W3C ヨーロッパ Semantic Web ツアーの開催について

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欧州委員会による後援のもと、W3C スタッフ及び W3C 会員による Semantic Web 基盤技術に関する講演を、ローマ、ロンドン、ミュンヘン、アテネ、ブリュッセルにて順次開催

 

http://www.w3.org/ -- 2003年6月10日 -- World Wide Web Consortium (W3C) は本日より、ヨーロッパを横断する一般公開イベントとして、Semantic Web 技術に関する講演とデモンストレーションを行う、ヨーロッパ Semantic Web ツアーを開催いたします。W3C Semantic Web ツアーは、本日のイタリアはローマを皮切りに、2003年6月24日のベルギーはブリュッセルに至る、計5つの 1-Day イベントシリーズにより構成されます。既存の Web 上に、よりリッチで、より利用し易いデータを作成する際に Semantic Web 技術が如何に役立つかについて、W3C スタッフ及び W3C 会員からの代表者が講演します。これらの技術標準の利用によって、アプリケーション横断的なデータの検索、自動処理、統合、再利用がより効果的に行えるようになります。

現在の Web を拡張する Semantic Web

Web の可能性を最大限に引き出すには、Web はユーザからだけでなく、自動化されたツールからでも、共有、処理されるデータに対する普遍的なアクセスが可能な情報環境を提供する Semantic Web へと進化する必要があります。Web の黎明期に Tim Berners-Lee によって最初に示されたヴィジョンである Semantic Web は、現在 W3C が主導的に推進する活動の1つとして最も良く知られています。Tim Berners-Lee が1998年に執筆した Semantic Web の初期のロードマップは、W3C の Semantic Web アクティビティが基づく Semantic Web アーキテクチャを理解するうえで今でも良き指針となっています。

2001年に開始された W3C Semantic Web アクティビティには、メタデータやオントロジ、そして Web といった領域の専門家やリーダらが一堂に会し、仕様の設計だけでなく、オープンかつ協調的な技術開発を推進しています。

Semantic Web は現在の Web を拡張するものであり、ユーザはより容易に情報を見つけたり、共有したり、組み合わせたりすることが可能となります。Semantic Web はデータ交換のための普遍的なメディアとして設計され、知識の記録や他人との共有を効率化するために、語彙の意味はそれに関心を持つユーザやコミュニティであれば誰でも定義したり再利用することが可能となります。

これらの実現を容易にすべく、相互運用可能な仕様群の策定が現在進められています。W3C における Semantic Web に関する活動は、Resource Description Framework (RDF) と呼ばれるモデルの構築から始まりました。これは、記述における基本的なモデルと構文と、RDF Schema と呼ばれる記述語彙の組み合わせ方法とから構成されます。そしてこのレイヤの上に、様々な語彙間の関係を記述する方法を提供する Web Ontology Language (OWL) が置かれます。これらの言語は全て、URIXMLXML 名前空間、といった技術基盤上に構築されます。

5つの都市を巡る W3C Semantic Web ツアー

ツアーは、W3C 欧州ホストである、欧州情報処理数学研究コンソーシアム (ERCIM) と、ヨーロッパ各地に設置されている、イギリス & アイルランド、イタリア、ギリシャ、ドイツ - オーストリア、ベネルクスの5つの W3C Office によって開催されます。

本 Semantic Web ツアーの開催都市及び開催日は次の通りです。

各講演会は W3C における Semantic Web に関する活動や応用例、テストケースに関する発表で構成されます。これらの講演は、1名ないし2名の W3C スタッフと、開催地域の地元から招待された講演者らによって行われます。何れの会場も一般公開され、無料で参加できますが、参加には事前登録が必要です。詳細につきましては各講演会主催者までお問い合わせ下さい。

欧州委員会からの支援を受け、ヨーロッパ各地の W3C Office を通じた W3C 普及活動を推進

昨年開催された W3C インタロップツアーでは、W3C 技術を幅広く取り上げ、それら技術を用いて Web における相互運用性の確保を容易にする方法を提示しました。この6月に開催される W3C Semantic Web ツアーでは、Web コミュニティにおいて関心が高まっている Semantic Web 技術に焦点を当てます。これら2つのツアーは双方とも、QUESTION-HOW プロジェクトの形態をとる、欧州委員会からの資金援助によって実現しています。

本ツアーはまた、もう1つの IST 資金によるプロジェクトであり、SWAD-Europe プロジェクトとも呼ばれる、ヨーロッパにおける W3C の Semantic Web Advanced Development 活動の恩恵も受けています。文書や翻訳の更新履歴や、サイトマップ、あるいはニュース配信、分類化や注釈、といった領域の問題点を解決する、実際に動作する実用的な Semantic Web のデモンストレーションも行われます。

World Wide Web Consortium [W3C] について

W3C は、Web の発展と相互運用性を確保するための共通のプロトコルを開発することにより、Web の可能性を最大限に引き出すべく設立されました。W3C は、アメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学研究所 (MIT/LCS)、フランスに本部を置く欧州情報処理数学研究コンソーシアム (ERCIM)、及び日本の慶應義塾大学がホスト機関として共同運営にあたっている国際産業コンソーシアムです。 コンソーシアムにより提供されるサービスには、開発者及び利用者のための World Wide Web に関する豊富な情報、新技術を応用した様々なプロトタイプやサンプルアプリケーションの開発などが挙げられます。現在までに、410を超える組織がコンソーシアムの会員となっています。詳しくは http://www.w3.org/ をご参照下さい。

 

お問い合わせ先 (アメリカ、オーストラリア) --
Janet Daly, <janet@w3.org>, +1.617.253.5884 または +1.617.253.2613
お問い合わせ先 (ヨーロッパ) --
Marie-Claire Forgue, <mcf@w3.org>, +33.492.38.75.94
お問い合わせ先 (アジア) --
竹内 佐衣子, <saeko@w3.org>, +81.466.49.1170

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