HTML 4.0の仕様 (ドラフト) 公開について

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World Wide Web Consortium (W3C)は8日、 Webページの記述言語であるHyperText Markup Language (HTML)の最新版、 HTML 4.0のワーキングドラフトを公開いたしました。

HTML 4.0は、 W3C勧告であるHTML 3.2に対して機能の強化をおこなったものであり、 現在W3C勧告に向けて、仕様策定が進められています。 このたび公開いたしましたワーキングドラフトは、 HTML 4.0の仕様のドラフトであり、 これに対してW3Cの勧告手続きにのっとったレビューがおこなわれます。


HTML 4.0のおもな特徴

互換性をもたないHTMLの独自拡張は、 Webが直面している問題のひとつです。 今回W3Cが公開いたしましたHTMLの最新仕様「HTML 4.0」には、 HTML 3.2の勧告で盛り込まれたマルチメディアやハイパーテキストの機能をベースにさらに発展させるとともに、 障害をお持ちの方々のWeb利用や、 国際化への対応にも本格的に取り組むなど、 Webをコンテンツ提供者・ユーザの双方にとってより使いやすく、魅力的なものにする数々の新機能が盛り込まれています。 HTML 4.0は、 独自拡張に頼ることなく、魅力的でアクセスしやすい、 "World Wide"なWebページ作成を可能にする、 強固な基盤を提供します。

HTML 4.0で拡張されたおもな機能としては、 以下のようなものが挙げられます。

  • 先進的なフォーム機能: フォーム機能の拡張により、 より表現力豊かでアクセスしやすいフォームを作成することができます。
  • フレーム機能の改良: インライン・フレームを含む先進的なフレーム機能の採用により、 複数のフレームを持つコンパウンド・ドキュメントを作成することができます。
  • テーブル (表組み) の拡張: より構造的な表の記述力と豊かな表現力とを兼ね備えた、 さらに強力なテーブル機能を提供します。
  • オブジェクトの埋め込み、スクリプト及びスタイルシートのサポート: ドキュメントに様々なオブジェクトを埋め込んだり、スクリプトを記述したり、 スタイルシートを定義する標準的な方法を提供します。
  • 名前実体 (Named Entity) の追加: 数式記号やギリシャ文字、国際化のために必要な制御記号等をΑのように名前で参照できるようにする、名前実体を数多く追加しています。

Accessibilityの向上

日常生活におけるWebの重要性が増すとともに、 障害を持った方々も含めて、よりアクセスしやすい環境を構築する必要性もまた高まってきています。 W3CでもWeb Accessibility Initiative (WAI)を立ち上げ、 これを積極的に推進していますが、この社会的ニーズはHTML 4.0にも反映されています。

HTML 4.0で新たに導入された、 フォームやテーブルの拡張をはじめとする数々の機能は、 障害を持った方々のWebへのアクセスを大幅に改善します。 例えばテーブルの拡張により、表にキャプションをつけたり各セルにラベルをつけたりすることで、 点字や音声による出力の際にこれらの情報を利用して、 内容を把握するのに役立てることができます。 またフォームの拡張により、各フォームコントロールのグルーピングやラベルづけ、 キーボードショートカットの定義などが可能になり、 よりアクセスしやすいフォームを作成することができます。

これらの相乗効果により、HTML 4.0はWebをより開かれた、バリアフリーなものにします。

国際化の考慮

その名の通り"World Wide"に利用されるWWWにとって、国際化は極めて重要な問題です。 しかしながら、従来のHTMLの規格では、 アジアの諸言語をはじめとして、非西欧言語の扱いは考慮されていませんでした。

HTML 4.0では、多言語が混在する場合も含めて、 様々な言語で書かれたドキュメントを扱うのに必要な機能を提供します。 HTML 4.0では、 日本語をはじめとするアジアの諸言語はもちろん、 アラビア語やヘブライ語のように右から左へと書く言語や、 それらが左から右へと書く言語と混在したドキュメントも扱うことができます。


