対応させる場合(例えば,“市”に“バザール”というルビを付ける)は,漢字1字の読み方を示した場合(例えば,“市”に“いち”というルビを付ける)と同じように考えればよいが,2文字以上の漢字又は仮名の親文字列に仮名のルビを付ける場合は,個々の漢字とルビとの対応は問題とならず,親文字列全体に対してルビを対応させる必要がある.このケースで最も多い例は,親文字である漢字の熟語に対し,それとほぼ同じ意味の外来語である片仮名語をルビとして示す場合である([図106]-2参照).翻訳が増大し,また片仮名語が増えていることから,このようなルビの使用例は多くなっている. このように2文字以上の親文字列全体にまとめて付けるルビは,group-rubyとよばれている.グループルビは,一体として扱い,2行に分割できない(熟語ルビは,親文字列の漢字の字間で2行に分割できる).

    漢字の熟語に片仮名語を付けたルビの例

    図107]: -2 漢字の熟語に平仮名語を付けたルビの例

    注1)

    漢字1字に対し,読み方を示すルビを付ける場合と,意味を示すルビを付ける場合の組版処理がまったく同じというわけではない.後述する肩付きという方式を選んだ場合でも,意味を示すルビは中付きにするという考え方もある.

  3. 親文字である欧文の単語の読み方又は意味を示す言葉(一般に片仮名)をルビとして付ける([図108]参照).逆に親文字である仮名又は漢字の言葉などに,それと同じ意味を示す欧文の単語をルビとして付ける([図108]参照).この例は,aやbに比べると使用例は少ないが,学習参考書,翻訳書,旅行案内などではよく利用されている.

    親文字又はルビが欧文の単語の例

    図108]: 親文字又はルビが欧文の単語の例

  4. 親文字である平仮名などにルビとして漢字を付ける(振り漢字という).この使用例は非常に少ない.

以下では,主にa, bのルビ組版処理について解説する.

注1)

親文字としての複数の欧字の文字列に仮名のルビを付ける又は複数の漢字や仮名の親文字列に欧字のルビを付ける処理は,bと同様に親文字列全体にまとめてルビを対応させるという点では同じである.しかし,親文字ルビの文字列の長さが同じでないときは,仮名又は漢字は,その字間を空けて長さのバランスをとる処理を一般に行う([図103]参照).これに対し,親文字又はルビが欧文の単語の場合は,親文字ルビの文字列の長さが不ぞろいであっても,親文字列の欧字又はルビ文字列の欧字の字間は空けない,という違いがある([図108]参照).

3.3.2  ルビの付け方

ルビをどのような言葉に,どのように付けるかは各種の方法がある.

  1. 出てくる漢字の全てにルビを付ける方式を総ルビという.

  2. 出てくる漢字の全てではなく,読み方がむずかしい一部の漢字にのみに付ける方式をパラルビという.

    注1)

    パラルビの場合,出てくるむずかい同じ漢字の全てにルビを付ける方式と,むずかしい漢字の初出のものに限りルビを付ける方式とがある.初出も,本ごとの初出,章ごとの初出,見開きページごとの初出など,いくつかの方式がある.

なお,熟語は,まとまりとして読むものなので,熟語にルビに付ける場合,熟語を構成する一部のむずかしい漢字にのみルビを付けるのではなく,熟語を構成する全ての漢字の読み方を示すのが望ましい([図109]参照).

熟語に付けるルビの例

図109]: 熟語に付けるルビの例(左側:望ましい例.右側:望ましくない例)

3.3.3  ルビの文字サイズ

ルビ文字サイズは,原則として親文字文字サイズの1/2とする([図110]参照).

ルビの文字サイズを1/2とした例

図110]: ルビの文字サイズを1/2とした例

全角字幅の漢字にルビ文字を3字付ける場合に使用している三分ルビとよばれるルビもある(使用例は少ない).縦組用の三分ルビは,ルビ文字の左右の幅は親文字の1/2とするが,ルビ文字のサイズを親文字の1/3とする.横組用の三分ルビは,ルビ文字のサイズは親文字の1/2とするが,ルビ文字の左右の幅は親文字の1/3とする([図111]参照).

三分ルビの例

図111]: 三分ルビの例

また,12ポイント以上の大きな文字サイズ見出しなどにルビを付ける場合(用例は少ない),親文字ルビとのバランスを考慮し,ルビ文字のサイズは一般に親文字文字サイズの1/2より小さくしている.

親文字の文字サイズの1/2より小さくしたルビの例

図112]: 親文字の文字サイズの1/2より小さくしたルビの例

注1)

幼児又は高齢者向けの本で,本文文字サイズを12ポイントとする例もある.この場合のルビ文字サイズ親文字文字サイズの1/2の6ポイントでよい.

注2)

親文字文字サイズが小さい場合(例えば7ポイント未満の場合),ルビ文字はその1/2でさらに小さくなり,可読性を損なう.そこで親文字文字サイズが小さい場合は,ルビを付けることは望ましくない.親文字の直後に括弧を付けて読み方などを示すという方法をとるとよい.

注3)

ルビ文字サイズとはやや異なる事項であるが,ルビに小書きの仮名を使用するかどうかも問題となる.ルビ文字は小さいので,活字組版では,そもそもルビ文字には小書きの仮名は準備されていなかった(使用できなかった).今日ではルビに小書きの仮名を使用する例もあるが,可読性を考慮すると,小書きの仮名のルビは,特定の読みを限定したい固有名詞などに限り使用するのが望ましい.

3.3.4  親文字のどちら側にルビを付けるか

縦組の場合,ルビ親文字の右側,横組の場合,ルビ親文字の上側に付けるのが原則である.

特別な場合は,縦組ルビ親文字の左側,横組ではルビ親文字の下側に付ける例があるが,そのように付ける例は非常に少ない.

また,漢字の読みを示すルビと意味を示すルビといったように両側に付ける例([図113]参照)もあるが,このように付ける例も非常に少ない.

親文字の両側にルビを付けた例

図113]: 親文字の両側にルビを付けた例

以下では,ルビ文字サイズ親文字文字サイズの1/2とし,縦組では親文字の右側,横組では親文字の上側にルビを付ける場合に限定し,その配置方法を解説する.最初にモノルビ,グループルビ及び熟語ルビ親文字ルビ文字の原則的な配置方法を解説し,その後で,前後に配置する文字との関係,さらに行頭行末における配置方法を解説する.

3.3.5  モノルビの親文字に対する配置位置

モノルビの場合,モノルビルビ文字列はベタ組とし,ルビ文字列が欧字やアラビア数字など固有の字幅を持つ文字の場合には,それぞれの文字の固有の字幅に応じて配置する.そのうえで,親文字列とルビ文字列の中央を揃えて配置することが原則である.しかし,親文字ルビの組合せに種々の例があり,様々な工夫もされているので,例をあげながら解説する.

親文字1文字に平仮名のルビ文字が2字付く場合は,親文字の長さとルビ文字の文字列の長さは揃い,[図114]のようになる.

ルビ文字が2字の場合の配置例

図114]: ルビ文字が2字の場合の配置例

親文字1文字に付く平仮名のルビ文字が1字の場合は,次の2つの方法がある.

  1. 縦組においては親文字中央とルビ文字の中央を揃えて配置する([図115]参照).横組においては親文字の左右中央とルビ文字の左右中央を揃えて配置する([図115]参照).この配置方法は,中付きとよばれている.

  2. 縦組においては親文字の上端とルビ文字の上端を揃えて配置する([図115]参照).この配置方法は,肩付きとよばれている.なお,横組では,肩付きの配置方法にはしない.横組において親文字の左端とルビ文字の左端を揃えて配置すると,左右のバランスが壊れ,体裁がよくないからである([図116]参照).

中付きと肩付きの例

図115]: 中付きと肩付きの例

横組で肩付きとした例(このような配置法にはしない)

図116]: 横組で肩付きとした例(このような配置法にはしない)

注1)

活字組版においては,肩付きとする方法が一般的であったが,今日では縦組においても中付きとする方法が徐々に増えている.ただし,親文字ルビの上端を揃えた肩付きの方が慣れており,読みやすいという意見もある.

親文字1文字に平仮名のルビ文字が3字以上付く場合は,ルビ文字列はベタ組にする.しかし,親文字列よりルビ文字列が長くなるので,その配置位置が問題となる.ルビ文字が1字の場合にどの方法を採用したかにより異なる.一般に次のようにしている.なお,親文字からルビがはみ出した場合における前後にくる文字との字間処理は後述する.

  1. 縦組において,ルビ文字が1字の配置方法を中付きとした場合は,親文字中央とルビ文字列全体の天地中央を揃えて配置する([図117]参照).横組においては親文字の左右中央とルビ文字列全体の左右中央を揃えて配置する(図2-3-17参照).

    親文字にルビ文字が3字以上付く場合の配置例1

    図117]: 親文字にルビ文字が3字以上付く場合の配置例1

  2. 縦組においてルビ文字が1字の配置方法を肩付きとした場合は,次の2つの方法がある.

    1. 親文字の天地中央とルビ文字列全体の天地中央を揃えて配置する(図2-3-16参照).

    2. 親文字の前後に配置する文字の種類及びルビ文字の字数により親文字からのルビのはみ出しが後ろになるか,前になるか,又は両側になるかを決めるが,下側へのはみ出しを優先する.([図118]参照).

親文字にルビ文字が3字以上付く場合の配置例2(縦組)

図118]: 親文字にルビ文字が3字以上付く場合の配置例2(縦組)

注1)

肩付きと中付きは,従来は親文字1字で,かつルビ文字が1字の場合のルビの配置方法についてのみ使用されていた用語である.しかし,ルビ文字が3字以上の場合についても拡大解釈して使用する例もある.このドキュメントでは,肩付き及び中付きという用語は,本来の意味に限定して使用している.

