発表内容
- W3Cについて
- 標準化の重要性
- W3Cによる国際標準化の取り組み
- 音声,マルチモーダル技術に関する仕様策定
- 日本の技術と国際標準
W3C 慶應ホスト
W3Cの東アジア地区担当ホスト
- 会員,一般向けに様々なサービスを提供
- 日本国内向けの日本語による情報提供
- 現在,10 名のスタッフが標準化活動に従事
世界中の各国,各地域における,標準化活動の普及推進拠点
標準化の重要性(1): 乾電池
互換性・相互運用性: いつでも,どこでも入手可能
標準化の重要性(2): 電子メール
標準化の重要性(3): そしてWeb技術
標準化の重要性(4): さらに携帯端末など
近年の電子機器は:
- 電子メールやWebアクセスなど,PC並みの高機能
- 音楽ダウンロード,再生など,さらなる多機能化
- 「世界」が対象市場であり,国際的な開発競争激化
→開発コスト高騰,製品不良のリスク増大
→共同開発などによる,コスト削減&開発期間短縮
→ハードおよびソフトに関する,国際標準の重要性増大
ワーキンググループ(WG)による仕様策定活動
具体的な技術仕様やガイドラインの策定を行う活動の最小単位
→会員からの技術者とTeamからの技術スタッフで構成
- 議長: 各種会議およびスケジュールの管理; 主に会員側参加者から選出
- Team Contact: Teamスタッフが議長を補佐し,WG活動を支援
- Invited Expert: WG活動に必要な専門家をTeam外から招聘
Team Contact の業務
WGの活動の支援:
- WG 運営管理のための各種ドキュメント作成
- W3C Recommendationなど各種ドキュメントの公開
- 電話会議, F2F 会議, ワークショップなどWGの活動への参加
- その他, WG 運営に関する業務全般
WGには世界中から技術者が参加
効果的なコミュニケーション手段の組合せ:
- 電話会議による日常的な議論・確認:
1, 2回/週
- Face-to-Face会議による綿密な打ち合わせ:
1回/2, 3か月
- 日常的な情報交換の補助:
メーリングリスト, IRC, Web
W3C Recommendation Track
W3Cで策定する各種標準仕様は,以下の6段階を経て,W3C 勧告(Recommendation)として公開される
- 公開草案初版 (First Public Working Draft; FPWD)
- 当該の活動領域における仕様策定を W3C
内外に示すために最初に公開される草案で,W3C
特許方針に基づく特許請求除外期間が設定される
- 草案 (Working Draft; WD)
- FPWD から LCWD に至る過程で更新される草案で, LCWD や CR, PR の段階で問題が生じた場合に差し戻されることもある
- 最終草案 (Last Call Working Draft; LCWD)
- 一通り技術的な問題を解決して仕様が固まり WG
内で合意が得られた最終草案で,これ以降は技術的な変更は行われない
- 勧告候補 (Candidate Recommendation; CR)
- 実装試験期間
- 勧告案 (Proposed Recommendation; PR)
- 会員による投票期間
- 勧告 (Recommendation; Rec)
- 技術統括責任者 (Director)
である Tim Berners-Lee
の承認を経て勧告として公開される
W3Cの活動への参加方法
W3Cは会員制の産業コンソーシアム:
- まず,W3Cへの会員登録が必要
- その上で,各WGで策定する仕様に関する
Royalty Free Licenseへの同意が必要
W3C会員
会員組織の規模に応じた3種別:
- Full Member: 会費 730万円/年
- Intermediate Member: 会費 292万円/年
- Affiliate Member: 会費 73万円/年
→規模に応じて年会費は異なるが,
会員としての権利は同一
W3C年会費
2006年1月以降に日本会員として登録した場合の年会費額
- Full Member
- 総収入が年間 230億円 (23,000,000,000 JPY) かそれ以上の営利組織
- 会費年額: 730万円 (7,300,000 JPY)
- Intermediate Member
- 総収入が年間 57億5000万円 (5,750,000,000 JPY) かそれ以上かつ 230億円
(23,000,000,000 JPY) 未満の営利組織
- 会費年額: 292万円 (2,920,000 JPY)
- 2005年4月から2008年中までの3年間だけの暫定措置で,
