IoT相互運用のためのソリューション - W3C Web of Things (WoT)

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Web技術が、プラットフォーム、デバイスおよびクラウドサービスの相互連携を可能とし、Internet of Thingsの真の実力を引き出す

W3C会員からの推薦文をご覧ください。

 

https://www.w3.org/ — 2020年4月9日 — W3C (The World Wide Web Consortium) は、本日、Web of Things (WoT) Architecture および Web of Things (WoT) Thing Description (TD) を正式にW3C勧告 (W3C Recommendation) とすることを発表しました。これにより、さまざまなIoT (Internet of Things) プラットフォームおよびアプリケーションを、容易に統合化することが可能となります。

多くの Internet of Things アプリケーションが、スマートファクトリー、スマートシティ、スマートホーム、公衆衛生等の多岐にわたる領域に向けて開発されてきた. Web のレベルにおける『モノ』の記述の標準化により、我々はこれらの重要な IoT アプリケーション領域における相互運用性を促進することを狙っています。

W3C CEO である Jeff Jaffe

相互運用性の拡張という約束を守りつつ、IoT の断片化に立ち向かう

プロトコルやデータモデル等、Internet of Things (IoT) で利用される技術が多岐に渡ることから、情報技術の利用者は、孤立したサイロと化し、そのために、しばしば時代遅れのソフトウェアに縛られ技術革新から取り残されてしまうということを避けたい、というニーズと同様に、IoTプロジェクトにおける統合化や維持に関するコストの高さに、ますます直面しています。W3C Web of Thingsは、既存のプラットフォーム、デバイス、ゲートウェイおよびサービスのための、Web ベースの抽象化レイヤーを定義することにより、IoT の断片化に立ち向かうという約束を守ります。そして、既存の各種標準を補完することにより相互運用性を拡張し、それを通して、投資家や顧客のリスクを減らします。これにより、デバイスやサービスのオープン・マーケットの迅速な成長が可能となります。

WoT ソリューションは、今日、既に製品として普及

Web of Thingsは、スマートホーム、製造業、スマートシティ、小売業、ヘルスケアアプリ等の複数の IoT 領域に応用が可能であり、W3CのWoT標準を利用することにより、複数のベンダやエコシステムが提供するデバイスを組み合わせたIoTシステムの開発を簡単なものとすることが可能となります。

W3C会員が標準を策定するプロセスの重要な構成要素の一つは、策定途中の標準を実装するということです。これにより、今日、WoT技術は、会員企業および他のテクノロジー産業関係者による、以下を含む多くのソリューションとして利用可能です。

  • Siemensのフラッグシップ的ビルマネジメント・ステーションである、Siemens Desigo CCは、異なるIoTシステムのデータポイントと機能を、Desigo CCマネジメント・ステーション中に容易に統合化し、さらにクラウドシステムと連携させるためにWoTを利用しています;
  • Eclipse Thingweb node-wotは、(Node.jsにおける) WoT標準のリファレンス実装であり、他の多くの実装およびWoTベースのプロジェクトの基盤 (スマートシティや小売業のための、いわゆるProof-of-Concept的な概念実証プロジェクトを含む)として利用されています;
  • OpenJS Foundationによる、よく知られたローコード開発ツールであるNode-REDは、Node-REDのノード開発を容易にするため、Node Generatorプロジェクトの一部としてWoT Thing Descriptionをサポートしています。なお、Node Generatorプロジェクトは、日立のW3C WoT活動への参加の一部としての貢献から始まりました;
  • Mozilla WebThingsは、プライバシーとセキュリティにもとづいてスマートホームアプリを開発するための、WoTにもとづくオープン・プラットフォームです;
  • 富士通は、WoTに準拠したエッジ/クラウド・プロキシのソフトウェア製品を提供しています。このソフトウェアにより、ローカルの異なるIoT機器を相互接続するとともに単一のインタフェースに集約し、クラウド上の大規模システムを構築することが可能となります;
  • さらなるWoTランタイム実装として、(Pythonによる) WoTPyおよび、 (Javaによる) SANE Web of Things Servientが挙げられます。