注2)

ルビ文字が3字以上付いた場合,下側へのはみ出しを優先するという方法は,親文字字間及びその前後の字間をできるだけ空けない処理をするという考え方からのものである.活字組版で行われていた方法である.

モノルビの場合,親文字とそれに付くルビ文字の文字列は,一体として扱い,2行に分割してはならない.

3.3.6  グループルビの親文字に対する配置位置

親文字の文字列の長さとルビ文字の文字列の長さが同じ場合は,それぞれの文字列をベタ組にし,文字列の中心を揃えて配置する([図119]参照).

親文字と同じ長さの場合のグループルビの配置例

図119]: 親文字と同じ長さの場合のグループルビの配置例

親文字の文字列の長さよりルビ文字の文字列の長さが短い場合は,ルビ文字の文字列の字間及びその前後を適当に空け,親文字とのバランスをとる.この場合,JIS X 4051で規定しているように,ルビ文字の文字列の字間アキの大きさ2に対して,その先頭及び末尾のアキを1の比率で空けると体裁がよい([図120]参照).親文字の文字列とルビ文字の文字列の先頭及び末尾を揃え,ルビ文字の文字列の字間だけを空ける方法もある([図121]参照).

親文字よりルビが短い場合のグループルビの配置例1

図120]: 親文字よりルビが短い場合のグループルビの配置例1

親文字よりルビが短い場合のグループルビの配置例2

図121]: 親文字よりルビが短い場合のグループルビの配置例2

注1)

活字組版では,ルビ文字の字間調整が細かくできない場合も多く,親文字ルビ文字の字数に応じて,適宜ルビ文字の文字列の先頭及び末尾を空けない方法と空ける方法を選択して行ってきた.また,ルビ文字の文字列の先頭及び末尾を空ける場合は,ルビ文字の文字列の字間アキの大きさ2に対して,その先頭及び末尾のアキを1の比率で空けると体裁がよい,といわれていた.

注2)

親文字の文字列の長さに比べ,ルビ文字の文字列の長さが極端に短い場合,JIS X 4051で規定して方法では,ルビ文字の文字列の先頭及び末尾がルビ文字の文字サイズで2倍以上空いてしまう場合がある.これは誤読の原因ともなりかねないので,ルビ文字の文字列の先頭及び末尾のアキは,ルビ文字の文字サイズ全角(又は1.5倍)までとした方がよい([図122]参照).

親文字に比べルビが極端に短い場合のグループルビの配置例

図122]: 親文字に比べルビが極端に短い場合のグループルビの配置例

親文字の文字列の長さよりルビ文字の文字列の長さが長い場合は,親文字の文字列の字間及びその前後を適当に空け,ルビ文字とのバランスをとる.この場合,JIS X 4051で規定しているように,親文字の文字列の字間アキの大きさ2に対して,その先頭及び末尾のアキを1の比率で空けると体裁がよい([図123]参照).親文字の文字列とルビ文字の文字列の先頭及び末尾を揃え,親文字の文字列の字間だけを空ける方法もある([図124]参照).

親文字よりルビが長い場合のグループルビの配置例1

図123]: 親文字よりルビが長い場合のグループルビの配置例1

親文字よりルビが長い場合のグループルビの配置例2

図124]: 親文字よりルビが長い場合のグループルビの配置例2

グループルビの場合,親文字の文字列とそれに付くルビ文字の文字列は,一体として扱い,2行に分割してはならない.また,親文字の文字列とそえに付くルビ文字の文字列を合わせた親文字群は,行長の調整の際に字間を空ける処理をしてはならない.

3.3.7  熟語ルビの親文字に対する配置位置

熟語を構成するそれぞれの漢字に付くルビ文字がそれぞれ2文字以下の場合,それぞれの親文字の漢字とルビ文字を対応させ,2.3.5で述べた方法で配置する([図125]参照).

熟語ルビの配置例1

図125]: 熟語ルビの配置例1

熟語を構成するそれぞれの漢字の中で1字でも,それに対応するルビ文字が3字以上のものがある場合,それぞれの親文字の漢字とルビ文字を対応させることができないので,熟語全体とルビ文字の文字列を対応させて配置する.熟語全体とルビ文字の文字列を対応させる方法としては,JIS X 4051で規定しているように2.3.6項のグループルビと同様な方法で配置する方法([図126]参照)と,熟語の構成,さらにその熟語の前後にくる文字の種類を考慮して配置する方法とがある([図127]参照).後者の方法では,熟語を構成するそれぞれの漢字に対応するルビ文字が,熟語内の他の漢字に最大でルビ文字サイズ全角(又は1.5倍)まで掛かってよい,としている.

熟語ルビの配置例2

図126]: 熟語ルビの配置例2

熟語ルビの配置例3

図127]: 熟語ルビの配置例3

注1)

熟語ルビには,それぞれの漢字との対応でいえばルビ文字1字+ルビ文字3字又はルビ文字3字+ルビ文字1字が付くケースが多い.これをモノルビとして処理すると[図128]のようになる.これはあまり体裁がよくない.

熟語をモノルビとして配置した例

図128]: 熟語に付くルビをモノルビとして配置した例

熟語ルビは,それぞれの漢字とそれに対応するルビ文字を単位として2行に分割してもよい.漢字2字の熟語を分割する場合は,それぞれがモノルビとして処理されることになる.漢字3字の熟語ルビ分割する場合は,漢字1字のモノルビと漢字2字の熟語ルビ,又は漢字2字の熟語ルビと漢字1字のモノルビとになる.それぞれの漢字とそれに対応するルビ文字との関係を維持するので,分割以前と以後とでは,漢字とルビ文字との対応が変わる場合もある([図129]参照). ただし,熟語を構成する漢字に熟語ルビを付けた場合には,ルビ付きの親文字の字間は,行の調整処理で字間を空ける処理の対象としない.

熟語ルビを2行に分割して配置した例

図129]: 熟語ルビを2行に分割して配置した例

3.3.8  ルビが親文字よりはみ出した場合の処理

ルビ文字の文字列が親文字の文字列より短い場合は,親文字の前後に配置する他の漢字や仮名とルビの付く親文字との字間ベタ組にして配置すればよい([図130]参照).

ルビ文字の文字列が親文字の文字列より短い場合は前後の文字との間はベタ組

図130]: ルビ文字の文字列が親文字の文字列より短い場合は前後の文字との間はベタ組

ルビ文字の文字列が親文字の文字列より長い場合は,親文字の前後に配置する他の漢字,仮名,約物などにどこまで親文字よりはみ出したルビ文字が掛かってよいかが問題となる.一般に次のように処理している([図131][図132]参照).これはもっぱら誤読を避けること,及び体裁を考慮しての処理である.

  1. 前又は後ろにくる漢字等(cl-19)ルビ文字を掛けてはならない.

  2. 前又は後ろにくる平仮名(cl-15)片仮名(cl-16)長音記号(cl-10)又は小書きの仮名(cl-11)に最大でルビ文字サイズ全角までルビ文字を掛けてもよい.

  3. 前にくる終わり括弧類(cl-02)句点類(cl-06)若しくは読点類(cl-07)の後ろにある二分アキ,又は後ろにくる始め括弧類(cl-01)の前にある二分アキには,最大でルビ文字サイズ全角までルビ文字を掛けてもよい.ただし,行長の調整で二分アキが詰められている場合は,調整で詰められたアキまでとする(例えば,四分アキとなっていれば,最大でルビ文字サイズの二分までルビ文字を掛けてもよい).

  4. 分離禁止文字(cl-08)にも,最大でルビ文字サイズ全角までルビ文字を掛けてもよい.

  5. 中点類(cl-05)にも最大でルビ文字サイズ全角までルビ文字を掛けてもよい.ただし,中点類の前後の四分アキが行長の調整で詰められている場合は,前にくる中点類の場合は中点類の後ろのアキルビ文字サイズの二分まで,後ろにくる中点類の場合は中点類の前のアキ+ルビ文字サイズの二分まででである.

  6. 後ろにくる終わり括弧類(cl-02)には,最大でルビ文字サイズ全角までルビ文字を掛けてもよい.この場合,終わり括弧類の後ろのアキに掛けてはならない.

  7. 後ろにくる句点類(cl-06)又は読点類(cl-07)には,最大でルビ文字サイズ全角までルビ文字を掛けてもよい.この場合,句点類又は読点類の後ろのアキに掛けてはならない.

  8. 前にくる始め括弧類(cl-01)にも,最大でルビ文字サイズの全角までルビ文字をを掛けてもよい.この場合,始め括弧類の前のアキに掛けてはならない.

ルビ文字のはみ出しがある場合の配置例1

図131]: ルビ文字のはみ出しがある場合の配置例1

ルビ文字のはみ出しがある場合の配置例2

図132]: ルビ文字のはみ出しがある場合の配置例2

注1)

前にくる始め括弧類(cl-01),特にかぎ括弧[「] LEFT CORNER BRACKET[」] RIGHT CORNER BRACKETにルビ文字を掛けることは体裁がよくないので,避けた方がよいという考え方もある.この考え方では,始め括弧類(cl-01)にルビ文字を掛けない処理とするか,又は最大でルビ文字サイズの二分までルビ文字を掛ける処理方法とする.

注2)

JIS X 4051では,片仮名は漢字と同じ文字クラスに含まれている.したがって,片仮名についてはルビ文字を掛けることは禁止されている.

注3)

ルビが付いた親文字群の前又は後ろの文字が,漢字等(cl-19)平仮名(cl-15),又は片仮名(cl-16)のいずれでも,最大でルビ文字サイズの 二分までルビ文字を掛けてもよい,とする処理法もある([図133]参照).

ルビ文字のはみ出しがある場合の配置例3

図133]: ルビ文字のはみ出しがある場合の配置例3

注4)

漢字等(cl-19)平仮名(cl-15)及び片仮名(cl-16)の全てにルビを掛けない,とする処理法もある([図134]参照).