この期間中に新たに20組織が Intermediate Member として会員登録すると,
正式に運用されることになる
- Affiliate Member
- 非営利組織及び上記に当てはまらない組織 (営利組織を含む)
- 会費年額: 73万円 (730,000 JPY)
特許に関する留意点
仕様策定にあたって本質的な技術 (Normative Technology) は:
- 全て,W3C 勧告として公開される時点において,
- W3C Royalty Free License にもとづいて提供されなければならない
→各WGに参加登録する時点で,Royalty Free Licenseへの同意が必要
音声・マルチモーダル技術に関する仕様策定
Voice Browser WG および Multimodal Interaction WG の取り組み:
- Voice Browser WG:
VoiceXMLなど,音声インタフェースに関する,基本的マークアップの仕様化
- Multimodal Interaction WG:
マルチモーダル対話利用に関する検討,仕様化
Voice Browser WG
Web技術と音声技術の統合 (Speech Interface Framework):
- 世界中のあらゆる電話から,
- 音声,もしくは簡単なキー操作で,
- さまざまな Web 上のサービスを利用
Voice Browser WG の活動
参加者:
策定対象の仕様:
会議:
- 電話会議 (週6回)
- Face-to-Face会議 (年3-4回)
情報共有
SSML (Speech Synthesis Markup Language) の国際化対応
Global な利用による,Web コンテンツの爆発的増加:
- これまで十分に考慮されてこなかった様々な言語の利用
(ex. 中国,インド,中東,東欧など)
- 音声合成記述言語 SSMLを,日本語も含めて,
世界中のより広範な言語に,よりきめ細かく対応
→SSMLの更新版である SSML 1.1 の策定に着手
SSMLの国際化に関するワークショップ
SSML 1.1 策定に必要な,課題の洗い出し:
→音声言語の特徴を表現する様々な情報を標準へ追加する必要性
- 音調
- 音節単位での強勢やアクセント
- 音の長さ,など
Multimodal Interaction WG
Webを,
GUI, 音声, 画像, ペン入力, ジェスチャー, 触覚など,
多様なアクセス方法に対応:
- 誰でも,どこでも,どのような装置からでも,そしていつでも
- 利用者にとって最も好ましい方法で Web にアクセス
- そのときそのときの状況に応じた最適なサービスを入手
Multimodal Interaction WG の活動
参加者:
策定対象の仕様:
会議:
- 電話会議 (週4回)
- Face-to-Face会議 (年3-4回)
情報共有
多様なアプリケーションへの対応
マルチモーダル・アプリケーションの実現には:
- 複雑な処理の組合せに対応したメカニズムが必要:
- 多様な入力形態,入出力の同期
- ある処理から派生する別処理との通信,など
- 利用者に関する,個人情報の特定・保護:
- さらに,新しいデータ処理:
日本の技術と国際標準
我が国における,音声・マルチモーダル対話技術標準化の例:
→独自に行なった標準化ノウハウをW3Cへフィードバック
ISTC MMI 記述言語検討ワーキンググループ
ISTC委員の研究開発成果にもとづく,MMI記述言語の策定:
- ユースケース抽出
- 要求仕様洗い出し
- MMI アーキテクチャの提案
→今後,W3C 会員である豊橋技術科学大学によりW3Cへ提案(?)
W3Cの国際標準化活動にご参加ください!
考えられる効果・メリット:
- 音声・マルチモーダル対話技術の標準策定に直接参加
- 皆様のアイデア・要求仕様を「国際標準」に反映
- 標準仕様検討および品質保証のためのワークベンチとして活用
→開発・メンテナンスコストの抑制,情報収集,宣伝効果
お問合せ先 (ご質問や W3C への参加希望等)
- 慶應義塾大学 SFC 研究所 W3C
- 〒252-8520 神奈川県藤沢市遠藤 5322
- 電話: 0466-49-1170
- Fax: 0466-49-1171
- email: keio-contact@w3.org
- 担当: 平川,小野塚,芦村
関連情報
このスライド:
予稿集原稿:
W3C全般について:
Voice Browser WGについて:
音声合成記述言語 SSML について
Multimodal Interaction WGについて:
標準仕様策定について
特許方針について