W3C(ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)、エミー賞受賞の字幕技術を推進 映像コンテンツのアクセシビリティのさらなる向上へ

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W3C's Internet Media Subtitles and Captions 1.0 (IMSC1) が新たに国際標準に

 

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https://www.w3.org/ — ウェブの基盤技術を開発する標準化団体であるワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム(W3C)は、Internet Media Subtitles and Captions 1.0 IMSC1 というTTMLプロファイルをグローバルガイドラインとして発行しました。このガイドラインは、アクセシビリティを改善するとともに、配信事業者がオンライン映像コンテンツを国際的的に流通させるにあたって、より簡単かつ廉価に字幕を付与することを可能とします。

 

Picture of a movie clip showing the subtitles

 

「以前はコンテンツ製作者や配信事業者は、地域毎のTTMLバージョンや派生仕様を利用する必要があり視聴体験に世界各地でばらつきが生じていました。IMSC1によって、世界規模で一貫性をもって高品質かつ高機能は字幕の提供が可能となります。」(フィリップ・レ・フィガレ,W3Cインタラクションドメインリーダー)

オンランインビデオの字幕ガイドラインに関するこの新しい調和は、W3Cの Timed Text Working Groupと、世界的な専門家やEBUSMPTEを含む外部団体との協調によって実現されました。

IMSC1はW3CとEBUの共同作業のよい事例です。その共同作業においてEBUとそのメンバーは、国際的な字幕標準の改善を手助けするとともに、既存の地域標準と新しいガイドラインとの差異を最小化することに共同であたり、より広く現場で採用されることを目指して仕様の簡素化に努めました。

採用

IMSC1は、SMPTEのInteroperable Master Format (SMPTE ST 2067-2)、や、Advanced Television Systems Committee (ATSC)の Captions and Subtitles (A/343) など、世界中の標準化団体のプロジェクトで採用が進んでいます。

「IMSC1はA/343の重要要素です。A/343は、放送波とブロードバンドとのハイブリッドとの双方に対応した次世代テレビ放送のためのATSC3.0の一部を担っています。IMSC1の開発に対するW3Cの尽力に感謝します。」(マーク・リッチャー、ATSCプレジデント)

「基盤となるTTML1にいまやIMSC1とTTML2を加え、TTML標準ファミリは映像産業に対して国際的な字幕の制作と配信に関する共通となるターゲットを提供しています」(ジム・ヘルマン MovieLabs CTO)

字幕により洗練された機能を追加

エミー賞受賞のTimed Text Markup Language (TTML)の応用であるIMSC1用TTMLプロファイルは、EBU-TT-D, CFF-TT, SDP-US, SMPTE-TTを含む既存のTTMLプロファイルをとりまとめることによって、国際的な字幕の制作や流通をより簡単にします。加えて、W3C TTML作業部会は、Timed Text Markup Language (TTML)の第二版である、TTML2のワーキングドラフトを更新しました。この改訂版は、IMSC1で追加された新機能に加えて、東アジア言語の字体、ステレオスコピック(立体視)表現、HTMLとCSSへのマッピング等の新機能をサポートしています。

IMSC1は、TTMLに対してより実践的に利用しやすくするための制約を与えるとともに、産業利用に有効な多くの機能を含んでいます。例えば、

  • 強制字幕: 単一のIMSC1文書は、難聴の視聴者向けの字幕テキストと翻訳版の字幕テキストの双方を含むことができます。これによって視聴者は、単なる翻訳版か、難聴の視聴者向けのものかを選択することができます。
  • 文字の配置や字詰め機能の拡張: IMSC1は欧州で通常使用される字幕スタイルをサポートします。
  • 画像: IMCS1は、テキスト字幕に加えて画像字幕もサポートします。
  • フォントやキャラクターセットの参照: IMSC1では、描画品質の向上のために、参照フォントと推奨キャラクターセットを指定します。
  • 描画パフォーマンスモデル: IMSC1の仮想描画モデルは、文書の複雑さを制作時に評価することを可能とし、コンテンツ流通の下流にて再生可能であることを確認できます。

既存のワークフローや要求事項に対する互換性と統合

国際的な字幕の協調ポイントとして、IMSC1は、さらなる分裂を生み出さずに、既存の標準をひとつにまとめていくことを促進します。W3Cの eXtensible Markup Language (XML)をベースとして、世界的な字幕に対するニーズに呼応して、現在策定中TTML2とともにIMSCが発展することをW3Cは目指します。

IMSC1は、MP4 (ISO/IEC 14496-12)などの共通メディアコンテナと互換性があり、DASH、HLS、CFF、MXF (SMPTE ST 377-1)などの産業用フォーマットにて使用され、プロフェッショナルな環境にて幅広く利用されています。

IMSC1 は、CEA-608/708 (SMPTE RP 2052-10 and RP 2052-11)やEBU STL (EBU Tech 3264) などの字幕形式からの変換を提供することによって、既存のワークフロー、コンテンツライブラリや字幕に対する要求事項と統合することが可能です。

W3C (ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)について

 

W3C(ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)は、ウェブ標準化の開発を目的とし、会員組織、フルタイムスタッフ、および公的団体が連携する国際的なコンソーシアムです。W3Cは、ウェブの長期的な成長の確保を目的としたウェブ標準およびガイドラインの作成を通じ使命に尽力し、現在、400を超える組織が、本コンソーシアムの会員として参加しています。

W3Cは、米国MIT Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory(MIT CSAIL:マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所)、フランスEuropean Research Consortium for Informatics and Mathematics(ERCIM: 欧州情報処理数学研究コンソーシアム)、北京航空航天大学 (Beihang University)および日本の慶應義塾大学により共同運営しており、オーストラリア、ベネルクス諸国、ブラジル、フィンランド、フランス、ドイツ、オーストリア、ギリシャ、ハンガリー、インド、イタリア、韓国、モロッコ、ロシア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、英国、アイルランドの各国にW3Cオフィスを設置しています。詳細はhttp://www.w3.org/をご覧ください。

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