ルビ文字のはみ出したある場合の配置例4

図134]: ルビ文字のはみ出しがある場合の配置例4

行頭又は行末ルビが付いた親文字を配置する場合,ルビ文字の文字列が親文字の文字列より短いときは,親文字の先頭又は末尾を行頭又は行末に揃えて配置すればよい.

この場合,ルビ文字の文字列が親文字の文字列より長いときは,親文字よりはみ出したルビ文字の文字列の先頭又は末尾を行頭又は行末に揃えて配置する([図135]参照).また,親文字の先頭又は末尾を行頭又は行末に揃えて配置する方法もある([図136]参照).

ルビ文字の行頭・行末の配置例1

図135]: ルビ文字の行頭・行末の配置例1

ルビ文字の行頭・行末の配置例2

図136]: ルビ文字の行頭・行末の配置例2

親文字の先頭又は末尾を行頭又は行末に揃えて配置する方法では,行頭又は行末では,ルビ文字が版面又は段の領域よりはみ出すことは認められていないので,親文字ルビ文字の配置方法を変更する必要がある.次のようにする.

  1. モノルビ行頭 ルビ文字の文字列の先頭と親文字の文字列の先頭を揃える形に変更する([図136]参照).

  2. モノルビ行末 ルビ文字の文字列の先頭と親文字の文字列の末尾を揃える形に変更する([図136]参照).

  3. グループルビ行頭ルビ文字の文字列の先頭と親文字の文字列の先頭を揃え,親文字列の字間のアキと,親文字列の末尾のアキを1対1の比率に変更する(JIS X 4051で規定している方法,図2-3-36参照).

    ルビ文字の行頭・行末の配置例3

    図137]: ルビ文字の行頭・行末の配置例3

  4. グループルビ行末ルビ文字の文字列の末尾と親文字の文字列の末尾を揃え,親文字列の字間のアキと,親文字列の先頭のアキとを1対1の比率に変更する(JIS X 4051で規定している方法,図2-3-36参照).

  5. グループルビと同様に処理した熟語ルビ行頭又は行末にきた場合 c項又はd項と同じ処理になる.

  6. 熟語の構成などを考慮して配置する熟語ルビ行頭にきた場合 ルビ文字列の先頭と親文字列の先頭を行頭に揃えて配置する.この場合,熟語内の他の漢字に最大でルビ文字サイズ全角(又は1.5倍)まで掛かってよい.それ以上掛かる場合は,親文字列からルビ文字列をはみ出させるか,親文字字間を空ける.

  7. 熟語の構成などを考慮して配置する熟語ルビ行末にきた場合 ルビ文字列の末尾と親文字列の末尾を行末に揃えて配置する.この場合,熟語内の他の漢字に最大でルビ文字サイズ全角(又は1.5倍)まで掛かってよい.それ以上掛かる場合は,親文字列からルビ文字列をはみ出させるか,親文字字間を空ける.

  8. 熟語ルビ親文字単位で2行に分割した場合 熟語ルビは,2行に分割され,行末及び行頭に分かれることがある.漢字2字の熟語の場合は,行末に漢字1字のモノルビ,次の行頭に漢字1字のモノルビという形になる.漢字3字の場合は,漢字1字のモノルビと漢字2字の熟語ルビ又は漢字2字の熟語ルビと漢字1字のモノルビとなる.漢字1字のモノルビの形になった場合は,a項又はb項で処理することになる.漢字2字以上の熟語ルビとなった場合は,e項,f項又はg項で処理することになる.

注1)

熟語の構成などを考慮して配置する熟語ルビの配置方法は,熟語の構成,行頭・行中・行末かの位置,その前後に配置される文字などにより変化する.この処理方法の詳細は,複雑になるので,Appendix 〓で解説する.

注2)

ルビ文字が付いた親文字群については,親文字群中の文字(熟語以外のルビ付き)(cl-22)親文字群中の文字(熟語ルビ付き)(cl-23)に分け,それと隣接する文字間の間隔についての処理方法の詳細は,“2.9 文字クラスについて”で説明する文字クラスに従い,表の形式にしてAppendix 〓で示す.

3.3.9  圏点の処理

圏点(傍点ともいう)は,漢字,仮名などの文字列に付け,その文字列を強調する役割を果たす.

注1)

日本語組版において文中の一部の文字列を強調する方法としては,圏点を付ける方法以外に,その部分の書体を変更する(例えばゴシック体),文字の色を変更する(例えば赤色の文字にする),括弧類でくくる(例えばかぎ括弧[「] (LEFT CORNER BRACKET)[」] (RIGHT CORNER BRACKET)又は山括弧[〈] (LEFT ANGLE BRACKET)[〉] (RIGHT ANGLE BRACKET)でくくる),傍線(又は下線)を付けるなどの方法がある.どの方式にするかは編集方針による.一般に書体を変更する方法や括弧類でくくる方法がよく使用されている.圏点を付ける方法はやや少ないが,漢文等では古くからで使用されており,歴史のある伝統的な方法である.

注2)

慣行として,圏点は,句点類(cl-06)読点類(cl-07)始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)などには付けない.

圏点組版処理は,次のようにする([図138]参照).

  1. 圏点文字サイズは,圏点を付ける対象となる親文字文字サイズの1/2とする.

  2. 圏点の位置は,縦組では親文字の右側とし,横書きでは親文字の上側とし,親文字に接し,それぞれの中心を揃えて配置する.

  3. 圏点にどのような記号を付けるかは指定によるが,一般に縦組では[﹅] (SESAME DOT)横組では[•] (BULLET)が使用されている.

圏点の配置例

図138]: 圏点の配置例

3.4  割注処理

3.4.1  割注の利用

割注とは,行の途中に挿入する注(挿入注)の一種で,2行に割って(割り書きという)挿入することから,その名前が付けられている.割注の使用頻度は多くないが,その該当用語が出てきた箇所に直接補足説明できることから,学習参考書,旅行ガイド,事典類,解説書などで利用されており,人物・用語等の簡単な紹介に重要な役割を果たしている([図139]参照).したがって,縦組での利用が多く,横組での例は非常に少ない.

割注の例

図139]: 割注の例

注1)

割注については,JIS X 4051では“4.16 割注処理”に規定がある.

3.4.2  割注の文字サイズと行間など

割注の文字サイズは,指定によるが,一般に6ポイント程度の文字が使用されている([図139]参照).

割注そのものの行間アキは,一般に0である.つまり,行間のアキをとらない([図140]参照).

割注は,[図140]のように,通常,2行に割り書きし,割注全体の先頭及び末尾に,行送り方向の割注の幅と同じ文字サイズのパーレン[(] (LEFT PARENTHESIS)[)] (RIGHT PARENTHESIS)でくくる形式が多い.したがって,割注を囲む括弧類(以下,割注始め括弧類(cl-28)及び割注終わり括弧類(cl-29)とよぶ)のサイズは,割注の文字サイズの2倍にする.なお,割り注始括弧類の前,及び割注終わり括弧類の後ろの漢字等,平仮名,片仮名とのアキはベタ組とする.

注1)

割注を始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)でくくらずに,指定された一定のアキをとる方法もある.

注2)

割注始め括弧類(cl-28)及び割注終わり括弧類(cl-29)と隣接する文字間の間隔についての処理方法の詳細は,“2.9 文字クラスについて”で説明する文字クラスに従い,表の形式にしてAppendix 〓で示す.

割注の指定例

図140]: 割注の指定例

割注の中には始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)句点類(cl-06)読点類(cl-07)も使用される.これらの組版処理は,本文と同じである.

割注は,本文の1行の<a class="termref" href="termlist.xml#line feed">行送り</a>方向の幅の中心と,割注の行送り方向の幅の中心をそろえて配置する.割注の2行の行送り方向の幅は,本文の行の幅より大きくなるが,はみ出しは両方に均等に出すことになる.この場合の行間は,割注のない部分の行間基本版面として設定した行間とし,割注の部分は狭くなる([図139]参照).したがって,基本版面を設定する際に,これを考慮し,行間を広めに設計する必要がある.

割注の2行の行長は,できるだけ揃える.本文の1行の中に割注が全て配置できる場合は,2行に分割可能な箇所で,かつ割注全体の文字列の半分に最も近い位置で分割する(この場合の2行に分割するルール(分割可能箇所)も本文と同じである).ただし,割注の2行目の行長が1行目の行長より長くしない([図141]参照).

1行の中に割注が全て配置できる場合の例

図141]: 1行の中に割注が全て配置できる場合の例

3.4.3  割注を本文の2行以上にわたって配置する処理

割注の挿入位置や分量によっては,本文の1行の中に割注が全て配置できなく,割注を本文の2行又は3行以上にわたって配置する場合がある.この場合の文字列の配置順序及びそれぞれの割注の行長は,[図142]又は[図143]のようにする.

2行にわたって割注を配置する例

図142]: 2行にわたって割注を配置する例

3行にわたって割注を配置する例

図143]: 3行にわたって割注を配置する例

注1)

割注の利用は,そもそも人物や事項に簡単な説明を付けるもので,注記の字数がそれほど多くならない場合に利用する形式である.したがって,割注が本文の2行にわたって配置されることは,その挿入位置により頻出する.しかし,3行にわたって配置される例はほとんどない.このような注になるのであれば,別の形式の注にすることを検討する必要がある.

3.5  段落整形,そろえ及び段落末尾処理

3.5.1  段落先頭行の字下げ

ある意味のまとまりをもった複数の文で構成されている段落(意味上の段落)を示す場合に,通常,新しい段落改行にしている.この際,段落先頭行の字下げ(JIS X 4051では“段落字下げ”という用語を使用している)については,次のような方法がある.なお,字下げする場合は,その段落で使用している文字サイズ全角が原則である.

注1)

段落先頭行の字下げについては,JIS X 4051では“4.17 段落整形処理”に規定されている.

