Canonical XML の公開について (W3C 勧告)

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電子署名の基盤を提供する新たな XML 関連仕様

 

http://www.w3.org/ -- 2001年3月19日 -- World Wide Web Consortium (W3C) は本日、 Canonical XML 1.0W3C 勧告として公開いたしました。 本仕様は、XML 1.0 で認められている構文上の本質的でない相違を除去するために XML 文書をシリアル化する方法を定義しています。 この機能は、XML 電子署名 (XML Signatures) にとって必須のものです。XML 電子署名はその一連の処理の間、 文書が一貫してシリアル化されている必要があり、 このような本質的でない相違によって署名が無効化されないようにしなければなりません。 W3C 勧告であるということは、本仕様が安定しており、 Web の相互運用性の確保に貢献し、 W3C 会員組織によって検討され、 学術、産業、研究各界によって本仕様の採用が支持されたことを意味します。

XML 電子署名を可能にする Canonical XML

電子署名は Web データに完全性、 署名による保証及び否認不能性をもたらします。そのような機能は契約書、価格表、 積荷目録といった約定を表す文書にとって極めて重要です。 XML 電子署名は信用のおける XML ベースの署名技術をもたらす可能性を持っています。 しかしながら、一連の処理の過程で、 様々なプロセッサが文書に本質的でない変更を加えることがあります。 Canonical XML 1.0 は XML 文書を正規化形式 (canonical form) にシリアル化する方法を提供します。もし2つの文書が同一の正規化形式を持つならば、 その2つの文書は本仕様の文脈において論理的に等価です。 XML 電子署名と組み合わせたこの関係は、複数の XML プロセッサ間を経由する文書やプロトコルメッセージの完全性を保証するため、 電子商取引にとって不可欠なものです。

XML 関連技術の基盤を固める Canonical XML

Canonical XML は、 W3C で開発中の Extensible Markup Language (XML) 関連技術に重要な要素として加わります。 XML 関連技術は XML 1.0 勧告に始まり、すでに W3C 勧告となっている XML 名前空間Extensible Stylesheet Language Transformations (XSLT) 1.0、XML Path Language (XPath) 1.0 といった仕様や、他の多くの不可欠な構成要素や XML を利用したアプリケーション群 (例えば MathML 2XHTML 1.0XHTML Basic) を含みます。 Canonical XML は既に数多くの実装によってサポートされている XML 電子署名の成功にとって不可欠な技術を提供します。

W3CIETF との協調作業の成果

本仕様は、W3C/IETF 合同の XML Signature ワーキンググループによって策定された最初の勧告です。 本仕様の策定には、Ariba, Baltimore Technologies, Done360, IAIK TU Graz, IBM, Microsoft, PureEdge, Reuters といった組織の代表や W3C の技術スタッフらが貢献しました。ワーキンググループは XML 電子署名について作業を続けていますが、すでに多くの実装があり、 Canonical XML の作業が完了したことによりさらに多くの実装がなされるでしょう。

World Wide Web Consortium [W3C] について

W3C は、Web の発展と相互運用性を確保するための共通のプロトコルを開発することにより、 Web の可能性を最大限に引き出すべく設立されました。 W3C は、 アメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学研究所 (MIT/LCS)、 フランス国立情報処理自動化研究所 (INRIA)、及び日本の慶應義塾大学がホスト機関として共同運営にあたっている国際産業コンソーシアムです。 コンソーシアムにより提供されるサービスには、 開発者及び利用者のための World Wide Web に関する豊富な情報、 新技術を応用した様々なプロトタイプやサンプルアプリケーションの開発などが挙げられます。 現在までに、500を超える組織がコンソーシアムの会員となっています。 詳しくは http://www.w3.org/ をご参照下さい。

 

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北川 和裕 <kaz@w3.org>, +81.466.49.1170

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