電子政府の透明性と有効性に関する合同研究会を W3C 及び WSRI が共同開催

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Web 標準関係者と行政専門家らが効果的な Web 利用に関する研究目標を共有

 

http://www.w3.org/ — 2007年5月15日 — Web 標準及び Web 研究に携わる第一線の技術者及び研究者らは、情報に対する入手性や透明性の向上だけでなく、住民行政サービスへの新たな窓口を提示するという双方の観点から、現在 Web がどのように機能し、また Web をより効果的に利用した行政事業推進に際し、どのような取組みが求められているのかを把握すべく、行政専門家らからのご意見を希求しています。World Wide Web Consortium (W3C) は、Web 科学研究イニシアティヴ (WSRI) との協調関係に基づき、より透明性の確保された行政の実現に向けた電子政府と Web に関する研究会を共同開催いたします。本研究会は、アメリカ合衆国 ワシントン D.C. にて本年6月18-19日の2日間にわたり開催されます。本研究会への参加を希望される方は、5月22日 (火) までに見解書をご提出下さい。

行政との接点に変革をもたらすインターネットと Web

相互接続された計算機と Web の普及により、住民と行政との関わり方が大きく変化しようとしています。運転免許証の申請や税金の還付など、住民らが利用可能な行政サービスはますます増加しており、法律や条例に関する情報や、行政運営について記述された基本情報、公共政策に関する議事録の他、地理空間情報といった公益資産に関する基本的な情報など、住民らは公共性の高い情報をより容易に入手できるようになっています。しかし、Web 上に公開される行政情報に特有の動向をより適切に理解するためには、解決すべき問題はまだまだ山積しています。

  • 行政機関が電子政府戦略の策定において考慮すべき情報サービスや Web 出版業界における新たな動向はどのようなものか?
  • 情報公開政策の実施や相互運用性の向上を目的に、Web 通信プロトコルや情報記述形式などのオープンな標準技術に対し、行政機関はどのような影響力を行使し得るか?
  • 現状の電子政府戦略では依然として実現の目処が立たない長期的な情報政策目標に該当するものは何か?
  • 商用ないし非行政目的で実装された Web サービスと、行政手続向けに設計された Web サービスとで、何らかの違いは存在するのか?
  • もし上述のような違いが存在する場合、電子政府サービス特有の要件においてそれら相違点から学ぶべきことは何か?

これらの問題点は、スペイン ヒホン (Gijón) にて本年2月に開催された欧州における電子政府に関する公開討論会にて既に調査検討されています。一次答申では、今後の検討課題に対する議論と提案が示されており、本研究会において、特有の課題を把握するだけでなく、欧州や米国の行政機関において共通する検討課題を明らかにすることが求められています。

共同開催される本研究会では、行政に関わる公務員、計算機科学者、電子政府に関する技術及び法律の双方に長けた学術研究者の他、Web 標準化の第一線で活躍する専門家、行政分野において製品やサービスを提供する様々な企業関係者らが一堂に会します。民主主義と技術に関する中央組織 (CDT) 副局長を務める Ari Schwartz 氏、人工知能の専門家である サウサンプトン大学 Nigel Shadbolt 教授、W3C 技術と社会 標準化施策責任者 及び MIT CSAIL 分散情報部門 主席研究員を務める Daniel Weitzner らが本研究会の共同議長を務めます。

情報統合における課題と成功事例を共有する卓越した講演者ら

現在検討が進む議題案には、Web 技術の専門家の他、情報統合や政策立案分野における専門家らによる講演が既に盛り込まれています。この他、W3C 技術統括責任者 及び MIT CSAIL 分散情報部門 上席研究員を務める Tim Berners-Lee、英国 測量局 (Ordnance Survey) 局長 兼 最高執行責任者 (CEO) を務める Vanessa Lawrence 氏、英国 内閣官房 Carol Tullo 氏らの参加が既に決定しています。

見解書の〆切を5月22日まで延長

本研究会への参加登録は既に開始されています。会場の制約上、ご参加頂ける人数には制限がございますので、ご興味のある関係者の皆様はお早めにお申込下さい。本研究会の査読委員会では、見解書の〆切を5月22日まで延長いたしました。詳細につきましては参加募集要項をご覧下さい。

World Wide Web Consortium [W3C] について

World Wide Web Consortium (W3C) は、会員組織、専任スタッフ、そして一般の皆様が一丸となって Web 標準の策定に取組む国際的なコンソーシアムです。W3C は、Web の長期的な発展を保証すべく設計された Web 標準や指針の策定を通じ、その使命の遂行に努めます。現在までに 400 を超える組織がコンソーシアムの会員となっています。W3C は、日本の慶應義塾大学、フランスに本部を置く欧州情報処理数学研究コンソーシアム (ERCIM)、及びアメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所 (MIT CSAIL) の各ホスト機関により共同運営されています。加えて各国地域における普及推進拠点となる W3C 事務局を世界各地に設置しています。詳しくは W3C の Web サイト http://www.w3.org/ をご覧下さい。

Web 科学研究イニシアティヴ [WSRI] について

Web 科学研究イニシアティヴ (WSRI) は、マサチューセッツ工科大学 計算機科学人工知能研究所 (MIT CSAIL) 及び 英国 サウサンプトン大学 計算機科学・電子工学部 (ECS) が推進する共同研究計画です。これからの Web に求められる設計指針や利用想定を提示すべく、基礎科学的な研究成果の創出、促進に取組んでいます。WSRI では、Web 科学を専攻する次世代の研究者を対象とした新たな修得技法の開発や、あらゆる規模や複雑性を考慮した Web 研究に特化した、一流の高度かつ学際的な研究活動に基づく共同研究を支援すべく、科学者及び学識経験者を対象とした包括的な公開討論の場を提供しています。詳しくは WSRI の Web サイト http://webscience.org/ をご覧下さい。

本件お問合せ先:
日本、アジア (慶應義塾大学 SFC 研究所) — 平川 泰之, <chibao@w3.org>, +81-466-49-1170
ヨーロッパ、アフリカ、中東 (ERCIM) — Marie-Claire Forgue, <mcf@w3.org>, +33 4 92 38 75 94 または +33 6 76 86 33 41
アメリカ、オーストラリア、その他 (MIT CSAIL) — Janet Daly, <janet@w3.org>, +1.617.253.5884 または +1.617.253.2613

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