Web and TV
— HTML5などWeb技術がスマートTVに与えるインパクト

http://www.w3.org/2011/Talks/0527-impact-of-web-tech-to-tv-ka/

Kazuyuki Ashimura <ashimura@w3.org>
27 May 2011

W3Cとは?
— 3分でわかるWorld Wide Web Consortium

Web考案者 Tim Berners-Lee が創設
Web技術標準化のための国際的産業コンソーシアム
Webの相互運用性確保のために，各種標準仕様および指針を策定
- Web標準仕様策定
- 正しいWebの普及・啓蒙
- Webの発展と将来創造

W3Cホスト

W3Cを共同運営する，3つの研究機関

- アメリカ: マサチューセッツ工科大学 (MIT)
- フランス: 欧州情報処理数学研究コンソーシアム (ERCIM)
- 日本: 慶應義塾大学

日本(慶應大)もWeb標準に貢献しています!

W3C/慶應ホスト: 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス (大学院棟 4階 τ45号室)

お気楽にご訪問ください．お待ちしております :)
ご連絡先: keio-contact@w3.org

W3C/Keio in Keio SFC

Web技術とTV，そしてアクセシビリティ
— Webの特徴 = One Web! (一つのWeb)

Open = 特許に制限されず
Global/Accessible = 世界中の誰もが利用可能な
Implementable = 机上の理論でなく，実装ベースの技術

Standardization for Web

Web技術は「誰のためのもの」?
— 「私」，「あなた」そして「全ての利用者」のために

Interoperable?: 相互運用可能ですか?; → 様々な機器ごとに異なる入出力/処理能力への対応
Multilingual?: 多国語に対応していますか?; → 各国語ごとに異なる言語解析処理
Multi-Modal?: 多様な入出力方法に対応していますか?; → 様々な入出力方法を組み合わせる際の操作感統一
Accessible?: 誰でも使うことができますか?; → 利用者や状況ごとに異なるニーズへの対応

例えば
— 「退屈の色」って，どんな色?

(日能研 2011年4月電車広告)

[ Question about 'color' - two meanings ]

問題: 目の見えない友人に「退屈の色ってどんな色ですか?」と聞かれ，からかわれたように感じた．なぜ，そう感じたのか．
解答と解説: 「色」という言葉に「色彩」のみならず「様子」という意味があることを示され，普段「当たり前」だと思っている「色彩」に関する感覚に疑問を投げかけられたため困ってしまい，「からかわれた」と感じた．
ポイント: 「私の当たり前」は「あなたの当たり前」と違うかも...

Web技術とTV
— 「TVとは何か」あらためて考えてみると...

ハードウェア:

旧来のテレビ受像機として
最近はセット・トップ・ボックスとして
さらには「TV放送が受信できる，あらゆる機器」として

コンテンツ:

既存のTV放送サービス
最近の各種IP対応サービス
さらに，将来の様々な双方向サービスへの応用

Web and TV
— Webと機器の連携に関する検討

2011年2月，「W3C Web and TV Interest Group」活動開始

活動憲章: http://www.w3.org/2010/09/webTVIGcharter.html

やること:

Web/放送/機器連携に関する技術的議論のための「場」を提供
Webサービスおよび放送サービスの関係性を含む，様々な既存の取り組みを精査・分析
具体的要求仕様および想定される解決方法を明確化
WebがTVとよりよく整合する方法論を検討

やらないこと:

Web/TV統合のための仕様策定
既存のWeb標準のプロファイル定義

業界を代表する4人の議長

ブラウザベンダ:: Giuseppe Pascale氏 (Opera Software)
機器ベンダ:: Hyeonjae Lee氏 (LG)
通信:: 川森雅仁氏 (NTT/ITU-T)
放送:: 舟橋洋介氏 (Tomo-Digi)

二回のワークショップ

東京ワークショップ:: 2010年9月2-3日@慶應義塾大学三田キャンパス; 議事要約: http://www.w3.org/2010/09/web-on-tv/summary.html
ベルリン・ワークショップ:: 2011年2月8-9日@ベルリン Fraunhofer-FOKUS; 議事要約: http://www.w3.org/2010/11/web-and-tv/summary.html

