品質保証ワーキンググループの活動完了と仕様策定指針の公開について (W3C 勧告)

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実装可能な技術標準の策定を支援する仕様策定指針

 

http://www.w3.org/ — 2005年8月17日 — World Wide Web Consortium (W3C) の品質保証 (QA) ワーキンググループは、実装可能な技術仕様の策定に際し、執筆者や編集者向けに明快な要件や実践例を提示する仕様策定指針 (QA Framework: Specification Guidelines) を W3C 勧告として公開し、今月末を以って活動を完了します。一方、品質保証インタレストグループは様々なメーリングリストやオンラインツールの維持管理を通じ、4年間にわたる W3C の品質保証活動成果の普及に継続して取り組みます。

W3C の最高執行責任者を務める Steve Bratt は次のように説明しています。「我々は数年来、開発者らが標準だけでなく標準への準拠度を検証する方法を必要としていることを認識していました。W3C の品質保証アクティビティは、各ワーキンググループによる実装可能な仕様策定の支援にとどまらず、ソフトウェア開発者らによる W3C 技術への理解と実装をも支援しながら、指針策定やツール実装などを主導しました。品質保証活動による成果は W3C の高品質なワーキンググループ活動を保証する必須手段となります。」

標準策定や運用に必要不可欠な品質保証

W3C は2001年の W3C ワークショップの成功を受け、W3C の各グループ向けに指針を提示し、仕様草案がそれら指針に準拠しているかどうかを審査し、相互運用可能な実装を促進するために W3C の各グループによる検証データ集やツール群の開発を支援することで、W3C 仕様の改善を目的とする品質保証アクティビティを同年に設置しました。

実践重視の文書策定に取り組んだ W3C 品質保証ワーキンググループ

品質保証ワーキンググループは設置以来、本日公開の仕様策定指針勧告を含め、計6本もの文書を公開しています。要件と実践例の双方を明示した仕様策定指針により、W3C 内外の仕様執筆者らは、開発者らが意図された通りに容易に実装できるような技術の開発、記述を行えるようになります。品質保証ワーキンググループではまた、仕様書本体だけでなく、適合性条項を記述するための文書テンプレートも取りまとめています。

品質保証ワーキンググループではこの他、品質保証フレームワーク入門書品質保証検証問答集Variability in Specifications 草案、The QA Handbook をそれぞれ公開しています。本ワーキンググループが取りまとめた文書の中でも特に有用で幅広く周知されている W3C 品質保証一覧表には、100以上もの W3C 仕様毎に適合性条項や検証データ集、あるいは Validator などの検証ツールへのリンクがまとめられています。

W3C 会員だけでなく開発者コミュニティからも支持される W3C における品質保証への取組み

W3C における品質保証への取組みは、設置当初より W3C 会員だけでなく幅広い開発者コミュニティから支持されていました。品質保証アクティビティには設置以来、Boeing、Microsoft、アメリカ合衆国連邦標準技術研究所 (NIST)、The Open Group、RealNetworks、Sun Microsystems がそれぞれ参加していました。

一方 Web コミュニティの多くの人々にとっては、実装可能な仕様の策定には関心はあるものの、活動成功に不可欠なワーキンググループへの参加時間の確保が難しいこともあり得るため、W3C では品質保証インタレストグループも設置しました。本インタレストグループは、会員と一般双方からの参加者で構成され、より適切に記述された仕様や検証データ集、あるいは Validator などの検証ツールの実現強化に向けた重要な取組みを行っています。W3C の公開啓蒙メーリングリストを通じ、世界中の Web 設計者や開発者らから、より適切な仕様策定や有益な資料作成に関する実用的かつ最新の意見が寄せられています。Validator などの信頼性の高い検証ツール群の開発や維持管理については、今後も本インタレストグループにより継続されます。

World Wide Web Consortium [W3C] について

W3C は、Web の発展を促進し、相互運用性を保証する共通のプロトコルを開発することにより、Web の可能性を最大限に導き出すべく設立されました。W3C は、日本の慶應義塾大学、フランスに本部を置く欧州情報処理数学研究コンソーシアム (ERCIM)、及びアメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所 (MIT CSAIL) がホスト機関として共同運営する会員制の国際産業コンソーシアムです。コンソーシアムにより提供されるサービスには、開発者及び利用者のための World Wide Web に関する豊富な情報、新技術を応用した様々なプロトタイプやサンプルアプリケーションの開発などが挙げられます。現在までに 400 近い組織がコンソーシアムの会員となっています。詳しくは W3C の Web サイト http://www.w3.org/ をご参照下さい。

 

お問合せ先 (日本、アジア)
平川 泰之, <chibao@w3.org>, +81.466.49.1170
お問合せ先 (ヨーロッパ、アフリカ、中東)
Marie-Claire Forgue, <mcf@w3.org>, +33.492.38.75.94
お問合せ先 (アメリカ、オーストラリア、その他)
Janet Daly, <janet@w3.org>, +1.617.253.5884 または +1.617.253.2613

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