注2)

段落先頭行の字下げ全角とした場合の始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)組版処理については,本ドキュメントの“2.1.5 行頭の括弧類の配置方法”を参照.

  1. 全ての段落の先頭行の字下げを行う.ほとんどの書籍・雑誌は,この方法を採用している([図144]参照).

    段落の先頭行の字下げを行った例

    図144]: 段落の先頭行の字下げを行った例

    注1)

    改行にしてかぎ括弧[「] (LEFT CORNER BRACKET)[」] (RIGHT CORNER BRACKET)で括った会話などを“といった……”などと受けて続く場合は,文節が連続していると考え,段落の先頭行の字下げは行わないで天ツキとする([図145]参照).横組の別行にした数式を受けて,改行で“となるので……”などと受ける場合も,同様に段落の先頭行の字下げは行わない.ただし,小説などでは,全て段落の先頭行の字下げは行うという処理方法も行われている([図146]参照).

    会話の直後の行の組方例1

    図145]: 会話の直後の行の組方例1

    会話の直後の行の組方例2

    図146]: 会話の直後の行の組方例2

  2. 全ての段落の先頭行の字下げを行わないで,ツキとする([図147]参照).横組などの一部の書籍・雑誌で体裁を優先して採用している例があるが,あまり読みやすいとはいえない.

    段落の先頭行の字下げを行わない例

    図147]: 段落の先頭行の字下げを行わない例

  3. 段落の先頭行の字下げは原則として行うが,見出しの直後の段落に限り字下げを行わないで、天ツキとする([図147]参照).字下げを行わない見出しと体裁を揃えるということもあり,横組の一部の書籍・雑誌でこの方法が採用されている.

    見出しの直後の段落に限り字下げを行わない例

    図148]: 見出しの直後の段落に限り字下げを行わない例

なお,箇条書きなどでは,逆に,段落の2行目以下の行頭字下げするという方法も行われている([図149]参照).“問答形式(Q&A)”などとよばれる処理方法である.番号が付く場合など,この番号が目立つという効果がある.

箇条書きの組方例

図149]: 箇条書きの組方例

注1)

箇条書きについては,JIS X 4051では“8.4 箇条書き処理”に規定がある.

3.5.2  字下げと字上げ

字下げは,版面(1段組の場合)又は段の領域(多段組の場合)の行頭側の端から指定された量だけ行頭位置を下げる処理である.逆に行末側の端から指定された量だけ行末位置を上げる処理が字上げである.

字下げは,引用文を別行にして示す場合([図150]参照)や,別行の見出しで行う例がある.字上げは,別行の見出しなどで行う例がある.

別行の引用文を字下げした例

図150]: 別行の引用文を字下げした例

注1)

別行にする引用文では,本文と同じ文字サイズ字下げだけで本文との区別をす方法と,文字サイズ本文よりは小さくする方法がある.前者の方法が多い.この場合,一般に本文文字サイズの2倍の字下げとする例が多い.分量の多い引用文が数多く挿入される場合は,全角字下げとして,さらに別行の引用文の前後を1行アキとする方法も行われている.文字サイズ本文よりは小さくする場合の字下げの方法は,“3.2 注の処理”参照.

注2)

後注などでも字下げを行う.こうした注の字下げについては“3.2 注の処理”参照.

3.5.3  そろえの処理

そろえとは,1行の文字列の位置を指定した位置に合わせる方法のことである.次のような方法がある([図151]参照).

注1)

そろえの処理については,JIS X 4051では“4.18 そろえ等の処理”に規定されている.

  1. 中央そろえ 隣接する文字の字間は,原則としてベタ組(和欧文や始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)の前後など原則とするアキが必要なときは,そのアキを入れる)とするか,又は指定されたアキがある場合はそのアキにし,行頭側と行末側の空き量を均等にし,文字列の中央を,行の中央の位置に合わせて配置する.

  2. 行頭そろえ 隣接する文字の字間は,原則としてベタ組(和欧文や始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)の前後など原則とするアキが必要なときは,そのアキを入れる)とするか,又は指定されたアキがある場合はそのアキにし,文字列の先頭を行頭の位置に合わせ,1行に満たないときは行末側を空けて配置する.

  3. 行末そろえ 隣接する文字の字間は,原則としてベタ組(和欧文や始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)の前後など原則とするアキが必要なときは,そのアキを入れる)とするか,又は指定されたアキがある場合はそのアキにし,文字列の末尾を行末の位置に合わせ,1行に満たないときは行頭側を空けて配置する.

  4. 均等そろえ 隣接する文字の字間は,原則としてベタ組(和欧文や始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)の前後など原則とするアキが必要なときは,そのアキを入れる)とし,そのうえで,行の調整を行う際に空ける調整が可能な箇所で字間を均等に空けて(又は詰める調整が可能な箇所を詰めて),文字列の先頭を行頭の位置に,文字列の末尾を行末の位置に合わせる.

そろえの配置例

図151]: そろえの配置例

注1)

そろえは,見出しの項目の配置方法でいくつかの方法が行われている.例えば,横組見出しは左右のバランスを考慮し中央そろえが多いが,行頭そろえにする例もある.

注1)

均等そろえは,俳句を別行にして掲げる場合によく利用されている([図152]参照).

均等そろえにした俳句の配置例

図152]: 均等そろえにした俳句の配置例

3.5.4  段落末尾処理

段落末尾処理とは,段落の最終行の文字数が,ある文字数未満になることを避けるための処理のことである.文字ウィドウ(character widow)処理ともいう.

注1)

段落末尾処理については,JIS X 4051では“4.20 段落末尾処理”に規定されている.

注2)

日本語組版では,段落末尾処理はあまり重視されていない.しかし,段落の最終行が1字だけになる(これは許容している例が多い),もっと極端に改丁改ページで始まる直前のページに1字だけ配置されるという場合は、避けるようにする([図153]参照).

改ページで始まる直前のページに1字だけ配置された例(これは避ける)

図153]: 改ページで始まる直前のページに1字だけ配置された例(これは避ける)

3.6  タブ処理

3.6.1  タブ処理の利用

タブ処理とは,ある特定の文字列を行中の指定された位置に合わせて配置することである.1つあるいは複数の文字列を行の特定の位置に配置する場合に利用できる.形式のデータの配置,箇条書きなどに利用されている([図154]参照).

タブ処理の機能を使用して配置した例

図154]: タブ処理の機能を使用して配置した例

注1)

タブ処理については,JIS X 4051では“4.21 タブ処理”に規定がある.

タブ処理を行うためには,タブ位置及びそのタブ種(配置位置にどのように揃えるかの形式)の指定,さらに,その指定位置に配置する文字列が必要である.そこで,タブ処理を行う文字列の前にタブ記号を挿入しておく必要がある.タブ記号の直後にある文字列がタブ処理を行う対象の文字列になる([図155]参照).そして,1行中に挿入したタブ記号の数だけのタブ位置とそのタブ種を指定する.

タブ記号とタブ処理の対象となる文字列

図155]: タブ記号とタブ処理の対象となる文字列

3.6.2  タブ処理で指定する配置位置に揃える形式

タブ処理で指定する配置位置にどのように揃えるかの形式(タブ種)としては,次のようなものが必要になる.

  1. 左(上)そろえタブ タブ処理を行う対象の文字列の先頭をタブ位置に合わせて配置する([図156]参照).左そろえタブは横組の場合のタブ種,上そろえタブは縦組の場合のタブ種である.

    左(上)そろえタブの列

    図156]: 左(上)そろえタブの列

  2. 右(下)そろえタブ タブ処理を行う対象の文字列の末尾をタブ位置に合わせて配置する([図157]参照).右そろえタブは横組の場合のタブ種,下そろえタブは縦組の場合のタブ種である.

    右(下)そろえタブの列

    図157]: 右(下)そろえタブの列

  3. 中央そろえタブ タブ処理を行う対象の文字列の中心をタブ位置に合わせて配置する([図158]参照).

    中央そろえタブの列

    図158]: 中央そろえタブの列

  4. 指定文字そろえタブ タブ処理を行う対象の文字列の中にある指定された文字(例えばピリオド)の先頭をタブ位置に合わせて配置する([図159]参照).

    指定文字そろえタブの列

    図159]: 指定文字そろえタブの列

3.6.3  タブ処理を行う対象の文字列の配置法

行頭から,タブ記号で区切られた文字列と,タブ処理として指定された配置位置(タブ位置)を,順番に対応させて配置する.それぞれの文字列に含まれる始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)などの組版処理は,本文と同じである.

いくつかの配置例を示す.ただし,b以降は設計段階では予想しなかった配置となる場合が多く,一般に,タブ位置の設計のやり直しが必要になる.

  1. タブ処理の対象となる文字列が行の最初の文字列であれば,行頭に一番近いタブ位置にその文字列を合わせ,以下,順番に対応させて配置する([図160]参照).

    タブ処理による配置列1

    図160]: タブ処理による配置列1

  2. タブ処理の対象となる文字列が長くて,次にくるタブ位置をはみ出した場合は,その長い文字列の後ろのタブ処理の対象となる文字列は,そのはみ出した長い文字列の末尾以降にある最初のタブ位置が対応する([図161]参照).

    タブ処理による配置列2

    図161]: タブ処理による配置列2

  3. 指定位置にタブ処理の対象となる文字列を配置した結果,前の文字列と重なってしまった場合は,直前の文字列の末尾に続けて配置する([図162]参照).

    タブ処理による配置列3

    図162]: タブ処理による配置列3

  4. タブ処理の対象となる文字列に対応するタブ位置がない場合は,次行の先頭のタブ位置から順番に対応をとって配置する([図163]参照).

    タブ処理による配置列4

    図163]: タブ処理による配置列4

3.7  その他の行組版処理

3.7.1  添え字処理

添え字とは,文字のそばにつける上付き文字又は下付き文字をいう.国際単位系(SI)の単位,数式,化学式等で使用されている.