ワークショップ参加者

機器ベンダ (家電, PC, ネットワーク):: Canon, Cisco, Hitachi, Huawei, Intel, LG, Melco, Mitsubishi, NEC, Panasonic, Philips, Qualcomm Samsung, SanDisk, Sony, Toshiba
放送:: BBC, EBU, Fuji TV, NHK, Nippon TV, TBS, Tomo-Digi, TV Asahi, TV Tokyo, WOWOW
通信:: Ericsson, Orange (France Telecom), KDDI, KT, Nokia, NTT, T-Systems (Deutsche Telekom)
サービスプロバイダ:: Actvila, CableLabs, Dwango, Netflix, Technicolor, Time Warner Cable
ブラウザベンダ:: ACCESS, Jig.jp, Myriad, Opera, Microsoft
その他:: 標準化団体 (IPTV Forum Japan, ITU-T, Open IPTV Forum), 広告 (Dentsu), 音響 (Dolby), データベース等ソフトウェア (Oracle), 政府機関 (日本, EU, アイルランド) 等

ワークショップの主なトピック

家電機器連携 (Second-Screen，DLNA等)
HTML5拡張 (特に Dynamic Adaptive Streaming on HTTP)
Accessibility
Content Protection (著作権，アクセス制御，セキュリティ)
HbbTV等欧州のIPTV標準
EBML等のバイナリデータ形式
Metadata

ホームネットワーク・タスクフォース

Web/TV統合に関する技術議論のための専門委員会

活動憲章:: http://www.w3.org/2011/webtv/wiki/HNTF/Home_Network_TF_Charter
テーマ:: ホームネットワークとWebの統合; 各種ユースケース(応用事例)に必要とされる機能と，現状の技術との格差を分析
目的:: ユースケース(応用事例)，要求仕様，設計方針等を整理; どのような形で標準仕様化するかを分類(既存のWGで仕様化?/新しいWGを作る?)

Interest Group レポート

2011年4月第一版レポート公開:: http://www.w3.org/2011/webtv/wiki/Web_and_TV_Interest_Group_Report

主なトピック:

Capture high level topic of interests for the IG
Live document (available on the wiki)
Initial Draft based on Tokyo and Berlin Workshops
To be updated as new use cases and requirements emerge or mature
Example of topics
Second-Screen Scenarios
Content Metadata
Content Protection
Accessibility
“TV APIs” (extensions for recording, broadcast,remote control)

参加方法は二通り

方法1: 公開メーリングリスト上での議論

public-web-and-tv-request@w3.org あて
Subjectに"subscribe"と書いてメールください

方法2: 電話会議およびFace-to-Face会議での議論

W3Cにご加入ください! (W3Cご加入情報)

Web技術がTVに与えるインパクト
— HTML5: 近頃巷で流行るもの...

アプリケーション・ユーザインタフェースの革新

HTML5 ≒ HTML + CSS + JS APIs

より表現力豊かなWebアプリケーションのためのプラットフォーム
様々な機器およびモダリティへの応用
フリーソフト化による開発コスト削減

HTML5の機器連携機能

Video & Audio:: Flash等のプラグイン不要で動画や音声の再生
Canvas:: 2次元画像のお絵描き
Drag & Drop: 画像やテキストの移動・編集
Web Storage:: ローカルクライアントでのデータ保存
Web Sockets:: 双方向かつ全二重通信
Web Workers:: マルチプロセス

新機能のデモ

HTML5の課題

拡張性:: 名前空間を使わずに機能拡張 (JavaScript API)
様々な User Interface への対応:: マウス，キーボード，ディスプレイ以外の入出力モダリティ (音声，手書き認識等)
様々な機器や目的:: PC以外の機器での応用 (家電機器，印刷，電子書籍等)
機能の絞り込み (Profiles/Modules/Widgets):: 各種産業界からの要請 (家電機器，モバイル機器等)

Web/TV統合のためのWeb技術
— マルチモーダルWeb

GUIに加え，音声やジェスチャ等，様々な入出力方法 (モーダル) を利用

例: AT&Tのspeak4it

"Why type on that little keyboard, when you don't have to?"

"Say it, find it, just speak for it!"