W3Cに集うエキスパートが未来のウェブ技術のロードマップを議論

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ポルトガル・リスボン開催・W3C技術総会
- Technical Plenary Advisory Committee Meeting -

「To lead the Web to its full potential」を使命に掲げるW3C (World Wide Web Consortium)は、2016年9月23日ポルトガル・リスボンで550名を超えるウェブ技術者が集う国際会議である年次会議であるW3C TPAC (Technical Plenary Advisory Committee Meeting)を閉幕しました。TPACでは今後の課題や新たなへ使命へのロード マップや標準化策定の議論が交わされました。今回のTPACでは40に 登るグループが集いました。それとは別の40以上のブレークアウトセッションでは、近い将来にもW3C標準化につながる可能性を秘めたウェブ技術が提起され活発な議論の応酬がされました。

 

TPAC 2016 logo

 

ウェブの発明家でありW3Cディレクターのティ ム・バーナーズ=リーの基調講演では、世界中の誰もが活用できる相互運用性と分散性を備えたオープンなウェブへのビジョンが語られました。今年の8月6日は、ウェブが公的に利用可能なサービスと なった日から25年目を向かえた日です。1989年にバーナーズ=リーがウェブを発明して以来、ウェブは複数のデバイス上でアクセシビリティに配慮しながら多言語での展開や映像、グラフィックス機能も含めて進化し続けています。

W3C最高経営責任者の博士ジェフェリー・ジャッフェはこう述べています。「高度なウェブ技術を持つW3C会員とウェブコミュニティ- W3Cコミュニティ-があらゆる人のためのウェブとウェブ技術を形造っています。リスボンのTPACではW3Cの重要性と意義を再認識しました。」

  • W3Cが注力する業界を対象とした各議論

  • Accessibility - WCAG 2.0はアクセシブルなウェブページへの基礎標準であり、世界中の政府機関や組織で採用されています。来年までに全てのW3C標準により堅牢 で横断的なレビューを提供するべく、WCAG2.1の新しいチャーター(憲章)に向けた準備を進めました。 ARIA 1.1はCandidate Recommendation (勧告候補)を見込んで実装を含めた評価を進めています。
  • Automotive - Web and Automotive Working Groupでは、クルマとウェブとの連携を実現するために、 車載インフォテイメントシステムを対象として、自動車情報へのアクセス手続きの標準化に取り組んでいます。
  • Digital Publishing - Publishing CommunityDigital Publishing Interest Groupは、オンライン・オフラインの いずれでも、電子書籍での読書や学習など不自由なく行なえるよう、作家と出版社の要望も含めて協同しています。
  • Entertainment - Web and TV Interest Groupでの新しい機能はエンターテイメント業界に注力しています。TV Control Working Groupはウェブページに放送のコンテンツを加え、Second Screen Presentation Working Groupではウェブページをセカンドスクリーンで表示できるようなAPI (Application Programming Interface)を定義しました。
  • Telecommunications - Web Real Time Communications Working Groupは、どこからもどのネットワークからもオーディオやビデオの コミュニケーションを可能にするためのウェブ技術を加速しています。
  • Open Web Platform - CSS Working Groupは 2016年に6件の勧告を、Flexible Box Layout level 1を含めた22以上の勧告案を 完了しています。Web Platform Working GroupはHTML5.1の勧告候補を経て、 今秋にはW3C標準として勧告する予定です。それと同時に既に本グループでは First Public Working Draft of HTML 5.2の草案第1稿を起草しており、 メディア機能を拡張するMedia Source Extensions (MSE)を11月初旬の勧告を目指しています。Encrypted Media Extensions (EME)はConsumer Technology Association (CTA)のサポートを受け、新しい機能を有するテストスイートを完了させるために工程を順延しました。
  • Web of Data - Data on the Web Best Practices Working Groupはオープン・クローズドのいかんを問わず、 ウェブ上でのデータの指針を定めています。本グループの勧 告候補案では Data on the Web Best Practiceの実装を推奨しています。本活動は Geospatial DataLicensesなどに も適用されています。
  • Web Payments - Web Payments Working Groupはオンライン上の決済をより簡単に、よりセキュアに行なう APIを開発しています。
  • Web Security - Web Authentication Working Groupはウェブ上で使用するパスワードのログイン方法をよりセキュアに、幅を持たせるた めに議論を続けています。Web Application Security Working Groupは間もなくContent Security Policy level 2を完了させます。
  • Web of Things - Web of Things Interest Groupでは、IoT (Internet of Things)プラットフォームや アプリケーション・ドメインを超えて容易に統合化できる標準化された メタデータを通じてIoTのフラグメンテーションに対処しようと努めています。 本グループは定期的に開催しているプラグフェストで相互運用性の試用を 行なっており、現在Web of Things Working Groupに向けたチャーターを 作成しています。

今回のTPACは、初の試みとして20のW3Cコミュニティグループも 集い今後のウェブ技術について意見を交 換しました。そこではBlockchain、Virtual Reality (VR/AR)、Web Bluetooth、NFC、micro-payments、multi-device timing、Web of Thingsプラグフェストが展開されました。

About the World Wide Web Consortium

World Wide Web Consortium(W3C)は、Web標準化の開発を目的とし、会員組織、 フルタイムスタッフ、および公的団体が連携する国際的なコンソーシアムです。 W3Cは、Webの長期的な成長の確保を目的としたWeb標準およびガイドラインの作成を通じ、使命に尽力しています。 Open Web Platformは、現在、 我々が最も注力している分野です。400を超える組織が、本コンソーシアムの 会 員として参加しています。W3Cは、米国MIT Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory(MIT CSAIL: マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所)、 フランスEuropean Research Consortium for Informatics and Mathematics(ERCIM: 欧州情報処理数学研究コンソーシアム)、 日本の慶應義塾大学、及 び 中国の北京航空航天大学 (Beihang University) により共同運営されており、 各国にW3Cオフィスを 設置しています。 詳細については、http://www.w3.org/をご覧くださ い。

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Karen Myers, W3C <w3t-pr@w3.org>
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