注1)

添え字については,JIS X 4051では“4.13 添え字処理”に規定がある.

上付き文字は,一般に親文字の後ろに付くが,化学式では前に付く場合がある.下付き文字は,一般に親文字の後ろに付くが,化学式では前に付く場合がある.親文字添え字との字間ベタ組にする.

添え字が付く例をいくつか掲げる([図164]参照).なお、添え字については、添え字が付く親文字を含め、このドキュメントでは親文字群中の文字(添え字付き)(cl-21)として扱う。

添え字の配置列

図164]: 添え字の配置列

注1)

親文字群中の文字(添え字付き)(cl-21)と隣接する文字間の間隔についての処理方法の詳細は,“2.9 文字クラスについて”で説明する文字クラスに従い,表の形式にしてAppendix 〓で示す.

添え字文字サイズ及び親文字に対する添え字行送り方向の配置位置については,JIS X 4051では,“処理系定義とする”となっている.添え字の文字サイズは,親文字のサイズにもよるが,一般に親文字の60%くらいがよいであろう.

なお,親文字群中の文字(添え字付き)(cl-21)の文字列の字間で2行に分割してはならない.また,その文字列の字間は,行の調整処理字間を空ける箇所にはしない.

注1)

縦組の中に添え字が付いた文字列(親文字群中の文字(添え字付き)(cl-21))を配置する場合は,文字を時計回りに90度回転し,配置する.文字列が短い場合は縦中横にして配置してもよい.

注2)

親文字の後ろに下付きと上付きとが2つ付く場合がある.この場合は,数式では親文字と下付きとをベタ組で配置し,その後ろにベタ組で上付きを配置する方法が一般的である.化学式でも同様であるが,式の意味から上付きも親文字ベタ組で配置する場合もある.

3.7.2  振分け処理

振分けとは,1行の途中に複数の言葉や文を配置する処理である.複数の選択肢を示す場合などに利用されている([図165]参照).学習参考書,マニュアル,解説書などで使用している例がある.振分けを行う場合,複数の行を括弧類でくくることも多い.

振分けの列

図165]: 振分けの列

振り分け処理は,一般に次のように行っている([図166]参照).以下では,振分けするそれぞれの文字列を振分け行とよぶ.

  1. 振分けに使用する文字は,その段落で使用している文字サイズとするが,やや小さい文字サイズにしたり,書体を変える場合もある.

  2. 同一の振分け処理の中の全ての振分け行の先頭は,揃える.

  3. 振分けの行長は,同一の振分け処理の中で最も長い振分け行の行長を振分け行長とする.ただし,振分けの行長を指定し,長い同一の振分け行を折り返して複数の行にすることもある.この場合の2行目以下の行頭は指定による.同一の振分け行とする文字列中に改行の指定がある場合は,その指定箇所で振分け行を分割する.この場合の行頭は,振分け行の1行目の位置と揃える.また,同一の振分け行を複数の行に分割した場合の行間は0とする.

  4. 異なる振分け行の行送り方向の行間は,指定による.

  5. 同一振分け処理に含まれる行送り方向の幅(の合計)の中心と,本文の行の中心とを揃えて配置する.

  6. 振分けの前後を括弧類で囲む場合,括弧類の行送り方向の幅は,振分け行の行送り方向の幅(の合計)と揃える.

  7. 同一の振分けは,一体として扱い,本文の複数の行にわたって配置してはならない.

振分けの配置方法

図166]: 振分けの配置方法

振分けを含む段落行間は,指定による.そこに配置される振分けの内容を考慮して指定する必要がある.

振分けは割注と異なり,一般に行送り方向のサイズが大きくなる.そこで,版面又は段の領域の外側へのはみ出しは認められていない.版面又は段の領域の範囲内に配置する.

3.7.3  字取り処理

日本人名の名簿を一覧にする場合など,行中の文字列の一部について全長を指定する例がある.このような場合に,行中の指定された文字列を,字間を調整して,字詰め方向について指定された長さにする処理が字取り処理である([図167]参照).人名など字数の異なる文字列を指定した一定の長さで揃えたい場合に利用できる.

字取り処理の例1

図167]: 字取り処理の例1

横組などでは,例えば,章番号などの後ろに続く文字列だけを,字取り処理する例がある.例えば,2字の文字列の字取りを文字サイズの6倍とし,3字から6字の文字列の字取りを文字サイズの7倍とする([図168]参照).この例では,7字以上は,ベタ組とする.

字取り処理の例2

図168]: 字取り処理の例2

字取り処理は,次のように行う.

  1. 字取りの全長の指定は,そこに使用されている文字サイズの整数倍とする.

  2. 指定された文字列について,字間を均等に空け,字詰め方向の先頭から末尾までを,指定された長さにする.ただし,次のような箇所は,空ける対象としない.

    1. 2行に分割してはならない箇所.連数字中の文字(cl-24)字間欧文用文字(cl-27)字間,2倍ダーシのダーシとダーシの間,2倍リーダのリーダとリーダの間など.これらの文字列は一体として扱いたいからである.

      注1)

      グループルビが付く文字列(親文字群中の文字(熟語以外のルビ付き)(cl-22)は,組版処理上からは一体として扱うので,字取り処理では,その字間を空ける対象箇所としないということになる.しかし,体裁の上からは,親文字字間は,字取り処理で均等に空ける対象箇所とした方がよいという考え方もある.

      注2)

      始め括弧類(cl-01)の前,終わり括弧類(cl-02)の後ろなど行長の調整で空ける対象箇所としない字間も問題となる.これらの箇所は,議論の分かれるところだが,字取り処理で空ける対象箇所としてよいだろう.ただし,<a class="characterClass" href="#cl-01">始め括弧類(cl-01)</a>の後ろ及び<a class="characterClass" href="#cl-02">終わり括弧類(cl-02)</a>の前は,2行に分割してはならない箇所なので,字取り処理で空ける対象箇所としない.

    2. 欧文間隔(cl-26)和字間隔(cl-14)など空白を挿入してある箇所は,その空白の前及び後ろの2箇所ではなく,空白の前(又は後ろ)だけとする.空白の前後2箇所で空けると空き過ぎになる.

  3. 指定された文字列が1字の場合など,字間を空ける箇所がないときは,文字列の後ろを空けておく.

3.7.4  等号類と演算記号の処理

理工学書だけでなく,一般の本でも,等号[=] (EQUALS SIGN),ほとんど等しい[≒] (APPROXIMATELY EQUAL TO OR THE IMAGE OF)や,正符号[+] (PLUS SIGN),負符号[−] (MINUS SIGN)などの数学記号が使用されている.日本語組版では,等号,ほとんど等しいなどと,正符号,負符号などでは組版処理方法が異なる.そこで,このドキュメントでは,等号の類似記号を等号類(cl-17),正符号などの類似記号を演算記号(cl-18)とに分けて,それらに限り,処理方法を解説する.

注1)

等号類(cl-17)及び演算記号(cl-18)にどのような記号が含まれるかは,“2.9 文字クラスについて”で解説する.また,等号類及び演算記号と隣接する文字間の間隔についての処理方法の詳細は,“2.9 文字クラスについて”で説明する文字クラスに従い,表の形式にしてAppendix 〓で示す.

注2)

理工学書などでは,水平の罫線を使用した分数(やぐら組ともよばれている),根号式,積分記号,直和記号(シグマ)なども使用される.これらの記号は,一般書ではそれほど使用されていないので,このドキュメントでは,これらの処理は範囲としない.

等号類(cl-17)及び演算記号(cl-18)の組版処理は,次のようにする.

《このブロックは削除する》

  1. 等号類(cl-17)及び演算記号(cl-18)の字幅は,全角とする(図 2-7-5 参照)

  2. 別行としないで,行の途中に配置する等号類(cl-17)及び演算記号(cl-18)は,その前後に配置する連数字中の文字(cl-24)欧文用文字(cl-27)親文字群中の文字(添え字付き)(cl-21)などとの字間をベタ組とする(図 2-7-5 参照).

    行の途中に配置する等号類および演算記号の配置例

    図169]: 行の途中に配置する等号類および演算記号の配置例

    注1)

    漢字等(cl-19)平仮名(cl-15)などの前後に等号類(cl-17)又は演算記号(cl-18)がくる場合も,その字間はベタとする.ただし,“これは-5となり”と演算記号(cl-18)が付いた連数字中の文字(cl-24)又は欧文用文字(cl-27)が付いた文字列を配置する場合は,演算記号の前は四分アキとした方がよい.

  3. 別行とする数式,化学式などに配置する等号類(cl-17)連数字中の文字(cl-24)欧文用文字(cl-27)親文字群中の文字(添え字付き)(cl-21)などとの字間は,四分アキとする.別行とする数式,化学式などに配置する演算記号(cl-18)と,連数字中の文字(cl-24)欧文用文字(cl-27)親文字群中の文字(添え字付き)(cl-21)などとの字間は,ベタ組とする.

    別行式に配置する等号類,演算記号の配置例

    図170]: 別行式に配置する等号類,演算記号の配置例

    注1)

    別行とする数式,化学式などは,横組では版面又は段の領域の左右中央に配置する例が多い.縦組で時計回りに90度回転させて数式,化学式などを配置する場合は,行頭から指定した字下げした位置に配置する例が多い.

    注2)

    別行とする数式などでは,連数字中の文字(cl-24)欧文用文字(cl-27)などと等号類(cl-17)の前後の字間をベタ組とする方法や二分アキとする方法もある.また,等号類(cl-17)の前後の字間を四分アキ又は二分アキとした場合は,演算記号(cl-18)連数字中の文字(cl-24)欧文用文字(cl-27)などとの前後の字間を四分アキとする方法もある.