HTML 4.0に関する追加情報については、 英文プレスリリースWWWの発案者でもあるW3Cのディレクタ、 Tim Berners-LeeによるHTML 4.0の展望、 及びW3Cの会員らによる推薦文をご覧ください。 HTML全般に関する情報は、 <URL:http://www.w3.org/MarkUp/> をご覧ください。


World Wide Web Consortium (W3C) について

World Wide Web Consortium (W3C) は、 マサチューセッツ工科大学計算機科学研究所 (MIT/LCS)、 フランス国立情報処理自動化研究所 (INRIA)、 慶應義塾大学SFC研究所(Keio-SFC)の日米欧3機関がホスト機関として共同運営に当たっているWorld Wide Web (WWW) 技術の標準化と推進を目的とする国際学術研究開発組織です。 W3Cはインターネットの情報提供手段として不可欠なWWW技術を推進する非営利組織として、 産業界に支えられつつも、常にベンダーに対し中立的立場に立ち、 国際的に共通な技術のデファクト標準化推進やプロトタイプの実装・提供に努めています。 現在、180を越える組織がW3Cのメンバーとして研究開発活動に参加・協力し、 研究者およびユーザに向けてのWWWに関する多様な情報の提供をはじめ、 共通のプロトコルに関する標準的コードの開発促進、 それら新技術を応用したさまざまなプロトタイプやサンプルアプリケーションの実社会への適用・開発などに取り組んでいます。 W3Cは、 より高いインターオペラビリティを保ちながらWWWシステムを地球規模(World Wide)に発展させていくことを使命としています。

World Wide Web Consortiumに関するより詳しい情報は、 <URL:http://www.w3.org/> をご覧ください。

マサチューセッツ工科大学計算機科学研究所 (MIT/LCS) について

マサチューセッツ工科大学計算機科学研究所 (MIT Laboratory for Computer Science) は、 MITにあるコンピュータ関係の権威ある研究所で、 Multicsの開発、 Athenaプロジェクトの推進などを行なってきたところです。 その情報技術分野での研究活動は常に世界の最先端を行くと評され、30余年にわたり、 技術的、あるいは社会的・経済的に非常に大きな影響力を保ち続けています。 在学生・卒業生の活躍ぶりは周知の事実です。

MIT/LCSに関するより詳しい情報は、 <URL:http://www.lcs.mit.edu/> をご覧ください。

フランス国立情報処理自動化研究所 (INRIA) について

フランス国立情報処理自動化研究所 (Institut National de Recherche en Informatique et en Automatique) は、 情報処理および自動制御につき基礎研究と応用研究を行っている研究所で、 MIT同様に、 コンピュータに関するさまざまな研究を推進しています。産業界への技術移転も積極的に行っているヨーロッパでも指導的な立場にある研究所です。

INRIAに関するより詳しい情報は、 <URL:http://www.inria.fr/> をご覧ください。

慶應義塾大学について

慶應義塾大学は、日本で最も歴史ある私立大学の1つであり、 また日本におけるコンピュータやネットワークの最も先進的な研究機関の1つでもあります。慶應義塾大学におけるW3Cアジア地区ホストとしての運営・研究活動は、 湘南藤沢キャンパスにあるSFC研究所が担当しています。 MITINRIAと共同してコンソーシアムの達成目標であるWebの地球規模の発展に力を注ぐと同時に、 アジア地区のW3Cメンバーが期待するWWW技術の開発やデファクト標準制定に対し、 積極的な支援を行なっています。

慶應義塾大学に関するより詳しい情報は、 <URL:http://www.keio.ac.jp/> をご覧ください。

 

お問い合せ先

慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス
SFC研究所 W3C担当 三橋 紫 (MITSUHASHI, Yukari)

住所:
〒252 神奈川県藤沢市遠藤5322
電話番号:
(0466) 47-5111 (内線3803)
(0466) 47-5049 (直通)
FAX番号:
(0466) 47-5011
E-mail:
w3c-keio-contact@w3.mag.keio.ac.jp
URL:
http://www.w3.mag.keio.ac.jp/

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