ワールドワイド・ウェブ・コンソーシアム W3C とインターナショナル・デジタル・パブリッシング・フォーラム IDPF が両組織の統合を検討中

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ウェブの発明者であり W3Cディレクターのティム・バーナーズ=リーがブックエキスポ・アメリカ BEA 2016 と同時開催の「IDPF DigiCon」でウェブにおける出版のビジョンについて基調講演

https://www.w3.org/ — 2016年5月10日 米国イリノイ州シカゴ — W3C と IDPF は本日、オープン・ウェブ・プラットフォーム上での出版テクノロジーの進歩を加速させるために組織を統合させる計画があることを発表した。

 

Photo of Jeff Jaffe, W3C CEO; Tim Berners-Lee, W3C Director; George Kerscher, IDPF President; Bill McCoy, IDPF Executive Director, at DigiCon May 10, 2016
Jeff Jaffe, W3C CEO; Tim Berners-Lee, W3C Director; George Kerscher, IDPF President; Bill McCoy, IDPF Executive Director, at DigiCon May 10, 2016

シカゴで開催された BEA2016 の場で共催された IDPF DigiCon の基調講演後、ウェブの創設者であり W3C ディレクターのバーナーズ=リーと IDPF 事務局長ビル・マッコイ氏がこのプランを明らかにした。

「われわれ W3C と IDPF は、出版業界とウェブの根幹技術を同一線上に揃えるというヴィジョンを歓迎します。これによってリッチ・メディア環境が多くの電子出版の読者、著者、出版社へと提供されるようになります」

「教科書を例に考えればわかります。今や教科書の内容は映像や画像とリンクして、どんどん歴史的な事件やオリジナルの研究成果と結びつき始めています。これによって学ぶ側も教える側も、より信頼性があり興味深い学習体験を得られるのです」とバーナーズ=リー氏は語った。

「ウェブ・テクノロジーを基本にコンテンツ制作、配信、閲覧が世界中で進めば、それが EPUBであっても、ソーシャルマーケティングや読者参加体験のためであっても、どんなデバイスやアプリや読書端末でも実行可能になります」とマッコイ氏は語る。

W3C と IDPF の資産を結びつけウェブ出版のビジョンを可能に

発表によれば W3C と IDPF の代表は過去3年間、いかにして出版界の技術や専門知識でウェブを豊かに出来るか、いっぽうウェブの技術によって出版業界を豊かにする機会を増す事が可能か、すでに共同作業を進めてきたとのこと。

W3C との合流により、IDPF が出版界のために果たした「 EPUB 仕様の開発と成功の実績が W3C のウェブの知識・規格と補い合い、映像や音声を含めたリッチ・メディアにアクセスが可能になるという見通しを歓迎します」こう語るのは IDPF 会長のジョージ・カーシャー氏だ。

W3C CEO ジェフリー・ジャフェ博士も「電子出版分野の全面的な関与と、ウェブプラットフォームの中軸となる開発者の力が合わされば、技術標準の作成が加速できます。創生期のウェブ技術では、著者や出版社が書籍、定期刊行物、雑誌として実現したコンテンツを、さらに拡張したスタイルには適合できませんでした」と語っている。

次のステップ

目標を 2017 年1月とし、両組織は統合に向け、これから会員のコメントを募集、両組織の参加資格や法的な競合チェックなど、細部を詰めていき、合意覚書の作成作業に着手する。将来の EPUB の技術標準開発、オープン・ウェブ・プラットフォームでの出版機能拡張は W3C として進められる。

W3C について

W3C(ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)は、ウェブ標準化の開発を目的とし、会員組織、フルタイムスタッフ、および公的団体が連携する国際的なコンソーシアムである。W3Cは、ウェブの長期的な成長の確保を目的としたウェブ標準およびガイドラインの作成を通じ使命に尽力し、現在、400を超える組織が、本コンソーシアムの会員として参加している。

W3Cは、米国MIT Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory(MIT CSAIL:マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所)、フランスEuropean Research Consortium for Informatics and Mathematics(ERCIM: 欧州情報処理数学研究コンソーシアム)、北京航空航天大学 (Beihang University)および日本の慶應義塾大学により共同運営しており、オーストラリア、ベネルクス諸国、ブラジル、フィンランド、フランス、ドイツ、オーストリア、ギリシャ、ハンガリー、インド、イタリア、韓国、モロッコ、ロシア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、英国、アイルランドの各国にW3Cオフィスを設置している。詳細はhttps://www.w3.org/を参照。

IDPF について

(IDPF)は電子出版ビジネスの世界的な普及と標準化の発展促進のために組織された団体。参加者には出版社、IT企業、出版業界団体、官庁、教育関連組織などが含まれている。IDPFは電子書籍の交換・配信用標準フォーマットEPUBの開発者である。http://idpf.org

メディアコンタクト先

Karen Myers, W3C <w3t-pr@w3.org>
Mobile: 1.978.502.6218

Sarah Hilderley, IDPF Director of Communications <presscontact@idpf.org>

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