    別行式に配置する等号類(cl-17),演算記号(cl-18)の配置例2

    図171]: 別行式に配置する等号類(cl-17),演算記号(cl-18)の配置例2

  4. 等号類(cl-17)及び演算記号(cl-18)は,その前後に配置する連数字中の文字(cl-24)欧文用文字(cl-27)親文字群中の文字(添え字付き)(cl-21)などとの字間で2行に分割してよい.

    注1)

    別行式で,2行に分割する位置をある程度任意に選択できる場合は,まず<a class="characterClass" href="#cl-17-ja">等号類(cl-17)</a>の前で2行に分割するとよい.それができない場合は,<a class="characterClass" href="#cl-18-ja">演算記号(cl-18)</a>の前で2行に分割するとよい.

    注2)

    数式,化学式に配置する中点<span class="character">[・] (KATKANA MIDDLE DOT)</span>,<a class="characterClass" href="#cl-01-ja">始め括弧類(cl-01)</a>及び<a class="characterClass" href="#cl-02-ja">終わり括弧類(cl-02)</a>は,<a class="characterClass" href="#cl-17-ja">等号類(cl-17)</a>又は<a class="characterClass" href="#cl-18-ja">演算記号(cl-18)</a>の前後にアキを確保する場合を除外し,中点<span class="character">[・] (KATKANA MIDDLE DOT)</span>の前後,<a class="characterClass" href="#cl-01-ja">始め括弧類(cl-01)</a>の前及び<a class="characterClass" href="#cl-02-ja">終わり括弧類(cl-02)</a>の後ろはベタ組みとする.

3.8  行の調整処理

3.8.1  行の調整処理の必要性

段落内では,分割禁止されていない箇所で文字列を分割し,それぞれの行を構成していく.この際段落の最終行以外の行は,指定された行長にし,段落の最終行の末尾以外の行頭及び行末の位置を所定の位置に配置する必要がある.禁則処理その他の要因により行長に過不足がでる場合は,行の調整処理を行う.

行の調整処理が必要となる要因は様々であるが,主なものとしては次のような例がある.

  1. 連数字中の文字(cl-24)欧文用文字(cl-27)など字幅全角でない文字・記号を混用する(図2-51参照).

    英数字を使用した例

    図172]: 連数字中の文字(cl-24),欧文用文字(cl-27)を使用した例

  2. 約物が連続する.例えば,終わり括弧類(cl-02)句点類(cl-06)が連続した場合は,終わり括弧,句点類及びアキの合計は1.5倍となる(図2-52参照).ただし,終わり括弧類,句点類,さらに始め括弧類(cl-01)が連続した場合は,これら約物字幅アキの合計は2倍となるので,過不足はでない(図2-52参照).

    約物が連続した例

    図173]: 約物が連続した例

  3. 文字サイズの異なる文字を混用する(図2-53参照).

    括弧内の文字サイズを1段階小さくした例

    図174]: 括弧内の文字サイズを1段階小さくした例

    注1)

    参照ページの表示,用語の説明などにおいて括弧を付けて補足説明する場合,基本版面文字サイズよりは1段階小さい文字サイズにする例がある.

  4. 行頭禁則,行末禁則又は分割禁止を回避する(図2-33参照).

3.8.2  詰める処理と空ける処理

行の調整処理は,規定されているアキを確保した箇所又はベタ組字間で調整する.その方法としては,次がある.

  1. 規定されているアキを詰める処理(追込み処理).追込み処理では,読点類(cl-07)又は終わり括弧類(cl-02)の後ろの二分アキや,始め括弧類(cl-01)の前の二分アキ欧文間隔(cl-26)などのアキを規定の範囲内で詰める処理を行う.

  2. 字間を空ける処理(追出し処理).追出し処理では,欧文間隔(cl-26)など規定の範囲内で空けることが許されている箇所や,行の調整処理字間を空ける処理を避けるとされていない箇所の字間について空ける処理を行う.

通常,詰める処理(追込み処理)を優先し,それで処理できない場合は空ける処理(追出し処理)を行う.詰める処理(追込み処理)を優先するのは,ベタ組の箇所はできるだけ空けないという考え方による.

注1)

句点類(cl-06)及び読点類(cl-07)行頭禁則を回避する方法としてぶら下げ組がある.この方法は,JIS X 4051では規定していないが,その“解説”では説明が行われている.

ぶら下げ組は,句点類(cl-06)読点類(cl-07)に限り,版面に接して,指定の行長よりはみ出して配置する方法である(図2-54参照).ベタ組字間を空ける調整が避けられるとして,書籍等でも採用されている.しかし,欧文組では原則としてぶら下げ組は採用されていないので,和文と欧文との混植になじまない,また,ぶら下げ組は本来,活字組版において調整の作業を軽減するために採用されていた方法である,との反対意見がある.なお,図2-54において,1行目末尾及び5行目末尾のように,行末の18字目に配置できる場合は,そのまま配置する.DTPなどでは,このような句読点を3行目のようにぶら下げにする処理を行っている例があるが,不必要な処理といえよう.

ぶら下げ組の例

図175]: ぶら下げ組の例

3.8.3  詰める処理の優先順位

詰める処理(追込み処理)を行う場合は,通常,優先順位と詰める限界を決めて行う.JIS X 4051では,次の順序で処理するように規定している.

注1)

JIS X 4051では割注の調整方法も規定しているが,ここでの解説では説明がやや複雑になるので除外した.

注2)

JIS X 4051では規定していないが,図2-21のように句点類(cl-06)読点類(cl-07)又は終わり括弧類(cl-02)行末に配置する場合は,句点類,読点類及び終わり括弧類の後ろの二分アキベタ組にする調整を優先して行っている例がある.

  1. 欧文間隔(cl-26)を,最小で四分アキまで文字サイズ比で均等に詰める.

  2. 中点類(cl-05)の前後の四分アキを,最小でベタ組まで文字サイズ比で均等に詰める.

  3. 始め括弧類(cl-01)の前側,並びに終わり括弧類(cl-02)及び読点類(cl-07)の後ろ側の二分アキを,最小でベタ組まで文字サイズ比で均等に詰める.

    注1)

    句点類(cl-06)の後ろの二分アキは,文の区切りとしての役割が大きいので,行末に配置する場合を除外して,調整には使用しない.

    注2)

    読点類(cl-07)と, 始め括弧類(cl-01)終わり括弧類(cl-02)では,その役割が異なることから,始め括弧類の前,終わり括弧類の後ろの二分アキを詰める調整を,読点類の後ろの二分アキを詰める調整より優先して処理している例もある.

    注3)

    始め括弧類(cl-01)の前の二分アキ,終わり括弧類(cl-02)の後ろ及び読点類(cl-07)の後ろの二分アキを,ベタ組まで詰めるのは詰め過ぎであるという考えから,詰める限界を最小で四分アキまでとして処理している例もある.

  4. 平仮名(cl-15)片仮名(cl-16)漢字等(cl-19)などと,連数字中の文字(cl-24)欧文用文字(cl-27)又は単位記号中の文字(cl-25)との字間の四分アキを,最小で八分アキまで文字サイズ比で均等に詰める.

    注1)

    漢字等(cl-19)などと,欧文用文字(cl-27)連数字中の文字(cl-24)又は単位記号中の文字(cl-25)との四分アキは,固定したアキとして,調整には使用しない例もある.

    注2)

    行長の調整の際に詰める処理(追い込み処理)が可能な箇所の詳細は,“2.9 文字クラスについて”で説明する文字クラスに従い,表の形式にしてAppendix 〓 で示す.

3.8.4  空ける処理の優先順位

空ける処理(追出し処理)を行う場合も詰める処理(追込み処理)と同様,優先順位と空ける限界を決めて行う.JIS X 4051では,次の順序で処理するように規定している.

  1. 欧文間隔(cl-26)を,最大で二分アキまで文字サイズ比で均等に空ける.

  2. 平仮名(cl-15)片仮名(cl-16)漢字等(cl-19)などと,連数字中の文字(cl-24)欧文用文字(cl-27)又は単位記号中の文字(cl-25)との字間の四分アキを,最大で二分アキまで(又は三分アキまで)文字サイズ比で均等に空ける.

    注1)

    詰める処理と同様に,漢字等(cl-19)などと,欧文用文字(cl-27)連数字中の文字(cl-24)又は単位記号中の文字(cl-25)との字間の四分アキは,固定したアキとして,空ける調整でも使用しないで処理している例がある.

  3. a及びb以外の行の調整処理字間を空ける処理を避けるとされていない箇所(空ける処理が可能な箇所)の字間を,最大で四分アキまで文字サイズ比で均等に空ける.

  4. a, b, cで調整できない場合は,a, b, cに加え,分割禁止とされていない文字間を均等に空ける.

    注1)

    JIS X 4051ではdの処理に加えて,欧文用文字(cl-27)字間を含め,均等に空けるかどうかは,処理系定義とする,となっている.

    注2)

    行長の調整の際に空ける処理(追い出し処理)が可能な箇所の詳細は,“2.9 文字クラスについて”で説明する文字クラスに従い,表の形式にしてAppendix 〓 で示す.

3.9  文字クラスについて

3.9.1  文字・記号により振る舞い方は異なる

文字や記号を行に配置する場合,次のような点でその振る舞い(配置方法)が異なる.

  1. 文字・記号の字幅は,全角か,半角か,又はそれ以外か.

  2. 行頭に配置してよいか,又は禁止するのか.配置してよい場合,どのように配置するか.

  3. 行末に配置してよいか,又は禁止するのか.配置してよい場合,どのように配置するか.

  4. 文字・記号が並んだ場合,その字間はベタ組にするか,又は一定の空きをとるのか.例えば,漢字等(cl-19)平仮名(cl-15)が並んだ場合,その字間はベタ組であり,平仮名(cl-15)の後ろに欧文用文字(cl-27)がきた場合,その字間は四分アキとなる.