W3C会員から寄稿された以下の推薦文中に、各会員企業自身の構想が述べられておりますのでご参照ください。

将来への展望

W3C Web of Thingsワーキンググループにより、2017年のグループ設立以来、(1) 抽象的なアーキテクチャ、(2) IoTデバイスやサービスを記述するための共通的データフォーマットそして、(3) IoTアプリケーションの相互運用性を高めるとともに統合化の労力やコストを削減するためのWoTビルディングブロック(構成要素)を定義するために、以下の二つのWoTに関する基盤的仕様書が策定されてきました:

  • WoT Architectureは、Web of Tthings全体の概念的フレームワークを定義します。
  • WoT Thing Descriptionは、IoT (Internet of Things) にとっての「Webサイトにおけるindex.html (HTML)」のような基本的記述モデルであり、物理的もしくは仮想的なモノ/デバイスのエントリポイントとみなされます。

WoT仕様策定の「完成」には、まだ時間を要します。W3Cは先日第二世代のWeb of Things仕様策定のためにWoTワーキンググループ・チャーター(設立趣意書)を更新し、標準化の対象範囲とその深さを拡張した上で、この領域の標準化に取り組んで参ります。例えば、WoTワーキンググループは、「最小限の労力かつセキュアな形で、モノのオンボーディングが可能とする方式」、「特定の利用コンテクストや技術をサポートする相互運用プロファイル」、「新しいプロトコル、および位置情報やデバイス製造者等の付加的標準メタデータのための語彙定義」、「OAuth2、PoPトークン、ACE等をはじめ、定常的に増え続ける様々なセキュリティの仕組みをサポートするためのセキュリティスキーマ」、「相互運用性を最大化するためのリンクの関係タイプに関する仕様化」、「中央集権的なインフラに依存するのではなく、デバイスが、直接、自身を記述するできるような、標準化された発見(Discovery)の仕組み」、「Thing Descriptionテンプレートに関する改善」が挙げられます。

W3C (World Wide Web Consortium)について

W3C (World Wide Web Consortium)の使命は、世界中全ての人がウェブをオープンな環境でアクセシブルに利用し、相互運用するための標準技術とガイドラインを策定してウェブを最大限に活用することです。今や多くの人が知るHTMLとCSSは、ウェブサイトが構築される基盤技術として広く認識されています。私たちはウェブアクセシビリティや国際化、セキュリティ、またプライバシーの領域で社会のニーズを満たすべく、W3Cが策定する全てののウェブテクノロジーの議論と開発を日々行なっています。またW3Cは、ウェブが使用されているエンターテインメント、通信、デジタル出版、金融サービスなどの分野でも、ビジネスのためのインフラとして世界標準の技術を提供しています。それらの技術はオープンに製作され、無償で提供され、W3C独自の特許方針の下で全ての人に公開されています。2016年はキャプションと字幕を使用したオンラインビデオをよりアクセシブルにするための標準技術を、2019年にはウェブ上のフルTVエクスペリエンスの標準技術が評価され、W3Cは米国技術・工学エミー賞を受賞しました。

400を超える会員と各産業の数千もの技術者が、W3Cのビジョンである「One Web」を創り上げています。W3Cは、米国のMIT Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory(MIT CSAIL:マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所) 、フランスの European Research Consortium for Informatics and Mathematics(ERCIM: 欧州情報処理数学研究コンソーシアム)、日本の慶應義塾大学 、及び中国の北京航空航天大学 (Beihang University)により共同運営されており、各国にW3Cオフィスを設置しています。詳細はこちらをご覧ください。https://www.w3.org/

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Amy van der Hiel, W3C Media Relations Coordinator <w3t-pr@w3.org>
+1.617.253.5628 (US, Eastern Time)

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