DOM Level 2 勧告の公開について

著者と公開日

出版日:

XML に標準の API とダイナミズムをもたらす DOM Level 2

推薦状

 

http://www.w3.org/ -- 2000年11月13日 -- World Wide Web Consortium (W3C) は本日、 Document Object Model Level 2 の仕様を W3C 勧告として公開いたしました。 本仕様は、文書やデータを (Java や ECMAScript のような) プログラミング言語を用いて取り扱うための標準 API (Applications Programming Interface) に関する業界の合意を示すものです。 W3C 勧告であるということは、本仕様が安定しており、 Web の相互運用性の確保に貢献し、 W3C 会員組織によって検討され、 業界による本仕様の採用が支持されたことを意味します。

プラットフォームに依存しない動的な Web コンテンツの実現

W3C の Document Object Model (DOM) ワーキンググループによって開発、 策定された本仕様は、先に発表された DOM Level 1 勧告に示されている、 文書の内容・構造およびスタイルへのアクセスおよび動的な変更を行うための、 言語やプラットフォームに依存しないインタフェースを拡張するものです。 DOM Level 2 は、 XML 文書およびデータを表現するための標準的なオブジェクトを提供しています。 これらのオブジェクトには、名前空間のサポート、 CSS 1 および 2 の機能を提供できるスタイルシートのプラットフォーム、 これらのオブジェクトを組み合わせるための標準的な方法、 これらのオブジェクトのアクセスおよび操作を行うための標準インタフェースなどが含まれます。

DOM Level 2 勧告は、 堅固な DOM Level 1 に基づいて定められました。 この仕様により、 Web 製作者は動的なコンテンツの実現に XML を用いることができるようになります。また DOM は開発者が必要としている相互運用性と統合のための機能を提供しています。 現在、異なるプログラミング言語向けに DOM の複数の実装があります。 これらの実装は、 いくつかの大規模な組織のビジネス上のニーズを満たすために必要なシステムの基礎となるものです。」 と、W3C DOM ワーキンググループの議長で、 SoftQuad Software Inc. の Lauren Wood 氏は語っています。

名前空間をサポートする相互運用可能な XML ソフトウェアの実現

DOM Level 1 は、HTML 4.0 と XML 1.0 を対象として開発されました。 DOM Level 2 を用いることで、 XML の拡張性がもたらすさらなる利点を利用することができます。即ち、 XML が利用されているいかなる場合においても、 DOM を用いて XML の制御を行うことができるようになります。

標準 DOM インタフェースを用いることで、 言語やプラットフォームに依存しない形で、 独自に作成したタグセットを処理するための、 プラグインのようなソフトウェアを開発することが可能になります。 また、標準 API を用いることで、 別のアプリケーションで再利用できるモジュールを開発することが可能になります。 DOM Level 2 は、 XML のプラットフォームを拡張させ向上させる XML 名前空間をサポートしています。 XML を用いたコンテンツの提供を行うサイトが増加している現在、 XML を用いた動的なコンテンツを実現する上で DOM Level 2 が必須のツールとなるでしょう。

動的でデバイスに依存しない Web の促進

DOM によって定義されている標準 API は、 異なるベンダから提供されるブラウザやツール毎に修正を行わずに動作するプログラムの記述を可能にするものです。 さらに、 DOM によって多様な種類のデバイスで利用可能なプログラムを記述する一定の方法が提供されるため、 すべての人々が動的に生成されるコンテンツの恩恵をうけることになるでしょう。

DOM Level 2 Cascading Style Sheet (CSS) API は、 アクセシビリティを維持したまま、 内容に関連付けられているスタイル情報へのスクリプトによるアクセス及び操作を可能にします。 また、DOM Level 2 には、文書中・データ中や B2B アプリケーション中など、 XML が用いられているあらゆる場面で、 対話的なインタフェースを実現するためのイベントを取り扱う API も含まれています。

既存の実装および進行中のさらなる作業について

Arbortext, IBM, Intel, JavaSoft, Macromedia, Microsoft, Netscape, Nexgenix, Oracle, SoftQuad Software Inc., Software AG, そして Sun Microsystems といった業界の主要な組織が、 その専門的知識を W3C DOM ワーキンググループにもたらしています。 多くの組織が推薦状に示されている通り、 すでに実装によるサポートを提供しています。

他の W3C のワーキンググループは現在、 DOM Level 2 のプラットフォームを Scalable Vector Graphics (SVG) や Mathematical Markup Language (MathML) へと拡大すべく作業に取り組んでいます。 DOM ワーキンググループは、DOM にとって機能の次なるレイヤである DOM Level 3 を現在開発中です。

World Wide Web Consortium [W3C] について

W3C は、 Web の発展と相互運用性を確保するための共通のプロトコルを開発することにより、 Web の可能性を最大限に引き出すべく設立されました。 W3C は、 アメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学計算機科学研究所 (MIT/LCS)、 フランス国立情報処理自動化研究所 (INRIA)、及び日本の慶應義塾大学がホスト機関として共同運営にあたっている国際産業コンソーシアムです。 コンソーシアムにより提供されるサービスには、 開発者及び利用者のための World Wide Web に関する豊富な情報、 新技術を応用した様々なプロトタイプやサンプルアプリケーションの開発などが挙げられます。 現在までに、470を超える組織がコンソーシアムの会員となっています。 詳しくは http://www.w3.org/ をご参照下さい。

 

問い合わせ先 (アメリカ及びヨーロッパ) --
Janet Daly, <janet@w3.org>, +1.617.253.5884 または +1.617.253.2613
問い合わせ先 (アジア) --
北川 和裕 <kaz@w3.org>, +81.466.49.1170

 

関連RSSフィード