  5. 文字が並んだ場合,その字間で2行に分割してよいか.例えば,連数字中の文字(cl-24)が並んだ場合,その字間では2行に分割してはならない.

  6. 行の調整処理の際に,その並んだ文字の字間を使用してよいか.例えば,字間の空きを詰めてよいか,逆に字間を空けてよいか.なお,調整処理の優先順位と調整量の限界も問題となる.

3.9.2  文字・記号を振る舞い方により分ける

組版処理を行う場合,前項で述べたような事項について,性格を同じにする文字・記号ごとにグループに分け,文字クラスとして管理する方法がある.

JIS X 4051でも,“6.1.1 文字クラス”に文字クラス示されている.なお,JIS X 4051では,“ここに挙げた文字以外を,それぞれの文字クラスに追加するか否かは,処理系定義とする”と備考に書かれている.

注1)

JIS X 4051では,各文字クラスに含まれる文字・記号を特定する資料として,その付属書に各文字クラスに含まれる文字・記号とJIS X 0213との対応表が“付属書1”として掲げられている.

このドキュメントにおける文字クラスは,JIS X 4051における文字クラス分けを一部修正し,次のようにする.

(1)始め括弧類(cl-01)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

(2)終わり括弧(cl-02)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

JIS X 4051では,読点[、] (IDEOGRAPHIC COMMA)及びコンマ[,] (COMMA)については終わり括弧類と同様な配置法となるので,文字クラスとしては終わり括弧類に含めている.しかし,このドキュメントでは,読点及びコンマは読点類(cl-07)として文字クラスを独立させ,解説する.

(3)ハイフン類(cl-03)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

(4)区切り約物(cl-04)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

(5)中点類(cl-05)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

(6)句点類(cl-06)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

(7)読点類(cl-07)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

(8)分離禁止文字(cl-08)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

(9)繰り返し記号(cl-09)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

繰り返し記号[々] (IDEOGRAPHIC ITERATION MARK)などは,JIS X 4051では,行頭禁則和字に含まれているが,このドキュメントでは,独立した文字クラスとした.

注2)

繰り返し記号[々] (IDEOGRAPHIC ITERATION MARK)を行頭禁則の対象としない方法がある.この場合は,漢字等(cl-19)の文字クラスとする.

(10)長音記号(cl-10)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

長音記号[ー] (KATAKANA-HIRAGANA PROLONGED SOUND MARK)は,JIS X 405では,行頭禁則和字に含まれているが,このドキュメントでは,独立した文字クラスとした.

注2)

JIS X 4051では,処理系定義として,長音記号<span class="character">[ー] (KATAKANA-HIRAGANA PROLONGED SOUND MARK)</span>を行頭禁則和字から除外することは認められている.

注3)

長音記号[ー] (KATAKANA-HIRAGANA PROLONGED SOUND MARK)を行頭禁則の対象としない場合は,長音記号は,片仮名(cl-16)の文字クラスとする.

(11)小書きの仮名(cl-11)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

小書き片仮名[ッ] (KATAKANA LETTER SMALL TU)などは,JIS X 4051では,行頭禁則和字に含まれているが,このドキュメントでは,独立した文字クラスとした.したがって,JIS X 4051でいう“行頭禁則和字”は,繰り返し記号(cl-09)長音記号(cl-10)及び小書きの仮名(cl-11-ja)の3つに分解されたことになる.

注2)

JIS X 4051では,処理系定義として,小書きのかな(ぁぃぅァィゥなど)を行頭禁則和字から除外することは認められている.

注3)

小書きの仮名を行頭禁則の対象としない場合は,そこに含まれる小書きの平仮名は平仮名(cl-15)の文字クラス,小書きの片仮名は片仮名(cl-16)の文字クラスとする.

(12)前置省略記号(cl-12)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

(13)ハイフン類(cl-13)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

(14)和字間隔(cl-14)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

(15)平仮名(cl-15)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

JIS X 4051で,漢字など((1)~(12)以外の和字)と平仮名が別のクラスになっているのは,ルビの親文字からのはみ出しがあった場合,そのはみ出しを掛けてよいかどうかで差があるからである.

(16)片仮名(cl-16)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

片仮名は,JIS X 4051では,漢字などと同じ文字クラス(“(1)~(12)以外の和字”)に含まれている.しかし,このドキュメントでは,ルビのはみ出しがあった場合,平仮名と同様に掛かってよとしたことから独立した文字クラスとした.

(17)等号類(cl-17)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

数式などに使う演算記号(+-÷×等)や等号類(=≠<>≦≧∞⊆⊇∪∩等)は,JIS X 4051では漢字など((1)~(12)以外の和字)も文字クラス(又は欧文用文字)に含まれている.しかし,欧字やアラビア数字と連続した場合の扱いは,漢字とは異なるので,次項の演算記号とともに新たな文字クラスを作成した.

(18)演算記号(cl-18)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

(19)漢字等(cl-19)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

JIS X 4051の文字クラス名は,“(1)~(12)以外の和字”である.

(20)合印中の文字(cl-20)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

注の参照のために該当する項目の直後の行中に配置した合い印注の文字である.

(21)親文字群中の文字(添え字付き)(cl-21)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

JIS X 4051の名称は,“添え字付き親文字群中の文字”である.親文字群とは,親文字及びそれに付随するルビ,添え字又は圏点を含めた文字群のことである.

(22)親文字群中の文字(熟語以外のルビ付き)(cl-22)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

JIS X 4051の名称は,“熟語ルビ以外のルビ付き付き親文字群中の文字”である.

(23)親文字群中の文字(熟語ルビ付き)(cl-23)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

JIS X 4051の名称は,“熟語ルビ付き親文字群中の文字”である.

(24)連数字中の文字(cl-24)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

連数字として扱われる連続した数字(アラビア数字)及び小数点のピリオド,並びに位取りのコンマ及び空白のことである.

(25)単位記号中の文字(cl-25)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

ここでいう単位記号は,国際単位系(SI)として使用されているラテン文字又はギリシャ文字を組み合わせて単位を示すものである.

注2)

全角の仮想ボディにラテン文字やアラビア数字などを組み合わせた単位記号がある(全角単位字).このような単位記号は,ここでいう単位記号中の文字には含めない.なお,全角単位字は,主に縦組で使用するもので,横組で使用するのは,体裁がよくないので避けたほうがよい(図2-9-1参照).

全角単位字(上側)と欧文用文字(下側)を用いた単位記号の例

図176]: 全角単位字(上側)と欧文用文字(下側)を用いた単位記号の例

(26)欧文間隔(cl-26)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

(27)欧文用文字(cl-27)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

欧文用文字(cl-27)には,欧文として使用する括弧類などの欧文の約物を含む.なお,これらは和文でも欧文でも使用している種類がある.しかし,それらの字幅や字形は異なることが多い.たとえば,始め小括弧(始め丸括弧)[(] (LEFT PARENTHESIS)及び終わり小括弧(終わり丸括弧)[)] (RIGHT PARENTHESIS)は,和文用と欧文用とでは,字幅が異なるだけではなく(和文は仮想ボディの行送り方向の中央,欧文は並び線・ディセンダラインが基準),円弧の深さ(フォントにもよるが,一般に和文は円弧が深く,欧文は浅い),字形(フォントにも夜が,和文は線の太さの変化が小さく,欧文は変化が大きい)といった違いがある.これらにつき,どの部分に和文用,どの部分に欧文用を使用するかは指定による.和文注は和文用を,欧文中は欧文用を使用するのが原則であるが,判断に迷う例もある.例えば,“エディタ(editor)は……”のように和文中に英語の綴りを括弧内に示す例は多い.この始め小括弧(始め丸括弧)[(] (LEFT PARENTHESIS)及び終わり小括弧(終わり丸括弧)[)] (RIGHT PARENTHESIS)は,和文か欧文かということである.この場合の始め小括弧(始め丸括弧)[(] (LEFT PARENTHESIS)及び終わり小括弧(終わり丸括弧)[)] (RIGHT PARENTHESIS)は和文としてよいであろう.

(28)割注始め括弧類(cl-28)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

(29)割注終わり括弧類(cl-29)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

注1)

割注始め括弧類又は割注終わり括弧類は,割注を囲むために用いる括弧類及びその前後の空きのことである.一般に使用する括弧類と組版処理が異なるので,別の文字クラスにしている.

(30)縦中横中の文字(cl-30)

【各文字を一覧にして示す…… 後送】

3.9.3  各文字クラスの配置方法

文字クラスごとに,行頭行末に配置してよいか,禁止するか,さらに行頭行末にきた場合の配置法や,それぞれが並んだ場合の文字間の空き量は,前に配置される文字クラスと後ろに配置される文字クラスの組合せ(2次元の)で示すことができる.JIS X 4051では,5に“(文字間の)空き量”として示されている.

注1)

2次元のに示す場合,各文字クラスの外に,“行頭”(前に配置される文字クラスの欄)及び“行末”(後ろに配置される文字クラスの欄)の項目が必要になる.そして,行頭又は行末の配置を禁止する場合は,JIS X 4051では行頭”及び“行末”の欄に×印で示している.

また,文字クラスの文字・記号が並んだ場合,その間で2行に渡る分割が可能か,行の調整の際に字間を空けてよいかどうかも,各文字クラスの組合せ(2次元の)で規定できる.このような事項についても,JIS X 4051では2次元ので示している.2行に渡る分割が可能かどうかは6,行の調整の際に字間を空けてよいかどうかは7に示されている.

注1)

文字クラスの文字・記号が並んだ場合,行の調整の際にその間で詰めてよいかどうかも各文字クラスの組合せ(2次元の)で規定できる.しかし,JIS X 4051では,そのようなは示されていない.文章で示されている.

このドキュメントにおける,それぞれの文字クラスの文字・記号が並んだ場合の文字間の空き量の表をAppenxix 〓に掲げる.

