W3CがHTML5仕様策定完了を発表、相互運用性テストおよびパフォーマンス向上へ

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W3Cメンバーからの推薦状

 

2012年12月17日 - World Wide Webコンソーシアム (W3C)は、本日、HTML5およびCanvas 2Dに関する仕様策定完了を発表いたしました。これらの仕様は、現段階ではW3C標準ではないものの、現在各企業やデベロッパーが実装やプランニングに向けて安定的なターゲットを持つことができる、機能的に完成した・機能策定完了段階にあります。HTML5は、W3Cが推進するOpenWeb Platformの根幹を担っており、ビデオやアニメーション、グラフィクス、スタイル、タイポグラフィ、およびデジタルパブリッシング向けのその他ツール、ネットワーク機能拡張など、デバイス機能へのアクセスを行うクロスプラットフォームアプリケーションに対応するフルプログラミング環境です。

 

HTML5

 

「ステークホルダーは、ウェブテクノロジーの広まりにともない、さらに安定した標準を望むようになっています。」W3C CEOのJeff Jaffeは、こう述べています。「現今、企業は、今後HTML5によって何ができるか、そして、今後顧客がどのようなことを要望してくるのかがわかっています。同じように、デベロッパーも、スマートフォン、車、テレビ、電子書籍、電子署名、あるいは、未知のデバイスなどと連携するためには、どのようなスキルを育成すべきなのか理解しています。」

また、W3Cは、本日、標準化の次のラウンドを視野に入れたHTML 5.1およびCanvas 2D, Level 2の第一草案も発表いたしました。W3Cコミュニティは、既存のHTML機能に加え、ビルトインHTML5アクセシビリティ、レスポンシブイメージ、およびアダプティブストリーミングを補完するための拡張機能など、新たな機能の開発を継続して強化していきます。

最先端の実装から2014年の広範なHTML5相互運用性に向けて

最新技術の躍進と活気あるブラウザ市場は、飛躍的なイノベーションを生み出す源です。また、これらの多くは、HTML5および関連技術を幅広く採用しています。最近実施された4000人以上のデベロッパーに対するKendo UI調査によると、63%超が「HTML5を積極的に開発している」という旨を示しています。しかし、同調査では、「ブラウザフラグメンテーション」は、テクノロジーの使用によるコストと複雑性が増加するため、依然としてデベロッパーの懸念事項となっていることも示されています。

W3Cは、ブラウザフラグメンテーションを低減し、HTMLを活用および作成するあらゆるツールへと実装を拡張することを目指して、相互運用性およびテストへ専念するW3Cの「Candidate Recommendation(勧告候補)」に着手しました。

W3C HTML Working Groupでは、本段階において、この仕様がブラウザ間での相互互換性、オーサリングツール、電子メールクライアント、サーバー、コンテンツマネージメントシステム、その他Webツールなどを確実に実現できるよう、さまざまなアクティビティを実施する予定です。HTML WGでは、現在のHTML5の実装を分析し、テスト開発の優先順位を定め、コミュニティと連携してこれらのテストに取り組みます。HTML WGでは、2014年中旬にこの実装フェーズを終了する計画であり、最終的なHTML5勧告の公開後には、W3CのPatent Policyに基づき、ロイヤリティフリーとして公開する予定です。

HTML WGだけが、HTML5およびOpen Web Platformの成功を追求しているわけではありません。たとえば、Web Performance Working Groupは、現在、パフォーマンスメトリクスへのアクセスを可能にする2つのW3C勧告を公開しており、Webアプリケーションパフォーマンスを評価および拡張するための技術を開発しています。最近では、November Workshop(2012年11月のワークショップ)でその技術を公表しています。Web and TV Interest Group(IG)およびCore Mobile Web Community Group(CG)は、増加する各種デバイスの展開を促進する手段として、テスト実施の優先順位を引き上げました。

謝辞

本日発表した本仕様においては、多数のW3C会員の皆様、さまざまなコミュニティの皆様、そしてチームスタッフから多大な寄与をいただきました。

W3Cは、HTML5の歴史、ほぼすべてに携わってこられたEditor(エディター)であるGoogle社のIan Hickson氏に感謝申し上げます。

W3Cは、現在のHTML WGの共同議長であるMicrosoft社のPaul Cotton氏、IBM社のSam Ruby氏、Apple社のMaciej Stachowiak氏による本活動の推進に深く感謝いたします。また、W3C勧告に向かう仕様策定を導く支援をいただいている、現在のEditor(エディター)各位へも心から御礼申し上げます。

W3Cは、HTML WGに参加するすべての企業・組織・個人の皆様によって費やしていただいた多くの時間とエネルギーに、そして、今後の継続的なコミットメントに心から感謝を申し上げます。

ワールドワイドウェブコンソーシアムについて

World Wide Web Consortium(W3C)は、Web標準化の開発を目的とし、会員組織、フルタイムスタッフ、および公的団体が連携する国際的なコンソーシアムです。W3Cは、Webの長期的な成長の確保を目的としたWeb標準およびガイドラインの作成を通じ、使命に尽力しています。Open Web Platformは、現在、我々が最も注力している分野です。375を超える組織が、本コンソーシアムの会員として参加しています。W3Cは、米国MIT Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory(MIT CSAIL:マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所)、フランスEuropean Research Consortium for Informatics and Mathematics(ERCIM: 欧州情報処理数学研究コンソーシアム)、および日本の慶應義塾大学により共同運営されており、各国のW3Cオフィス各国にW3Cオフィスを設置しています。詳細については、http://www.w3.org/をご覧ください。

Media Contacts

Ian Jacobs, <ij@w3.org>, +1.718.260.9447

 

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Michael Smith, <mike@w3.org>, 0466-49-1170

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