Web Audio APIがW3C勧告標準に

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ブラウザ上で直に音楽や音声の作成と操作を可能するAPI

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https://www.w3.org/ — 2021年6月17日 — World Wide Web Consortium (W3C) は本日、Web Audio APIが公式な標準規格となったことを発表しました。これにより、音楽やオーディオの作成および操作がウェブ上で可能になります。

 

web audio logo

 

Web Audio APIはウェブブラウザで直接サウンドを作成、形成、操作するためのJavaScript APIです。すでに本技術を使用したウェブ上の音楽や効果音の作成、オンライン楽器の作成、ウェブゲーム、また、サウンドインスタレーションなどコラボレートした作品などにも広く利用されています。

即応性に富んだ高品質の音声を提供

Web Audio APIは、録音されたオーディオの再生をするだけではなく、音を作り出すことに焦点を当てており、ウェブやアプリの開発者がモジュール式のビルディングブロックを組み合わせて幅広いアプリケーションを作成することを可能にします。例えばユーザーインターフェースの聴覚的フィードバック、楽器、エンターテイメントやゲームのサウンドドラックやエフェクト、教育、AR/VRのための空間オーディオ、オンラインオーディオ編集アプリ、車載音楽管理のためのクロスフェードや圧縮、オーディオ分析や視覚化などが挙げられます。

どこにでも利用可能

このAPIの標準化は、本技術がデスクトップやモバイルを問わずにウェブブラウザや他デバイス、プラットフォームにロイヤリティフリーで展開されることを意味します。Web Audio APIは既に広くビルトインされた機能であり、これで制作された音声は信頼性に富んでいます。プラグインのインストールや別アプリケーションをダウンロードする必要がありません。

Web Audioは下記のアプリケーションで既に実装されています:
SoundCloud, Mozilla Hubs, Firefox Mixed Reality, Ableton, Google Meet and Stadia, SoundTrap, Amped Studio, BandLab, BeatPort, Soundation, Leimma & Apotome, Spotify.

Web Audio APIをW3C勧告にまで発展させたのは、ウェブ開発者、オーディオ専門家、オーディオアーティストなど、業界や学界を超えた大きな努力の賜物です。また、本仕様に取り組み、素晴らしい作品を開発したユーザーコミュニティのサポートなくしてこの成功は実現できませんでした。6年前より毎年開催されているWeb Audio Conferenceの設立により本APIの普及が進み、WAAPIを学術的、創造的、科学的に利用するためのプラットフォームも提供されました。加えて本APIの策定と実装に時間を費やしたブラウザベンダーの熱意も、このプロセスに多大に貢献しました。今後のAPIの拡張に向けても本取り組みが継続されることを期待します。

Audio Working Groupの共同議長であるMatthew Paradis氏は下記のようにコメントを寄せました。

ワールドワイドなマルチユーザー体験

Web Audio APIは、数多くのネイティブオーディオアプリと一線を画します。このAPIはコラボレーションやインタラクティブなアート作品をオンラインで作成するのに適しています。人々はもう、受け身の聴衆者ではありません。コンピュータや携帯電話のブラウザだけを利用して、アーティストと積極的にやりとりをすることが可能になりました。

次のWeb Audio APIは既に始動開始

W3C Web Audio WGは、6年前より毎年開催されているWeb Audio ConferenceWeb Audio weekly newsletterでグローバルなWeb Audioコミュニティ開発者の経験や経緯を共有しています。

WGとそのコミュニティは、Web Audio API v2の開発に既に着手しています。これは第一版のAPIに加え、より複雑で要望の多かった機能を追加するものです。

Web Audio APIは、アプリケーション開発のためのオープンなウェブプラットフォームを定義する多くのW3C標準規格に含まれています。あらゆるデバイスや環境で利用可能、そしてリッチなインタラクティブ体験を構築できる、これまでにない可能性も網羅しています。

World Wide Web Consortiumについて

W3C (ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)の使命は、世界中の人々にとってWebがオープンでアクセス可能で相互運用可能であることを保証するための技術標準とガイドラインを作成することによって、Webを最大限に活用することです。W3C技術として広く知られているHTMLとCSSは、ウェブサイトを構築するための基盤となる技術です。W3Cは、アクセシビリティ、国際化、セキュリティ、プライバシーなどの分野で全ての基本的なウェブ技術が社会のニーズを満たすよう取り組んでいます。W3Cはエンターテイメント、通信、電子書籍、金融サービスなどの分野でウェブを活用するビジネスのインフラストラクチャを支える技術標準も提供しています。それらの技術はオープンに開発され、W3Cの特許ポリシーに基づいて無償で世界に提供されています。

「One Web」に対するW3Cのビジョンには、400を超える会員組織と数10の業界部門を代表する何千人もの真摯な技術者が集まっています。W3Cは、米国のMITコンピュータ科学・人工知能研究所(MIT CSAIL)、フランスに本部を置く欧州情報数学研究会(ERCIM)、日本の慶應義塾大学、中国の北京航空航天大学が共同で運営しています。W3Cの詳細はこちらを参照下さい。

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+1.617.253.5628 (US, Eastern Time)

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