このドキュメントにおける,それぞれの文字クラスの文字・記号が並んだ場合に,その字間で2行に渡る分割が可能かどうかを示す表をAppendix 〓に掲げる.

このドキュメントにおける,それぞれの文字クラスの文字・記号が並んだ場合に,行の調整の際に字間を空けてよいか,詰めてよいかを示す表をAppenxix 〓に掲げる.また,その際の優先順序を示す表をAppendix 〓に掲げる.

1 文字クラス一覧

1. 始め括弧類(cl-01)

字形 UCS UCS名称 通用名称 備考
2018 LEFT SINGLE QUOTATION MARK 左シングル引用符,左シングルクォーテーションマーク 横組で使用
201C LEFT DOUBLE QUOTATION MARK 左ダブル引用符,左ダブルクォーテーションマーク 横組で使用
0028 LEFT PARENTHESIS 始め小括弧,始め丸括弧
3014 LEFT TORTOISE SHELL BRACKET 始めきっこう(亀甲)括弧
005B LEFT SQUARE BRACKET 始め大括弧,始め角括弧
007B LEFT CURLY BRACKET 始め中括弧,始め波括弧
3008 LEFT ANGLE BRACKET 始め山括弧
300A LEFT DOUBLE ANGLE BRACKET 始め二重山括弧
300C LEFT CORNER BRACKET 始めかぎ括弧
300E LEFT WHITE CORNER BRACKET 始め二重かぎ括弧
3010 LEFT BLACK LENTICULAR BRACKET 始めすみ付き括弧
2985 LEFT WHITE PARENTHESIS 始め二重パーレン,始め二重括弧
3018 LEFT WHITE TORTOISE SHELL BRACKET 始め二重きっこう(亀甲)括弧
3016 LEFT WHITE LENTICULAR BRACKET 始めすみ付き括弧(白)
« 00AB LEFT-POINTING DOUBLE ANGLE QUOTATION MARK 始め二重山括弧引用記号,始めギュメ
301D REVERSED DOUBLE PRIME QUOTATION MARK 始めダブルミニュート 縦組で使用

2. 終わり括弧類(cl-02)

字形 UCS UCS名称 通用名称 備考
2019 RIGHT SINGLE QUOTATION MARK 右シングル引用符,右シングルクォーテーションマーク 横組で使用
201D RIGHT DOUBLE QUOTATION MARK 右ダブル引用符,右ダブルクォーテーションマーク 横組で使用
0029 RIGHT PARENTHESIS 終わり小括弧,終わり丸括弧
3015 RIGHT TORTOISE SHELL BRACKET 終わりきっこう(亀甲)括弧
005D RIGHT SQUARE BRACKET 終わり大括弧,終わり角括弧
007D RIGHT CURLY BRACKET 終わり大括弧,終わり角括弧
3009 RIGHT ANGLE BRACKET 終わり山括弧
300B RIGHT DOUBLE ANGLE BRACKET 終わり二重山括弧
300D RIGHT CORNER BRACKET 終わりかぎ括弧
300F RIGHT WHITE CORNER BRACKET 終わり二重かぎ括弧
3011 RIGHT BLACK LENTICULAR BRACKET 終わりすみ付き括弧
2986 RIGHT WHITE PARENTHESIS 終わり二重パーレン,終わり二重括弧
3019 RIGHT WHITE TORTOISE SHELL BRACKET 終わり二重きっこう(亀甲)括弧
3017 RIGHT WHITE LENTICULAR BRACKET 終わりすみ付き括弧(白)
» 00BB RIGHT-POINTING DOUBLE ANGLE QUOTATION MARK 終わり二重山括弧引用記号,終わりギュメ
301F LOW DOUBLE PRIME QUOTATION MARK 終わりダブルミニュート 縦組で使用

3. ハイフン類(cl-03)

字形 UCS UCS名称 通用名称 備考
2010 HYPHEN ハイフン(四分) 字幅は四分角
301C WAVE DASH 波ダッシュ
30A0 KATAKANA-HIRAGANA DOUBLE HYPHEN 二重ハイフン,二分二重ダッシ 字幅は半角
2013 EN DASH 二分ダーシ,ダッシュ(二分) 字幅は半角

4. 区切り約物(cl-04)

字形 UCS UCS名称 通用名称 備考
003F QUESTION MARK 疑問符
0021 EXCLAMATION MARK 感嘆符
203C DOUBLE EXCLAMATION MARK 感嘆符二つ
2047 DOUBLE QUESTION MARK 疑問符二つ
2048 QUESTION EXCLAMATION MARK 疑問符感嘆符
2049 EXCLAMATION QUESTION MARK 感嘆符疑問符

5. 中点類(cl-05)

字形 UCS UCS名称 通用名称 備考
30FB KATAKANA MIDDLE DOT 中点
003A COLON コロン
003B SEMICOLON セミコロン 横組で使用

6. 句点類(cl-06)

字形 UCS UCS名称 通用名称 備考
3002 IDEOGRAPHIC FULL STOP 句点
002E FULL STOP ピリオド 横組で使用

7. 読点類(cl-07)

字形 UCS UCS名称 通用名称 備考
3001 IDEOGRAPHIC COMMA 読点
002C COMMA コンマ 横組で使用

8. 分離禁止文字(cl-08)

字形 UCS UCS名称 通用名称 備考
2014 EM DASH ダッシュ(全角)
2026 HORIZONTAL ELLIPSIS 三点リーダ
2025 TWO DOT LEADER 二点リーダ
3033 VERTICAL KANA REPEAT MARK UPPER HALF くの字点上 縦組で使用
この文字の後ろに3035が配置される
3034 VERTICAL KANA REPEAT WITH VOICED SOUND MARK UPPER HALF くの字点上(濁点) 縦組で使用
この文字の後ろに3035が配置される
3035 VERTICAL KANA REPEAT MARK LOWER HALF くの字点下 縦組で使用

9. 繰返し記号(cl-09)

字形 UCS UCS名称 通用名称 備考
30FD KATAKANA ITERATION MARK 片仮名繰返し記号
30FE KATAKANA VOICED ITERATION MARK 片仮名繰返し記号(濁点)
309D HIRAGANA ITERATION MARK 平仮名繰返し記号
309E HIRAGANA VOICED ITERATION MARK 平仮名繰返し記号(濁点)
3005 IDEOGRAPHIC ITERATION MARK 繰返し記号
303B VERTICAL IDEOGRAPHIC ITERATION MARK 二の字点,ゆすり点

10. 長音記号(cl-10)

字形 UCS UCS名称 通用名称 備考
30FC KATAKANA-HIRAGANA PROLONGED SOUND MARK 長音記号

11. 小書きの仮名(cl-11)

字形 UCS UCS名称 通用名称 備考
3041 HIRAGANA LETTER SMALL A 小書き平仮名あ
3043 HIRAGANA LETTER SMALL I 小書き平仮名い
3045 HIRAGANA LETTER SMALL U 小書き平仮名う
3047 HIRAGANA LETTER SMALL E 小書き平仮名え
3049 HIRAGANA LETTER SMALL O 小書き平仮名お
30A1 KATAKANA LETTER SMALL A 小書き片仮名ア
30A3 KATAKANA LETTER SMALL I 小書き片仮名イ
30A5 KATAKANA LETTER SMALL U 小書き片仮名ウ
30A7 KATAKANA LETTER SMALL E 小書き片仮名エ
30A9 KATAKANA LETTER SMALL O 小書き片仮名オ
3063 HIRAGANA LETTER SMALL TU 小書き平仮名つ
3083 HIRAGANA LETTER SMALL YA 小書き平仮名や
3085 HIRAGANA LETTER SMALL YU 小書き平仮名ゆ
3087 HIRAGANA LETTER SMALL YO 小書き平仮名よ
308E HIRAGANA LETTER SMALL WA 小書き平仮名わ
3095 HIRAGANA LETTER SMALL KA 小書き平仮名か
3096 HIRAGANA LETTER SMALL KE 小書き平仮名け
30C3 KATAKANA LETTER SMALL TU 小書き片仮名ツ
30E3 KATAKANA LETTER SMALL YA 小書き片仮名ヤ
30E5 KATAKANA LETTER SMALL YU 小書き片仮名ユ
30E7 KATAKANA LETTER SMALL YO 小書き片仮名ヨ
30EE KATAKANA LETTER SMALL WA 小書き片仮名ワ
30F5 KATAKANA LETTER SMALL KA 小書き片仮名カ
30F6 KATAKANA LETTER SMALL KE 小書き片仮名ケ
31F0 KATAKANA LETTER SMALL KU 小書き片仮名ク
31F1 KATAKANA LETTER SMALL SI 小書き片仮名シ
31F2 KATAKANA LETTER SMALL SU 小書き片仮名ス
31F3 KATAKANA LETTER SMALL TO 小書き片仮名ト
31F4 KATAKANA LETTER SMALL NU 小書き片仮名ヌ
31F5 KATAKANA LETTER SMALL HA 小書き片仮名ハ
31F6 KATAKANA LETTER SMALL HI 小書き片仮名ヒ
31F7 KATAKANA LETTER SMALL HU 小書き片仮名フ
31F8 KATAKANA LETTER SMALL HE 小書き片仮名ヘ
31F9 KATAKANA LETTER SMALL HO 小書き片仮名ホ
31FA KATAKANA LETTER SMALL MU 小書き片仮名ム
31FB KATAKANA LETTER SMALL RA 小書き片仮名ラ
31FC KATAKANA LETTER SMALL RI 小書き片仮名リ
31FD KATAKANA LETTER SMALL RU 小書き片仮名ル
31FE KATAKANA LETTER SMALL RE 小書き片仮名レ
31FF KATAKANA LETTER SMALL RO 小書き片仮名ロ
ㇷ゚ <31F7, 309A> <KATAKANA LETTER SMALL HU, COMBINING KATAKANA-HIRAGANA SEMI-VOICED SOUND M